再び「ガソリン200円超え」の危機?イラン情勢悪化で私たちの家計はどうなるのか? ガソリン価格高騰と自動車メーカー中東輸出への影響は?
2026年2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃とホルムズ海峡の事実上閉鎖により、中東産原油に依存する日本に激震が走っています 。ガソリン価格が再び200円を超える懸念が広がる中、政府の補助金対応の行方や、自動車メーカーの輸出事業への打撃など、今後の日本経済と生活への影響をわかりやすく解説します 。
アメリカとイスラエルが2月28日、イランを攻撃。
イランは中東周辺地域へ反撃に出ており、ホルムズ海峡を通過する民間船舶がミサイル攻撃を受ける事態に発展し、ホルムズ海峡は事実上閉鎖されました。
こうした情勢を受けて、ガソリン価格が高騰するのではないかという心配がユーザーの間でも広がっています。
日本は原油の9割以上を中東諸国から輸入しているからです。
民間調査会社などがレギュラーガソリンがリッター200円超えを予想する報道が出ている状況です。
ガソリン価格を含めて、イラン情勢がユーザーにとってどのような問題に発展する可能性があるのでしょうか。
まずは、国の対応です。
赤澤亮正 経済産業大臣は3月3日、閣議後の記者会見で「イラン情勢により、我が国のエネルギー安定供給や物価を含む日本経済全体への影響が懸念されています」とした上で、3月2日付けで赤澤大臣を本部長とする「イラン情勢を踏まえたエネルギー対策本部」を設置したことを明らかにしました。
同本部から経済産業省の関係局長に対して、石油市場の動向とそれに伴う物価の影響を的確に把握し「迅速に必要な対策を講じるなど、緊張感を持って取り組むように指示した」と説明しています。
「必要な対策」について具体的な内容は示していませんが、考えられるのは補助金です。
時計の針を少し戻しますと、ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月を境に国際情勢が不安定になったことで原油価格が高騰。
その影響で国内レギュラーガソリン平均価格がそれまでの170円台から一気に200円を超える状況に陥りました。
これに対して、国は「燃料油価格激変緩和補助金」を使いガソリンや軽油の価格上昇を抑制しています。
石油精製業者や石油輸入業者など燃料油元売り(もとうり)から国に補助金申請を行い、国が原資を補助することで、燃料油元売りがガソリンスタンドなど燃料油販売業者への卸価格を抑制することで店頭価格が下がるという仕組みです。
補助の金額は、国が設定する基準価格との差額となり、2022年の基準はレギュラーガソリン全国平均価格170円。
同年6月には実質価格が210円を超えており、最大で補助金額はリッターあたり41.9円にも及びました。
その後、基準が180円台となるなど、国は石油市場の動向を注視しながら補助金による対策を講じており、仮に今回も各方面の予想通りに200円オーバーとなれば補助金制度が適用される可能性が高いものと考えられます。
国が今回、基準価格をどう設定するのか、ユーザーとして大いに気になるところです。
現在のガソリン価格は、経済産業省 資源エネルギー庁が毎週公開している「給油所小売価格調査」によれば、直近の2月24日時点でレギュラーガソリンが157.1円、軽油が.145.2円、そして灯油が122.2円です。
民間調査会社らの予想では、原油価格の国際指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)原油先物価格が変動から1週間程度で国内ガソリン小売価格が動くとされています。
ガソリン価格といえば、昨年は旧暫定税率(当分の間税率「とうぶんのかんぜいりつ」)
の廃止に注目が集まりました。
それに先んじて国はガソリン(25.1円)、軽油(17.1円)に相当する額を石油元売りに対する補助金を段階的に使ったことで、レギュラーガソリン価格は150円台で安定するようになっていたところです。
せっかく下がったガソリン価格が、イラン情勢によって再び上昇しそうです。
日本が必要とする原油のほとんどを中東など海外からの輸入に頼っているという状況が続く限り、今後も様々な外的要因によってガソリン価格が変動するという日本の実情をユーザーは再認識しなければならないと思います。

また、自動車メーカーの視点では中東向けの輸出が滞ることがグローバルでの売上げに影響を及ぼします。
例えば、トヨタの場合、直近での2026年3月期 第3四半期を見ますと、通期の連結販売見通しは対前期104.1%の975万台。内訳としては、日本が207万台、北米が296万台、欧州が123万台、アジアが182万台、その他が167万台。
この「その他」に、中南米、オセアニア、アフリカ、そして中東を含みます。中東単独の数字は出ていませんが、規模としては数万から数十万台。当然、中東では高付加価値のモデルが人気であり、中東向けの売上は大きいものと考えられます。
トランプ政権による相互関税、またその後に設定された新たなる関税が日本の自動車メーカー各社にとって大きな課題である今、収益性の高い中東向け輸出が滞ることはトヨタに限らず事業全体に確実な影響を及ぼします。
これが直接、日本の新車価格の上昇につながるとは言えないと思いますが、仮にイラン情勢変化が今後、欧米や中国への経済的影響が及ぶと日本市場でも何らかの変化が起こらないとは言い切れないでしょう。
いずれにしても、経済的な面だけではなく、人道的な見地からイラン情勢ができるだけ短期間に安定することを祈りたいと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。




















































