自動運転は実現可能か? 安全確保に必要な制度整備とは?
国土交通省は、2020年を目途に実用化を目指す高度な自動運転のため、道路運送車両法に基づく安全確保のための各種制度について、「ドライバーによる運転を前提とした制度」から「システムによる運転も想定した制度」に見直すことが必要としています。
安全確保を最優先に、必要な制度整備の推進を目指す
国土交通省は、2018年9月に国土交通大臣の諮問に応じて交通政策の重要事項を調査審議し、関係各大臣に意見陳述する使命を持つ“交通政策審議会”のもとに小委員会を設置。自動運転車等の設計・製造過程から使用過程にわたる総合的な安全確保に必要な制度のあり方についての報告書を2019年1月15日に公表しました。
今回の取り組みでは2020年を目途に実用化を目指す「レベル3」相当の条件付自動運転を実現するため、保安基準、型式指定(認証)、点検整備、検査、リコールの5つの制度について、現行での評価を行うとともに、今後の方向性が検討されています。
報告書の主なポイントは以下の通りです。
[1]保安基準
・自動運転車の安全性を担保するため、「自動運転車の搭乗者及び歩行者等の周囲の交通参加者に危険を及ぼすおそれのないものであること」といった自動運転システムの基準を策定すべき
・速度・ルート・天候・時間等、自動運転車が走行可能となる条件について、国がその妥当性を確認すべき
[2]型式指定(認証)・ソフトウェアの変更
・自動車の安全性に大きな影響を及ぼすソフトウェアの配信について、国がその適切性を確認する制度を創設すべき
[3]点検整備
・自動ブレーキのカメラの取り外し等、装置の作動に影響を及ぼすおそれのある整備・改造を新たに「分解整備」の対象とし、「特定整備」(仮称)とするとともに、これを行う事業者の認証を行うべき
・先進技術の点検整備に必要な技術情報が整備事業者等へ提供されるよう制度・環境を整備すべき
[4]検査
・国は、上記検査に必要な技術情報を一元的に管理し、検査を実施する者に提供される仕組みを構築すべき
[5]リコール
・リコールの迅速な実施に対する社会要請に応えるため、自動車製作者等は、強制的なアップデートについて、使用者の事前同意を得るとともに必要な情報提供を行うべき
※ ※ ※
国土交通省の資料によると、レベル5を頂点とする「自動運転のレベル分け」のレベル3以上では、運転の所在が「ドライバー」から「システム」へと切り替わります。同省ではそうしたことを踏まえ「本報告書に基づき、安全確保を最優先に、必要な制度整備を着実に推進して参ります」とコメントしています。
【了】