MINI史上最強スペック!? 新型「MINIクラブマンJCW」は走りの2面性が魅力
従来のMINIに懐の深さがプラス! 速く快適に走ることが可能なチューニング
エンジンはとにかく「速い」のひと言に尽きます。高出力ユニットですが、最新エンジンだけあり実用域もフレキシブルな特性を備えています。回すほどに本領を発揮する性格です。
車両重量は1.5トン超えと意外と重量級ですが、それを感じさせない絶対的な力強さはもちろん、レスポンスの鋭さやエンジンサウンドなど、従来モデルが“普通のエンジン”に感じてしまうほどの差を感じました。
ちなみにアウトバーンでは200km/h巡航も楽々で、今回の試乗では250km/h(リミッター作動)という最高速度に迫る240km/hオーバーを記録しました。
8速ATは、ノーマルモードではスムーズさ重視ですが、ドライブモード「スポーツ」を選択するとシフトスピードとダイレクト感を重視した制御で、これなら「DCTいらず」だと感じました。
ちなみに減速中にシフトダウン側のパドルを引き続けると、車速に応じた最適なギアまで自動でシフトダウンが可能な機能も用意されています。これはスポーツドライビング時に非常に嬉しいアイテムです。
ボディサイズ/車両重量を感じさせないクイックで軽快でハンドリングは健在ですが、LSD効果も相まってワンディングでは従来モデルよりもグイグイとノーズをイン側に向けてくれます。
回頭性の高さと絶大なリアの安心感はもちろん、3ドアと比べると薄皮一枚挟んだかのような心地よい“タメ”があるのでコントロール性も高く、100km/hで流れる白線のないワインディングでも、安心して走らせることが可能でした。
一方、高速道路ではセンター付近に心地よいダルさを持ったステアリング、重さを活かしたシットリとした足の動き、硬めながらもフラット感が高く、よほどの凹凸でなければアタリも優しい快適性など、グランドツーリング性能はオプションのアダプティブダンパーを選択しなくても高いと感じました。
従来モデルはドライバーファーストな乗り味、つまり確信犯的なハードなセットアップでしたが、新型は優しさがプラスされています。これは乗り心地のために甘口になったのではなく、懐が深くなった結果だと思います。
このように、ワインディングでは「スポーツカー」、高速道路では「グランツーリスモ」の2面性の走り、そしてファミリーカーとして使える居住性/ラゲッジスペースを兼ね備えた新型のMINIクラブマンJCWは、筆者(山本シンヤ)はMINIシリーズのなかでもっとも「マルチパフォーマンス」を備えた1台だと思っています。
日本への導入が非常に楽しみです。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
頻繁に届くようになったこの「くるまのニュース」を停止して頂きたいのですが、指示する方法が分かりません。