ランクルが「バラバラ」で海外へ…盗難車の温床“不法ヤード”の実態を警察庁に直撃! 巧妙化する「犯罪グループ」の闇と最新対策とは

近年、盗まれた高級車が「ヤード」に運ばれて解体された後、海外に不正輸出されるという事案が相次いでいます。犯罪の温床となる不法ヤードに対して、警察がどのような取り組みをおこなっているのか話を聞きました。

盗まれたクルマが解体され海外へ! ヤードをめぐる現状と対策を警察庁に聞いた

 近年、全国各地で発生している自動車の盗難事件。盗まれた高級車が「ヤード」に運ばれて解体された後、海外に不正輸出されるという事案も相次いでいます。

 犯罪の温床となる不法ヤードに対して、警察ではどのような取り組みを行っているのでしょうか。

 2026年2月に警察庁が公表した統計によると、2025年における自動車盗難の認知件数は6386件でした。これは2003年に記録した認知件数6万4223件のピーク時から1割以下にまで減少しているものの、2022年以降は再び増加傾向にあります。

 さらに2025年中の盗難台数を車種別にみると、以下のように高級車や荷物の運搬がしやすい車両などがねらわれている状況がうかがえます。

1位 トヨタ・ランドクルーザー 1177台(前年比+113台)
2位 トヨタ・プリウス 424台(前年比-115台)
3位 トヨタ・アルファード 303台(前年比-185台)
4位 トヨタ・ハイエース 209台(前年比+39台)
5位 レクサス・RX 209台(前年比+44台)
6位 レクサス・LX 195台(前年比-35台)
7位 トヨタ・クラウン 173台(前年比+72台)
8位 ダイハツ・ハイゼット 114台(前年比+11台)
9位 レクサス・LS 108台(前年比+32台)
10位 スズキ・キャリイ 92台(前年比-4台)

 特に高級車に関しては、盗まれた自動車が「ヤード」と呼ばれる自動車の保管・解体施設に運ばれて解体され、コンテナに積み込まれて海外へ不正輸出されるというケースが後を絶ちません。

 実際のところ、税関によるコンテナの検査によって盗難車が海外に輸出される直前に発見される事例もあります。そのため税関による水際対策の強化が重要ですが、港には日々大量のコンテナが運搬されており、税関がすべてのコンテナをチェックすることは実質不可能といえます。

作業員宿舎と鉄板等で囲まれた自動車ヤード(出典:千葉県警)
作業員宿舎と鉄板等で囲まれた自動車ヤード(出典:千葉県警)

 このような背景もあり、近年は自動車盗難の温床となっている“不法ヤード”の積極的な取り締まりを求める声が上がっています。では、ヤードを取り巻く現状はどのようになっているのでしょうか。

 警察庁によると2025年末現在、全国における自動車解体ヤードの件数は約3100か所です。またヤードの件数を都道府県別にみると、多い順に千葉県(約760か所)、茨城県(約480か所)、埼玉県(約290か所)、愛知県(約200か所)、群馬県(約120か所)となっています。

 なお2025年における自動車盗難の認知件数の上位5県は愛知県、埼玉県、神奈川県、茨城県、千葉県で、ヤードの件数が多い都道府県と重なっており、その関連が指摘されています。

 もちろん不法行為は一部のヤードのみでおこなわれており、大多数は自動車解体業の作業場所として適切に営業しているものの、ヤードの数が多ければ多いほど盗難車の隠匿・解体をおこなう不法ヤードの数も比例して増える傾向にあるといえるでしょう。

 このような不法ヤードへの対策に関して警察庁は、「これに的確に対処すべく、警察としては、継続的な実態解明と積極的な取り締まり等に取り組んでいます」と説明しました。

 現在は警察がヤードへの定期的な立ち入り調査を実施しているほか、盗難車の保管や自動車の無許可解体、不法滞在の外国人が稼働するといった違法行為を認知した場合には、各種法令を適用した取り締まりをおこなっています。

 そして、自動車盗難事件に対する今後の方針について警察庁の担当者は、次のように話しています。

「近年の自動車盗難事件は特定の車種を対象として、『CANインベーダー』など自動車の電子制御ユニットに不正信号を送信する手口等で窃取し、盗難自動車を一時的に駐車場等に保管、その後、都道府県境をまたいで悪質な自動車解体ヤード等に持ち込み、海外に不正に輸出している実態がうかがわれます。

 こうした実態を踏まえて、2026年2月に官民合同のプロジェクトチームが作成する『自動車盗難等防止行動計画』の見直しを行いました。

 具体的には、
・自動車メーカーに対する盗難防止性能の高い自動車の開発の働きかけ
・自動車メーカーと連携した盗難手口の解明や対策についての調査・研究
などを進めていく方針です。

 また自動車盗難事件の取り締まりを匿名・流動型犯罪グループ(通称:トクリュウ)対策の重要な柱と位置付けたうえで、
・関係警察における合共同捜査の推進
・古物営業法等に基づく積極的な立入検査
・行政処分等を含めた悪質ヤードに対する取り締まり
などを強化することとしています」

※ ※ ※

 組織の犯行とみられる高級車をねらった自動車盗難事件が増加する中で、警察は上記のような対策のほか、不正輸出を防ぐため税関と連携して埠頭の管理強化やコンテナ貨物の厳正な審査などをおこなう方針を明らかにしています。

 官公庁による対策の強化はもちろんですが、各自動車ユーザーがハンドルロック・ホイールロックといった固定器具を活用したり、駐車場にセンサーライトや防犯カメラを取り付けたりと、複数の方法を組み合わせて盗難防止対策を講じることも重要です。

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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