日産の「“2階建て”エルグランド」に大注目! 高級ミニバンが「大人4人」寝られる2段ベッド車に!? カタツムリみたいな「ひろびろボディ」も完備のメーカー純正車中泊モデル「フィールドベースX」どんなクルマ?
国産高級ミニバンの祖である初代の日産「エルグランド」に、車体を大幅に変更して広い車内を実現した純正キャンピングカー「フィールドスターX」が存在したことをご存知でしょうか。ベースとなった「パラメディック」と合わせて紹介します。
広々キャンパーのベースは使い勝手を極めた「緊急車両」!?
1997年に誕生した初代の日産「エルグランド」は、国産高級ミニバンの祖として知られています。
そんなエルグランドの車体を大幅に変更して広い車内を実現した、純正のキャンピングカー「フィールドスターX」が存在していました。
2025年秋の「ジャパンモビリティショー2026」で先行公開され、2026年夏の発売予定がアナウンスされている日産の新型「エルグランド」(4代目)がいま注目を集めています。
そんなエルグランドの初代の登場は、いまから30年近く前の1997年5月のことでした。
商用1BOXバン「キャラバン」「ホーミー」の高級乗用仕様を発展させて誕生したエルグランド(E50型)は、これまでにないエポックメイキングな国産高級ミニバンとして、大ヒットを記録しています。
その初代エルグランドには、メーカー純正のキャンピングカーが設定されていました。
そのひとつが、オーテックジャパン(現:NMC)が架装した「フィールドベース」で、同年10月に追加されました。
エルグランド自慢の広い車内を生かしてコンロやシンクを配置したほか、セカンドシートとサードシートをフルフラットにして生まれる下段ベッドのほか、吊り下げ式の子供用上段ベッドを備えていました。

そして2000年には、ノーマルのエルグランドと大きく異なるスタイルが特徴の「フィールドベースX」も発売を開始しています。
フロントドアまではエルグランドの形状ですが、そこから後ろ側はいかにもいかにも「後付け」した感がある箱型車体が繋がれています。
商用車に詳しい人なら、この「追加部」が3代目キャラバン/ホーミー(E24型)の車体だ、と気づくのではないでしょうか。
実はフィールドベースXは、エルグランドをベースにした消防庁認定の高規格救急車「パラメディック」(厳密には2代目。初代は2tクラス小型トラックの日産「アトラス」やいすゞ「エルフ」がベース)をキャンピングカー仕様に設計変更したもの。
そのためこのような独特のスタイルを持っているのです。
パラメディックは、迅速な救急救命活動を行えるよう患者室の空間を大きく取っています。
その結果、車体幅はエルグランドの1775mmから1900mmへと拡大、ホイールベースと全長もそれぞれ2900mmから3390mm、4740mmから5640mmへと延伸。室内寸法も拡大し、長さ4110mm、幅1780mm、高さ1850mmを確保して、車内で立ったまま活動が可能となりました。
また、従来の1BOXバンベースの救急車では運転席・助手席直下にエンジンを納めていたために不可能だった、助手席(隊長席)から患者室へのウォークスルーも実現。
最新の医療機器を車内に効率的に配置しただけでなく、右側後部窓部には交通事故時などの救出活動に用いるレスキュー用品を収納できる「サイド収納ボックス」を設けるなど、極めて機能的な設計がなされていました。
車両総重量は2WD車で2985kg、4WD車では3065kgに達しましたが、240psを発生する3.3リッターV6ガソリンエンジン「VG33DE型」により、高規格救急車にふさわしい高性能を確保。環境性能も両立していました。
つまりフィールドベースXは、パラメディックが備える広くて高い室内という美点をそのまま継承したことで、キャンピングカーとしての使い勝手や居住性もより一層向上していました。
フィールドベースXの車内には、横向きシートと前向きのリクライニングシートを装備しており、脱着式テーブルを用いてダイネットモードを作ることができました。
ベッドは、これらのシートを展開後、横向きシートの背もたれを敷くことで完成。大人2名の就寝を可能としました。
さらにハイルーフ部には、大人2名がゆったり横になれる上段ベッドを設けられ、上下で計4名の就寝ができます。
車内後端には、左側に給排水タンク・シンク・カセットコンロを備えたギャレーを置いています。さらに右側には、冷蔵庫を載せられるキャビネットをオプションで設定していました。
この他にもルーフベンチレーター、サイドオーニング、ハイルーフ部に設けるスライドウィンドウ、脱着式網戸、100V外部電源入力コンセント、換気扇など快適なキャンピングカーライフを楽しめるオプションも豊富に用意されていました。
エンジンは、VG33DE型ガソリンエンジンに加え、3リッター直列4気筒インタークーラー付き直噴ディーゼルターボ「ZD30DDTi」型エンジンが選択でき、駆動方式もそれぞれ2WD・4WDをラインナップしていました。
なお、初代エルグランドベースのパラメディックを活用したモデルとして、他にも「エルグランド ジャンボタクシー」というタクシー用モデルも存在しました。
同車も室内空間のゆとりを有効に使い、リクライニング可能なシートを3列設置。2人+2人(+補助席)+3人の計8人と、運転席・助手席を合わせて合計10名の乗車が可能でした。
エルグランド ジャンボタクシーも3.3リッターV6ガソリンに加え、3リッターディーゼルも選ぶことができ、経済性を高めていました。
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フィールドベースXとジャンボタクシーの架装は、パラメディックと同じくオーテックジャパンが担当しています。
発売が待たれる新型エルグランドに、このような大幅に車体を改装した特装車が用意される可能性は低いかもしれません。
しかしNMCは今も、「マルチベッド」などの車中泊モデルを積極的に展開している架装メーカーとしても広く知られています。
新型エルグランドのメーカー純正キャンピングカーの登場も、大いに期待したいところです。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。






































































