名車「ヨタハチ」が奇跡の復活! 新車どころか“工場出荷状態”を完全再現! トヨタの匠が“本気”出して復元したスポーツカー「パブリカスポーツ」と共にAMS2026で公開
「オートモビルカウンシル2026」のトヨタブースに置かれたレストア済みの「スポーツ800」には、トヨタの「いいクルマづくり」への高い意識と、スタッフの真摯な思いが詰まっていました。
まるで新車! な「スポーツ800」に驚いた!
トヨタ(トヨタ博物館・グローバル生産推進センター)とGAZOO Racingは、「日本車が世界を捉えた日」をテーマに、「2000GT」「スープラ(JZA80型)」「レクサス LFA」「スプリンタートレノ(AE86型)」「スポーツ800(UP15型)」「パブリカスポーツ(レプリカ)」の6台を2026年4月10日から12日かけて開催された「オートモビルカウンシル2026」に展示しました。
トヨタ側ではスポーツ800とパブリカスポーツの2台を並べていましたが、スポーツ800は、「これ新車だよね?」と感じるほどの美しさと仕上がりを見せており、来場者を驚かせていました。
まるで、ヨタハチ(スポーツ800の愛称)が発売された当時のディーラーで、新車を見ている気持ちになったほどです。
それもそのはず。このヨタハチは、なんとまさに当時の「工場出荷状態の再現」をテーマと定め、トヨタの生産現場で働くスタッフがレストアした車両だったのです。
そのテーマに沿ったレストアは徹底して実施されており、エンジンのシリンダーやシートのウレタン、燃料タンクなどは新規に製作。
外装のモールなど新品が入手できないパーツに関しては、元の形状をデータ化し、樹脂の型を起こしてパーツを作成、メッキ加工を施すなどして再現しているとのことです。3Dプリンターや3Dスキャナなど、現代の技術も惜しみなく投入して復元が行われています。
さらに驚くことに、このレストアは、「レストア自体が目的ではない」というのです。「もっといいクルマづくり」を担う人材育成のためにレストア研修が行われたといいます。

トヨタは、モノづくりの「心」を感じること、生産現場で培われた基本技能を生かして技術の応用力を磨くこと、「聴く」「調べる」「やってみる」という工程を経て、行動し、考え、仲間と成長して人間力を養うことが「未来へのクルマづくり」につながると考え、このプロジェクトを進めました。
それぞれのパーツ製作を担当したスタッフは、各分野に精通したプロ集団です。しかしそんな彼らでさえ、図面しか残っていない当時のパーツを作るには幾度もの失敗や試行錯誤を経てようやく完成した、といいます。
レストアに関わったスタッフ数人に話を聞きましたが、みな、完成までのエピソードを楽しそうに、そして嬉しそうに生き生きと話してくれたのも印象的です。彼らのモノづくりへの真摯な思いには、感動さえ覚えました。
創意工夫と努力、やったことのない課題へのチャレンジ、モノづくりの難しさと楽しさへの気づき、そしてチーム一丸となって困難な課題を乗り越えてゴールに達する「あきらめない気持ち」は、スタッフの大切な経験値やモチベーションとなったという、スポーツ800レストアプロジェクト。今後のよりよいトヨタ車づくりに発揮されるのは間違いないでしょう。
そして隣には、スポーツ800のベースとなった「パブリカスポーツ」が展示されていました。
パブリカスポーツは、1962年開催の第9回「東京モーターショー」に展示されたコンセプトカーです。その名の通り、トヨタが1961年に発売した大衆車の初代「パブリカ」をベースにしたスポーツカーで、乗降の際には、ルーフ全体が後部にスライドする構造を特徴としました。
しかし、2台つくられたという試作車は廃棄されてしまいました。
そこで2007年、残されたわずかな設計図や写真資料をもとに、トヨタ社内でパブリカスポーツの復元プロジェクトが立ち上がりました。そして5年もの歳月をかけ、2012年にパブリカスポーツの復元車が完成。走行可能な状態で復活を遂げたのでした。
※ ※ ※
トヨタのスポーツモデルの原点といわれるパブリカスポーツと、その市販モデルであるスポーツ800を隣に並べたトヨタブース。しかもスポーツ800は新車時を目指し復元されているという熱の入れようでした。今後も、ヘリテージカーに対するトヨタの取り組みに期待せずにはいられません。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。














































