“35万円”の爆安「ホンダ・高級ステーションワゴン」実際どうなのよ!? “走行20万キロ”の過走行マシン! 格安「過走行アコードツアラー」の実力をジャーナリストが本気で確かめてみた
かつて400万円以上したホンダの“高級ステーションワゴン”「アコードツアラー」の上位モデルタイプSも今や中古で35万円…。過走行な20万キロの車体を編集部が特別に用意し、モータジャーナリスト山本シンヤ氏に本気でインプレッションしてもらいました。
35万円の高級ステーションワゴン!?
くるまのニュースの情報は基本的に“新車”が中心ですが、リーズナブルにカーライフを送る手段の1つとして“中古車を買う”と言う選択肢もあります。
一口に中古車と言っても、新車同然のモノからかなり使い込まれたモノまで様々です。新車はどれも同じスタートラインですが、中古車は距離/年式はもちろん、走行環境や使われ方、更にはメンテナンスの有無など、同じモノは存在しません。
そんな中でも多くの人が敬遠しがちなのが“過走行”で“激安”のモデルでしょう。「本当に大丈夫?」、「安物買いの銭失い」、「安いには理由がある」と色々な意見はあると思いますが、実際はどうなのか…今回は中古車ジャンキーの編集部員が用意した“35万円の走行20万kmホンダ「アコードツアラー タイプS(2012年式)」”を、筆者(山本シンヤ)が新車と同じように試乗してチェックしてみました。
今回紹介するアコードは2008年に登場した8代目です。当時のホンダは北米向けと欧州向けで同じアコードと呼びつつも別のモデルを発売していました。日本向けは欧州仕様をベースにセダンとツアラー(ワゴン)を用意していました。先代より上級移行するもリーマンショックの影響で、販売は低迷……。
2011年の改良でグレードは大幅整理され上級の2.4Lモデルは「タイプS」に一本化。ただ、販売の中心は2.0Lのお買い得モデルが主だったので、販売台数は極めて少なく、今となってはかなりの“レアキャラ”…そもそも「良く見つけましたね」と言えるモデルです。
エクステリアは当時としては大柄ボディですが凝縮感があるスポーティなフォルムで、セダンはもちろんツアラーは今でも通用するデザインです。個人的にはフォーマル過ぎる現行モデルよりもホンダらしさは高いです。
パッと見る限りは大きな傷も無く、ボディの状態はそれなりですが細部に汚れが溜まっておらず比較的綺麗。前ユーザーは屋根付き車庫に保管、洗車は比較的頻繁に行なっていたのではないかと推測できます。
インテリアは距離を走っている割には運転席のシートのスレは少なめ。ただ、本革巻のステアリングは古いクルマ特有のテカテカ状態で赤ステッチも煤けています。シートの状態などを考えると、前ユーザーは高速道路など長距離を中心に使用していたのかな……と。

ちなみに純正ナビゲーションは懐かしいプログレッシブコマンダー式で、個人的には今のタッチパネル式よりも操作性は良いと思っています。Bluetooth対応ですが音楽再生できないのは残念(AUX端子にBluetoothレシーバーを装着すれば何とかなる!?)。
エンジンは2.4リッター直列4気筒DOHC「K24A」と5速ATの組み合わせです。最近のクルマと違ってアクセル操作に対してスロットル早開きなのは当時のホンダ車あるあるですが、実用域は新車と同じくトルクフルかつ元気で軽快な印象ですが、当時の「7000rpmまでストレスなくスッキリ回る」と言う滑らかさは無く、ちょっと苦しそうに回っている感じ。
この辺りは走行距離と言うよりも、前ユーザーはあまり回して走ってこなかったのかな……と。とは言え、まだまだ20万kmなので高回転使い“回し癖”を付けて育ててほしい所です。
フットワークはどうか…ステア系は当時のホンダ車に多い初期応答重視ですが、そこから先はドライバーの操作にリンクしたクルマの動きは「さすがタイプS」と言う感じ。ただ、サスペンションやブッシュなどの劣化の影響なのか、姿勢変化は当時よりも大きめなのと、路面入力を上手に吸収できずクルマが落ち着かない所も(乗り心地も含めて)。ただ、年式や距離を考えれば、十分許容範囲内です。
唯一「あれっ?」となったのがワンダリング(変化する路面にハンドリングが取られる)でした。当時は矢のようにビシーッとした直進安定性でしたが、チェックすると台湾のタイヤメーカー「KENDA(ケンダ)」のスタッドレスタイヤ……恐らくそれが原因でしょう。
当時の新車装着タイヤはミシュラン「プライマシーHP」だったので、今なら「プライマシー5」を選べば解決するはず…です。
そろそろ結論にいきましょう。いくつか気になる所はあるものの、15年落ちの20万kmで35万円だと考えれば、「とてもいいお買い物」と言うコンディションの個体でした。
個人的には追突軽減ブレーキ(CMBS)とアダプティブクルーズコントロール(ACC)が搭載された「タイプSアドバンスパッケージ」だったら最高でしたが、それはちょっと欲張りですね。
もちろん中古車にはアタリ/ハズレがあるのも事実ですが、最近の日本車は品質・信頼性は高いので、多少のマイナートラブルさえ気にしなければ、あえて「安いモデルを割り切って楽しむ」、「新車では高くて買えなかったアイツを選ぶ」と言うカーライフもアリでしょう。
中古車は「一期一会」、皆さんもお買い得で楽しめる「相棒」を探してみてはいかがでしょうか。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。























