7年ぶり全面刷新! メルセデスベンツ新型セダン「CLA」どんなモデル? 斬新なデザインに激変の「3代目」はどのような進化を遂げたのか
メルセデス・ベンツの日本法人は2026年4月22日、新型「CLA」の内燃機関(ICE)モデルを日本で初公開しました。今回その新型「CLA」の内燃機関モデルに山本シンヤ氏が試乗しレポートします。
7年ぶり全面刷新の“日本に適した”セダン
2026年はカール・ベンツが自動車を発明してから140年という節目の年です。電動化や知能化の波がかつてないスピードで押し寄せる昨今ですが、そんな中メルセデス・ベンツが示す最新の回答となるのが、3代目へと進化した新型「CLA」です。
初代CLAは2013年、「4ドアクーペ」という全く新しいスタイルをコンパクトセグメントに持ち込みました。2015年には高い実用性を兼ね備えた「シューティングブレーク」を追加し、クーペとワゴンの美点を併せ持つ独自の立ち位置を確立。
2019年には2代目へとフルモデルチェンジし、走行性能・先進性ともに大きな飛躍を遂げています。累計販売台数はグローバルで大きく伸び、日本市場だけでも6万台を超えるヒット作となりました。
さらに忘れてはならないのは、このCLAというモデルが持つグローバルでの重要性です。日本はもちろんのこと、世界最大の自動車市場である中国や、プレミアムカーの主戦場である北米市場においてもブランドの屋台骨を支えるモデルとなっています。だからこそメルセデス・ベンツも、今回の7年ぶりのフルモデルチェンジには並々ならぬ情熱と技術を注ぎ込んだと、筆者(山本シンヤ)は分析しています。
そんな満を持して登場した3代目は、基本骨格からパワートレイン、電子アーキテクチャに至るすべてを刷新。市場で大きな注目を集めているのはBEV(電気自動車)モデルですが、今回はもうひとつの選択肢である1.5リッターターボ+48Vマイルドハイブリッドを搭載したモデル。それも最もベーシックなグレードとなる「CLA 180」に試乗しました。
ベーシックグレード=素うどんのようなモデルと思われがちですが、装備や機能のトッピングはデフォルトでモリモリ状態です。
エクステリアはスタイリッシュフォルムを継承しつつ、電気自動車ブランド「EQ」シリーズで培われた先進的なディテールが巧みに融合。先代と比べると縦方向に若干厚みが増した感じはありますが、スタイリッシュさは健在です。
ちなみに世界初公開時に賛否が沸き起こりましたが、実車を見て「写真写りが悪いのね」と。
ボディサイズは全長4725mm×全幅1835mm×全高1470mmと日本で使うにはまさにピッタリの“ジャストサイズ”です。日本の都市部に多い全幅1850mm制限の機械式立体駐車場やタワーパーキングにも余裕で収まります。
クーペらしい低いシルエットと流麗なルーフラインは優れた空力特性(Cd値)を実現しており、高速走行時の風切り音低減と走りの安定性にしっかりと寄与しています。
インテリアはシンプルでありながら先進的なデザイン空間が広がります。
「日本の禅の庭」からインスピレーションを受けたといいますが、個人的には結構“味濃いめ”です。
ダッシュボードには、メーターパネルから助手席までをシームレスに覆う超大型ディスプレイパネルが鎮座しており、圧倒的な先進感を演出(このあたりは好みや好き嫌いが分かれる部分でしょう)。左右の吹き出し口には、先代から受け継がれたタービン形状のエアベントが配置され、スポーティなアクセントとなっています。
ただ、日常での使い勝手も着実に進化しています。これまで賛否があったステアリング上の静電容量式タッチスイッチが見直され、一部は触感で確実に操作できる物理ボタンが復活。走行中の直感的な操作性が向上しているのは、言わずもがなです。
ルーフには遮熱・ウインドウ着色技術を取り入れた大型パノラミックガラスルーフを採用。シェードレス構造でありながら直射日光による熱の侵入を抑制……とのことですが、日本の近年の灼熱に対応するため、インポーターが独自で後付けシェードを開発しているそうです。
クーペスタイルながらも居住性は必要十分なスペースを確保。ヘッドクリアランスを犠牲にすることなく、開放感に満ちた室内空間を作り出しています。

メカニズムの大きなポイントの1つが、新開発プラットフォーム「MMA(メルセデス・ベンツ・モジュラー・アーキテクチャ)」の採用です。このプラットフォームは“BEVファースト”のマルチパースウェイ・プラットフォームで、BEVと内燃機関車(48VマイルドHEV)を大きな変更なく対応可能としています。
かつてメルセデス・ベンツは内燃機関車と電動車(EQシリーズ)でラインアップを明確に切り分けていましたが、現在はそれらを一車種に集約し、1つのモデルでマルチなパワートレインを選択できる戦略へと舵を切っており、新型CLAはその旗振り役となる存在です。サスペンション形式はフロントに3リンク、リアにマルチリンク構造を採用し、高い剛性と追従性を誇ります。
パワートレインは新世代の1.5リッター直列4気筒ガソリンターボ(M252型)を搭載。制御違いで2つの出力を用意していますが、試乗したCLA 180は最高出力100kW(136ps)/最大トルク200Nmとなります。
トランスミッションは22kW(30ps)/200Nmのモーターを内蔵した8速eDCTの組み合わせです。
このシステムは「48Vマイルドハイブリッド」と謳いながらも、1.3kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせることで、限りなくフルハイブリッドに近い走りを可能にしています。
トランスミッションには奇数段用・偶数段用のクラッチに加え、エンジンを動力伝達系から完全に切り離すための「第3のクラッチ」を用意。これにより「EV走行」も可能となっています(高速時でもアクセル開度に応じて積極的にエンジンOFFします)。
加えて、エアコンコンプレッサーには48V電動コンプレッサーを採用。アイドリングストップ時やEV走行時であっても冷暖房性能が低下しない配慮も抜かりありません。
電子アーキテクチャには、独自開発の「MB.OS」を搭載。インフォテインメント系をQualcomm製チップ、自動運転・アシスト系をNVIDIA製高性能チップがそれぞれ対応、OTAアップデートによる将来的な“機能進化”を可能にしています。
インフォテインメント(MBUX)は第4世代となり、生成AI(Google GeminiやChatGPT等)が組み込まれ、自然な対話による車両操作や情報検索が可能になっています。色々試してみると「指で操作する」機会はほぼ不要なレベルと言えるでしょう。
更に対話相手となる画面上のバーチャルアシスタントは3種類から好みに応じて選択可能。愛着を持ってコミュニケーションを楽しめる演出も嬉しいです。
先進運転支援システム(ADAS)も広角カメラや遠距離センシング技術が大幅に強化されており、高い認識精度を確保しています。
では、実際どうだったのか。走り始めて最初に感じたのは、車体全体の圧倒的な剛性感です。サスペンションやタイヤの位置決めが良いのは言わずもがなですが、これまでのメルセデス・ベンツとは明確に異なる圧倒的なボディの「塊感」で、走り出した瞬間から「硬質でしっかりとしたモノに乗っている」という強い安心感があります。
日常域では想像以上にEV走行での粘りが強く、滑らかで静粛な走りを見せます。エンジンがかかる際も、アクセル開度がそれほど大きくない状況では音やショックは巧みに遮断されており、プレミアムセダンにふさわしい仕上がりと言えるでしょう。
しかし、車線変更や合流時など、瞬間的に強めの加速をするシーンでは少々課題も。EV走行状態からアクセルをグッと踏み込んだ際、「EV走行からエンジン始動→クラッチの締結→ギヤの選択」という一連のステップにおいて、一瞬のタイムラグが気になりました。どこかで味わった既視感があると思ったら、かつてのホンダの「スポーツハイブリッド i-DCD」に近いフィーリングです。
フットワークは全体的にスポーティに引き締められており、路面状態が良い綺麗な舗装路では滑らかなフラット感を見せますが、目地段差や荒れた路面では初期入力の硬さが少々気になります。
加えて、キャビンの遮音性が高いゆえに、荒れた舗装路ではタイヤからのロードノイズが相対的に目立ってしまう傾向がありました。
ただ、速度域が時速70km/hを超えて高速道路の巡航に入ると、低速域で感じた硬さは洗練されたしなやかさへと一変します。路面の大きなうねりや小刻みなギャップを上手にいなし、車体をフラットに保ち続けます。
さらに優れた空力性能によって風切り音も最小限に抑えられており、コンパクトクラスの枠を超えたドッシリ感と重厚感です。
アダプティブクルーズコントロール(ACC)は、高速域での前走車追従や減速制御が非常に人間的でシームレスです。ただし、ステアリングアシストの味付けはややセンシティブな印象を受けました。
白線認識自体は優秀ですが、そこからの制御が切り始めでやや過敏に反応して修正操舵の連続になりがちで、ここはもう少し熟成を期待したい所です。
ワインディングに持ち込むと、ドライバーズカーとしての本領を存分に発揮します。小気味よいパワートレインとシャシーセッティングのおかげで、ステアリングを切り込んだ瞬間のノーズの入り方が極めて鋭く、まるで4WS付きと錯覚するくらい車体全体が一体となって綺麗な旋回を見せます。
前輪駆動(FF)ベースでありながら前傾姿勢になることなく4輪にバランスよく荷重が分散し、ロール量も極めて少ない印象です。
ドライブモード(ダイナミックセレクト)を「SPORT」に入れると、ステアリングの手応えが明確に増し、スロットルレスポンスとモーターのアシスト感が一段とダイレクトになります。
モーターアシストもアクセルを踏んだ瞬間から即座に立ち上がり(パワーメーターで解る)、上り勾配のコーナーからの立ち上がりでもシフトダウンすることなくグイグイと車体を前へ推し進めるトルク感は1.5リッターと思えないほど。DCTならでもはキレの良い小気味よいフィーリングも爽快です。
ちなみにパワートレインの美味しい領域は2000〜3500rpm付近のようで、4000rpmを超えて高回転まで引っ張り上げると、雑味の多いノイズとザラついたフィーリングが目立ってしまう印象を受けました。
高回転まで回して走るというよりも、ポンポンと小気味よく早めにシフトアップしていく走りこそが、このパワートレインの旨味を最も引き出せるアプローチだと感じます。
そろそろ結論に行きましょう。街乗りでの超低速域のコントロール性や快適性に若干の欧州主導の味付けを残しますが、ドライブフィールや安心感、デジタルネイティブも納得の先進性、そして何より日本の住環境にストレスなく溶け込むサイズ感と総合的な満足度は極めて高いと思っています。
個人的には「扱いやすさ」と「質の高さ」、そして「デジタル」を最もバランスよく備えた、新世代メルセデス・ベンツと言えるでしょう。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。













































































