後席シートベルト義務化から10年 認知度低く約3人に2人が「着用していない」 死傷者数に変化は?
シートベルトの着用状況は?
一般道路でのシートベルト着用率は、運転席98.6%、助手席95.2%だったのに対し後席36.4%と著しく低下します。約3人に2人にあたる63.6%の人が後席ではシートベルトを『着用していない』と回答しています。
高速道路での、後席における着用率は74.4%と約4人に1人が非着用となり、一般道より着用率は高いものの運転者や助手席に比べ低い状況です。なお、シートベルト非着用時(全席)の致死率(死傷者数に占める死者数の割合)は、着用時の約15.3倍も高くなっています。(2017年JAFと警察庁の合同調査より)
シートベルト非着用の場合、『車内で全身に強い衝撃を受ける』『車外に放り出される』という危険性があります。さらに後席の場合は前席の同乗者に被害を及ぼすなど二次被害が起こる可能性も考えられます。シートベルトは、正しく装着すると交通事故にあった場合の被害を大幅に軽減できるはずです。
2008年(平成20年)の道路交通法改正から約10年。後席シートベルト義務化の背景や死傷者数の変化について、警察庁は次のように話します。
――後席シートベルトの着用義務化となる制定背景を教えてください。
シートベルト着用による交通事故の被害軽減効果は非常に高く、前後席に関わらずシートベルトを着用することが望ましいと考えられていました。後席については、1985年(昭和60年)以来、着用が義務化されておらず、努力義務とされていました。
しかしながら、2008年(平成20年)頃に欧米諸国のほとんどの国が既に後席シートベルトの着用を義務化しており、我が国でも世論調査の結果、過半数が義務化に賛成するという状況だったことから、義務化を図る時期と判断しました。
――後席シートベルト義務化から現時点(2018年)までは、死傷者数に変化はありましたか。
後席シートベルトを非着用時の死傷者数は、2009年(平成21年)時に2万2953人でしたが2017年(平成29年)では1万2779人となり、1万0174人の減少という状況です。
――後席シートベルト非着用の致死率について教えてください。
交通事故時に後席シートベルトを着用していない場合の致死率は、着用時0.20%に対して非着用時は0.59%と着用時に比べて約3倍高くなっています。
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また、2017年6月に国土交通省は、シートベルトをせずに走行すると警報音が鳴る『シートベルトリマインダー』の設置を、2020年9月1日以降に発売されるすべての新型乗用車に義務付けることを発表しました。
従来の『シートベルトリマインダー』による警報の対象を拡大し、後席を含むすべての座席が対象となります。これによって、後席シートベルト着用率の大幅な向上と交通事故被害軽減効果が期待されています。
シートベルトに限らず、安全性を高めるため運転者に対する罰則強化やクルマ側の規制強化は重要なことです。しかし、運転手と同乗者が常に安全意識を持つことが一番の対策といえます。
【了】