GT-R顔で「スカイライン」復権? デザイン変更したセレナは大丈夫か

クルマのデザインは、その時代に合わせて変わっていきます。しかし、当時人気だったモデルでもデザイン変更をした結果、人気が低迷することもあり、とくに日産車では過去にいくつかの車種がそのデザインによって浮き沈みしています。クルマのデザイン変更にはどのような背景があるのでしょうか。

日本が誇る「スカイライン」。なぜ人気が低迷したのでしょうか。

 クルマのデザインは人気の良し悪しを決める重大なポイントです。先代モデルでは人気だったのに、デザイン変更後のモデルでは、ユーザーから不評となり人気が低迷したクルマも存在します。

 とくに日産車では、過去にデザインの良し悪しで人気が低迷したモデルがいくつもありますが、具体的にはどのような点が不評となったのでしょうか。

●日産「スカイライン」

GT-R顔に寄せたマイナーチェンジ後の現行「スカイライン(V37型)」
GT-R顔に寄せたマイナーチェンジ後の現行「スカイライン(V37型)」

 日産「スカイライン」の歴史は古く、1957年の販売開始から2019年で62年の歴史をもち、現行モデルで13代目という息の長さを誇ります。そのスカイラインもまた、フェイスデザインの変更に苦戦を強いられた時期があります。

 1998年に発売した、「第2世代」といわれる10代目スカイライン(R34型)は、8代目スカイライン(R32型)から引き継ぐスッキリとしたデザインを踏襲しつつ、直線基調のデザインと吊り目タイプのヘッドランプをもつフェイスデザインが特徴的でした。

 スカイラインを冠した最後のモデルであるGT-R(R34型)とともに人気を博したものの、排出ガス規制非適合や日産の経営状況の悪化といった問題から、わずか3年で販売を終了することとなりました。

 その後継車として、2001年に登場した11代目スカイライン(V35型)は、往年のスカイラインファンからは受け入れがたいものでした。

 元々、V35型はスカイラインとは別モデルとして開発が進められており、1999年の東京モーターショーでは「XVL」という名前で出展がされたモデルです。

 そのためスカイラインの象徴といえる丸形テールランプの廃止や、アグレッシブなデザインが特徴的であった先代スカイラインから一転、落ち着きのある大人しすぎるデザインは、旧来のスカイラインファンからは不評を買い、同時に販売も低迷する要因となりました。

 その後、2006年から2014年まで12代目モデル(V36型)、2014年から現在まで13代目モデル(V37型)とフルモデルチェンジを繰り返していますが、かつての勢いはないといっても過言ではありません。

 しかし、2019年7月にはビッグマイナーチェンジがおこなわれ、現行GT-R(R35型)のフェイスデザイン寄りにデザインが変更されるとともに、13代目になった際にインフィニティエンブレムを装着していましたが、日産のエンブレム戻ったなど久しぶりの注目を集めています。

●日産「マーチ」

可愛らしいデザインで人気だった3代目マーチ(K12型)
可愛らしいデザインで人気だった3代目マーチ(K12型)

 日産を代表するロングセラーコンパクトカーである「マーチ」もまた、デザインの変更に泣かされたクルマの1台です。

 2002年に登場した3代目マーチ(K12型)は、カルロス・ゴーン氏が日産のCEO着任後に初めて開発された車種として注目が集まりました。

 販売台数においては、当初の月間目標台数8000台を上回る月平均1万4000台を記録し、人気車種へと躍り出ます。また、ルノーとの共同開発によって開発された新プラットフォームを初採用したモデルです。

 デザインにおいては、くりっとした丸みを帯びたヘッドランプを搭載するカエルのような可愛げのあるフェイスが国内外で人気を博しました。

 その後、ライバル車の登場などにより爆発的ヒットとまではいかないものの、販売台数をコンスタントにキープする日産の定番コンパクトカーとしての地位を確立します。

 しかし、2010年に登場した4代目マーチ(K13型)は、先代で評価を得たユニークなデザインから一転、低価格かつシンプルなクルマとして登場した結果、ユーザーからの評価は芳しくありませんでした。

 とくに、K12型の高いデザイン性を踏襲する形で設計された外観デザインは細部の修正にとどまり、逆に前時代的な特徴のない外観に見え、先代マーチの持つユニークな特性を打ち消す結果となります。

 2010年の販売開始から2019年で9年が経過しましたが、1か月の販売は1000台前後に留まっており、日産の定番コンパクトカーとは呼べない存在となっています。

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