億単位で落札も!? 世界でたった1台の走る芸術作品アートカー5選
一世を風靡したヒロ・ヤマガタのメルセデス・ベンツ
●ヒロ・ヤマガタ/メルセデス・ベンツ「220カブリオレ」(1994年)
日本人であるヒロ・ヤマガタ氏の手によるアートカーも存在します。80年代に一世を風靡したヒロ・ヤマガタ氏は、1983年の人類飛行200周年記念財団の公式ポスターを皮切りに、1986年にロナルド・レーガン大統領から「自由の女神100周年記念」公式ポスターを依頼され、1988年のカルガリー冬季オリンピック、1989年にはエッフェル塔100周年記念公式ポスターを制作するほどの人気でした。
ヒロ・ヤマガタ氏が愛車の真っ白なボディのメルセデス・ベンツ「220カブリオレ」でアメリカ・カリフォルニアを走らせていたところ、非常に評判になったそうです。その理由は、リアボディに大きな蘭の花を自分の手で描いていたからです。
そこで、ヒロ・ヤマガタ氏は、クルマ全体に絵を描こうと思い立ち、クルマの修理に1年、絵を描くことに2年を費やして、ヒロ・ヤマガタ氏のアートカー第1号車が完成しました。
制作過程は、まずボディをサンディングしホワイトのコートを全体に塗ります。それからアクリル絵具で丹念に筆を使って描いていくそうです。ヒロ・ヤマガタ氏は、ウォーホールと違ってボディに筆の跡が残るのを嫌い、筆跡を消すために4回ほどコーティングしてなめらかな面にし、それによって鮮やかな発色になったそうです。
このあと、世界中から44台ものメルセデス・ベンツ220を買い集め、2016年までにアートカーを23台生み出してきました。
ヒロ・ヤマガタ氏のアートカーをご覧になりたい人は、大阪御堂筋にある「御堂筋ミュージアム」を訪れると、展示車両を見ることができます。
●マーク・クイン/ロールス・ロイス「ファントム」(2019年)
レースに参加するための車両であったり、個人的な趣味で生まれたアートカーですが、最近はチャリティイベント目的のためにアートカーを制作するのがトレンドとなりつつあります。
2019年9月21日におこなわれたチャリティイベントでは、88万8000ポンド(日本円でおよそ1億2000万円)で、世界的に有名なアーティストであるマーク・クイン氏が手がけたロールス・ロイス「ファントム」が落札されました。
落札したのはロールス・ロイスの著名なコレクターです。この落札者の令嬢の「虹彩」(眼球の角膜と水晶体の間にある輪状の膜、眼内に入る光を調節する役割を持つ)をファントムのボディに描くビスポーク(オーダーメイド)デザインとなります。
落札者個人にちなむ要素を取り入れるこのクリエイティブなアート作品は、マーク・クイン氏が現在進めている虹彩の絵画シリーズ「We Share Our Chemistry with the Stars(人間の化学組成は星と共通)」に発想を得たものです。
虹彩認証システムも進む現代において、セキュリティ上の安全面が気になるところですが、オークションの収益は全額、エヴェリーナ・ロンドン小児病院におけるアレルギー研究の支援のために寄付されました。
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