億単位で落札も!? 世界でたった1台の走る芸術作品アートカー5選

「走る彫刻」と呼ばれる美しいクルマもありますが、芸術家がクルマをキャンバスに見立てて製作したアートカーを5台紹介します。

走らせるのがもったいない! 美術館で眺めていたいアートカー

 クルマのボディをキャンバスに見立て、アーティストがペイントしたクルマをアートカーと呼びます。BMWが時代を代表する芸術家に依頼して製作したアートカーで世界的に認知されるようになりました。
 
 アートカーには、どのようなものがあるのでしょうか。5台をピックアップして紹介します。

アレクサンダー・カルダーが手がけたBMW「3.0CSL」(1975年)
アレクサンダー・カルダーが手がけたBMW「3.0CSL」(1975年)

●アレクサンダー・カルダー/BMW「3.0CSL」(1975年)

 最初のBMWのアートカーは、1975年のBMW「3.0CSL」のレーシングマシンでした。手がけたのはアレクサンダー・カルダーです。
 
 アレクサンダー・カルダーは、アメリカ合衆国の現代美術家で、動く彫刻といわれる「モビール」を最初に制作した人物として知られています。
 
 美術商でレーシングドライバーでもあった友人のエルベ・ポーランに依頼されたのがきっかけで、カルダーはBMW 3.0CSLのボディにペイントを施しました。

 赤や黄色、青色といった原色を使ったペイントは、カルダーのモビール作品によく使われるカラーで、とても躍動的であるのが特徴です。
 
 このカラフルなレーシングマシンは、1975年のル・マン24時間耐久レースに参戦し、その美しさゆえに大反響となりました。この反響を受けて、BMWはレーシングマシンのペイントを芸術家に依頼するようになりました。
 
 フランス・パリのポンピドゥ・センターなど、世界各地でカルダーのモビール作品を見ることができますが、日本でもカルダー作品を直接鑑賞できる場所があります。それは名古屋美術館前に屋外展示されている『ファブニール ドラゴンII」(1969年)という作品です。名古屋美術館を訪れた際は、ぜひご覧になってください。
 
●アンディ・ウォーホル/BMW「M1プロカー」(1979年)

 アメリカ合衆国のポップアートの旗手であるアンディ・ウォーホルもBMWのアートカーを手がけています。BMWのアートカーとしては4台目となる「M1プロカー」を1979年に製作しました。
 
 アンディ・ウォーホールは、キャンベルのスープ缶やシャネルNo5などのプロダクトやマリリン・モンローやエルヴィス・プレスリーといった著名人のシルクスクリーン作品で有名です。
 
 ウォーホルの作品は大量消費のアメリカ資本主義を体現している商業絵画でした。しかし、彼が手がけたM1プロカーは違いました。
 
 ウォーホル以前のBMWアートカーは、5分の1スケールのモデルにペイントし、それを忠実にペイントショップのスタッフが実車に再現して製作されました。
 
 しかし、ウォーホールは自らがミュンヘンに赴き、M1のボディに自らの手で刷毛を用いてペンキを塗りたくったのです。その時間はたったの24分ほどといわれています。リアバンパーには、ペンキが乾く前に自身の指で署名されています。
 
 ウォーホルのM1プロカーの作品は、彼の手掛けるシルクスクリーンと違い、完全なる1点ものの作品となりました。アレクサンダー・カルダーやフランク・ステラの製作した3.0CSL、ロイ・リキテンスタインが手がけた「320 グループ5」は計算され尽くしたバランスを保っていますが、ウォーホルのM1は刷毛跡もなまなましく残った即興的な作品です。

 このM1は、ル・マン24時間レースに参戦し、6位でゴールしています。

●ジャニス・ジョブリン/ポルシェ「356カブリオレ」(1968年)

 BMWがアートカーのシリーズを展開する以前にも、クルマのボディをキャンバスに見立てたクルマがありました。それは、1960年代後半を象徴する女性ロックシンガー、ジャニス・ジョブリンの愛車ポルシェ「356カブリオレ」です。
 
 この356カブリオレは1964年製で、1968年にジャニスがビバリーヒルズのディーラーから購入。そして当時彼女が参加していたユニットである「ビッグ・ブラザー・アンド・ザ・ホールディング・カンパニー」のツアーマネージャーであるデイヴ・リチャーズにペイントを依頼したとされています。

 そのジャニスの要望に応じて「宇宙の歴史」というタイトルでペイントされた356カブリオレは、当時のヒッピーカルチャーを反映した作品となりました。
 
 ジャニスは常にこのド派手な356カブリオレで出掛けていったそうですが、出先でクルマに戻ると、ワイパーには必ずファンからのメッセージが挟んであったそうです。
 
 惜しくもジャニスは1970年に27歳という若さで、薬物中毒により他界します。1973年には遺族によりオリジナルのドルフィングレーに塗り直されましたが、その20年後に当時の写真をもとにジャニスが愛したペイントに戻され、1995年以降はアメリカ・オハイオ州のロックンロールの殿堂に展示されます。
 
 そして2015年にニューヨークで開催されたRMサザビーズのオークションで、当時のポルシェ356の落札価格として史上最高の176万ドル(当時の日本円でおよそ2億1000万円)で落札されました。

走る芸術作品をじっくり鑑賞!(39枚)

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