アメリカでは「アクア」も「プリウス」 日本と海外で車種名を分ける理由 「86」はスラング!?

日本車が海外で売られる、あるいは輸入車が日本で売られる場合、車種名が変えられることがあります。理由は販売戦略、現地の人への配慮などなど…。どのような例があるのでしょうか。

フェラーリの車種名が日本で変わったワケ

 輸入車の販売名が日本で異なる例もあります。

2語が商標とバッティング フェラーリ「599GTB フィオラノ」

 吉川:輸入車を日本で販売する場合はたいてい、名前はそのままです。これは、海外の車種名は数字や記号名が多く、商標を取りやすいのと、海外メーカーならではの言葉の使い方(イタリア語の4ドア=クアトロポルテなど)があり、既存の商標に引っかかりにくいのが理由として考えられます。ただ各メーカーとも、世界展開に際しては当然各国の商標をきちんと調べます。そのなかで日本のメーカーが持つ商標とバッティングし、改名を余儀なくされることもあるのです。

 古くはオペル「コルサ」がトヨタの持つ商標とバッティングしたため、「VITA(ヴィータ)」に改名したケースもあります。近年では、フェラーリ「599GTB フィオラノ」で、「GTB」「フィオラノ」とも日本の企業が持つ商標だったことから、フェラーリ599として日本で展開していました。

 プジョーがグレード名に使用している「シエロ(スペイン語で天空の意味)」も、日本でかつてトヨタが「スプリンター シエロ」で使っていたものです。しかしこれは、何らかの形で権利がプジョーに移転しています。

日本の商標なのに変わらなかった例 マセラティ「レヴァンテ」

 吉川:マセラティ初のSUVが「LEVANTE(レヴァンテ)」です。これは「ギブリ」などと並んで地中海近辺を吹く風の名前に由来しています。穏やかな風から一瞬にして強風となり、このクルマの個性と相通じるものがあるところから命名されたものです。

 この名前、日本ではマツダの登録商標でした。もともとは1967(昭和42)年に出願されています。車両としては1987(昭和62)年に発売された「ファミリア」3ドアの寒冷地限定車(4WD)に対して使用され、その後、1995(平成7)年にはスズキから「エスクード」のOEM供給を受けた「プロシード レバンテ」として使われました。

マセラティ「レヴァンテ」。マツダの「レバンテ」とバッティングしなかったかは不明

 マツダの商標の権利が期限切れを迎えていたのか、あるいはマツダと交渉して商標の受け渡しがあったのかは不明ですが、こちらは意外な形で「復活」を遂げました。

【了】

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Writer: くるまのニュース編集部

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