リッター29km走る! トヨタの「小型スポーツセダン」に注目! 全長4.4m「カローラ」級ボディ×精悍「大口グリル」がカッコいい! 完成度高すぎな「ヤリスATIV“GRスポーツ”」タイモデル 日本導入にも期待大タイモデル 日本導入にも期待大
「バンコク国際モーターショー2026」の会場で目にした日本未導入モデルであるトヨタ「ヤリスATIV GRスポーツ」。見た目の演出にとどまらず、日常域での走りにまで手が入れられたこのモデルは、コンパクトセダンの新たな魅力を提示していました。
日本「未導入」がもったいない!
タイで販売されているトヨタ「ヤリスATIV(エイティブ) GRスポーツ」は、本格的な高性能スポーツではなく、日常でスポーツ性を感じさせることに主眼を置いた一台です。
足まわりや操作系の質感にも手が入れられており、想像以上の完成度でした。
トヨタ・モーター・タイランドが製造・販売する「ヤリスATIV」は、2022年に登場した5人乗りの小型4ドアセダンです。
ダイハツが車両開発を担っており、トヨタブランド車として、タイやマレーシアの工場で生産されています。
その上級仕様であるヤリスATIV GRスポーツは、2025年8月に販売開始されたモデルで、専用の内外装とシャシーチューニングによってキャラクターを引き締めているのが特徴です。
パワートレインは1.5リッター直列4気筒エンジンに電気モーターを組み合わせたHEV(ハイブリッド車)です。
29.4km/Lの低燃費は、タイ国内のHEVのなかでも最高値だといいます。
ボディサイズは全長4425mm×全幅1740mm×全高1480mmと、日本の「カローラ」(全長4495mm×全幅1745mm×全高1435mm)とほぼ同等のサイズ感で、コンパクトカー「ヤリス」の名称からイメージすると、ひとクラス上のクルマといった印象です。

筆者(自動車ジャーナリスト 吉川賢一)は、2026年3月25日から4月5日までタイで開催された「バンコク国際モーターショー2026」の会場で実車を確認してきました。
まず印象に残ったのは、エクステリアの仕立てでした。
展示車は鮮やかなレッドのボディカラーをまとい、ベースが実用的な4ドアセダンであることを感じさせないほど、全体の印象が引き締められています。各部には専用エアロパーツが効果的に配置され、視覚的なスポーティさをうまく演出しています。
フロントまわりは開口部を横方向に広く見せるデザインと、バンパー下端の張り出しによって視覚的な重心を低く演出しています。ハニカムメッシュのグリルやシャープなヘッドライトと組み合わさることで、コンパクトながら安定感のある表情に仕上がっています。
ボディサイドはサイドスカートによってボディ下部のボリュームを整え、リアには控えめなスポイラーとバンパースカートを装着。いずれも派手さはありませんが、面のつながりとエッジの処理によって、全体としての一体感を高めています。
リアまわりも含め、装飾ではなく「姿勢」を整える方向でまとめられている点が特徴的です。
足元には17インチタイヤ(205/50R17)を装着し、サスペンションも専用チューニングが施されています。
過度にローダウンすることなく、あくまで日常域での乗りやすさと操縦安定性のバランスを取った設定とされており、この“やり過ぎない”方向性が、結果としてクルマ全体の完成度を引き上げている印象です。
インテリアはブラック基調でまとめられ、スポーティさと落ち着きを両立した空間です。
室内自体はコンパクトですが、そのタイトさがドライバーとの距離を縮め、操作系への集中を高めています。
GRロゴ入りの本革巻きステアリングホイールや専用スポーツシートなど、身体が触れる部分に重点的にコストが配分されている点も特徴で、触感と視覚の両面から“運転している実感”を強める構成です。
助手席側まで伸びる赤いアクセントラインも印象的で、単なる装飾ではなく、視線の流れを意識した演出として機能しています。このあたりのまとめ方は非常に巧みです。
車両価格は、標準モデルのヤリスATIV ハイブリッドが72万9000バーツ(約360万円)、GRスポーツが77万9000バーツ(約384万円)です(2026年5月上旬の為替レートで換算)。
タイ市場、とくにバンコクではクルマが生活の中心にあり、移動手段であると同時に自己表現の手段としての意味も持っています。そうした背景のなかで、メーカー自らが“カスタムされた状態”を提示するモデルには一定の需要があるといわれています。
ヤリスATIV GRスポーツは、まさにそのニーズに応える存在です。
ユーザーが一から手を入れなくても、最初からバランスよく仕立てられている。この完成度の高さが、現地での支持につながっていると考えられます。
※ ※ ※
ヤリスATIV GRスポーツは、突出した性能を追求したモデルではありません。
しかし、日常域で感じられるスポーツ性を、外観・足まわり・操作系の各要素で丁寧に積み重ねた結果として、非常にバランスの取れた一台に仕上がっています。
日本未導入が惜しまれますが、手の届く価格帯で“走りの雰囲気”を楽しむことができるこのヤリスATIV GRスポーツのようなモデルは、日本市場でも一定の支持を得る可能性がありそう。ぜひ期待したいところです。
Writer: 吉川 賢一
日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さを伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナなど








































