スズキ初の量産バッテリーEV（BEV）モデルとなる新型「e VITARA（eビターラ）」は、世界で展開されるグローバルモデルで、日本では今年の夏ごろから販売を開始する予定となっています。
　
　グローバルモデルと聞くと大きな車体を想像しますが、小型車の得意なスズキらしく、コンパクトなモデルです。現時点で分かっているその詳細をお伝えします。

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　eビターラは、2024年11月にイタリア・ミラノで初公開されました。その起源は2023年の「ジャパンモビリティショー」などで展示されていたコンセプトモデルである「eVX」にあります。

　eVXはコンセプトモデルという位置づけではありましたが、ボディサイズは全長4300mm×全幅1800mm×全高1600mmで電池容量は60kWh、航続距離はインドの測定値で550kmと、かなり具体的なスペックが公表されていました。

　そのため、この時点で市販モデルとして具体的に考えられていたことが明らかだったのです。

　そして昨年末に初公開されたeビターラは、全長4275mm×全幅1800mm×全高1635mmというボディサイズ、そしてバッテリー容量61kWh（49kWh設定もあり）で、コンセプトモデルをほぼ踏襲したスペックとなっています。

　日本の道路でも乗りやすいボディサイズのSUVとなっていて、これまでのBEVモデルとしてはあまりなかったサイズ感は、まさに「かゆい所に手が届くBEVモデル」といえる存在です。

　特徴的なポイントはいくつかありますが、まず今までの国産BEVモデルになかった特徴がリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用しているという点です。

　これまで国産BEVモデルのバッテリーといえば、三元系リチウムイオンバッテリーが多かったのですが、eビターラはBYDなどが採用しているリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用しています。

　eビターラの発表時、バッテリー採用の理由として安全性の高さをうたっていましたが、コスト削減の面においても期待が持てます。

　スズキらしくお買い得感のある価格設定になるかどうかも注目したいポイントです。

　また、優れた4WDシステムも特徴です。前後独自した2つのeアクスルが配置され、レスポンスに優れたコントロール性や、片側が浮いて空転しているときに反対側のタイヤに駆動トルクを配分するLSD機能を持たせ、悪路走破性を実現。

　これまで「ジムニー」や「エスクード」などを手掛けてきたスズキの強みである四輪駆動技術を活かしたBEVモデルに仕上がっているようです。

　なお、4WDの場合、モーターの最高出力はフロントが128kWでリアが48kWとなっていて、フロントがメインの駆動輪となっていそうです。

　なお、eビターラには新たに開発されたBEV専用プラットフォーム「HEARTECT-e（ハーテクトe）」が採用されています。

　このプラットフォームの特徴は、メインフロアのフロア下メンバーを廃止し、電池容量を最大化している点です。

　また、広い室内空間を確保するためにショートオーバーバングとなっています。確かにホイールベースを見てみると2700mmで、サイズ感の割にホイールベースが長くなっています。これは後席のゆとりにも期待が持てます。

　インドのグジャラート工場で生産される予定のeビターラですが、今年の夏ごろに日本での販売を開始する予定です。既に公式サイトも立ち上がっていて、徐々にそのこだわりが伝えられています。

　今までなかったサイズ感が日本で使うのに丁度いいBEVとなりそうなeビターラ。今後の情報にも注目です。