レクサスの「最新セダン」がめちゃ変わった! 13年目でも買いなの? 大幅進化の内容は? 「IS」に乗ってわかった魅力とは
2026年1月8日、レクサスISが大幅改良を受け発売されました。登場から13年が経過し、商品力を懸念する声もありましたが、実際はどうなのでしょうか。今回、新型「IS300h」で都心や高速道路を試乗し、電子プラットフォームの刷新やフットワークの進化、そして「足りないピースが埋まった」という結論までを徹底解説します。
もはや別物。レクサスISの大幅改良で判明した、FRスポーツセダンとしての究極の完成度
2026年1月8日、レクサスISの大幅改良モデルが発売開始されました。
ちなみに2020年に続く2回目の大幅改良となりますが、筆者(山本シンヤ)はSUV全盛の時代にセダンを残してくれたことに対する“喜び”の一方で、「現行モデル登場から13年、本当に商品力はあるのか?」という“不安”も。
実際はどうだったのでしょうか。
今回新型IS300hのラグジュアリー仕様「バージョンL」で、東京都心部の一般道・高速道路(首都高速)を中心に試乗をしてきました。
エクステリアはフロントマスクが変更されています。スピンドルグリルは新世代レクサスのデザインモチーフを上手に盛り込んだデザインとなり、より低重心/よりワイドに感じます。
それ以外は小変更(ホイールデザインや切り文字エンブレムなど)ですが、元のデザインが良いので古さはあまり感じません。
インテリアは基本的なレイアウトこそ不変ですが、水平基調のシンプルなインパネに運転視界を妨げない絶妙な位置にレイアウトされたディスプレイ(12.3インチ)、物理スイッチにこだわったエアコンスイッチなどデザインは刷新。フル液晶のメーターやUSB端子(タイプC)、ワイヤレス充電など最新アイテムも採用されています。
ただ、ダイヤル式のドライブセレクトやメカニカルなATシフトに古さを感じるのも事実で、欲を言えばここにも手を入れてほしかった。
内外装のデザインはどことなくGR GTに似ているように感じましたが、開発陣に伝えると「全く意識はしていません」と。
恐らく、「機能を形にする」、「ドライバーファースト」を盛り込むと似てしまうのかなと。
走りはサイバーセキュリティ対応で刷新された電子プラットフォームを活かし、従来モデルで「やりたくてもできなかった」部分を中心に手が入っています。
具体的にはEPSは低慣性モーターの採用に加えて、従来のラック同軸式からラック平行式(バリアブルギア)に刷新。
サスペンションはAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンションシステム)をステップモーター式アクチュエーターから内蔵式リニアソレノイドバルブ式に変更。4倍の減衰応答性を活かしたセットアップとなっています。
ステア系はコーナーを1つ曲がるだけで違いが歴然です。
従来モデルの曖昧でルーズなフィールは完全に消え去り、センター付近の座りの良さとしっかり感(直進安定性にも効いている)、舵を入れた時の応答性の高さ、切り込んでいった時の滑らかさと手ごたえのバランスが絶妙なフィーリングは、まさに最新モデルのそれです。その結果、クルマとの一体感や対話性はより増しています。
フットワークの進化はEPS刷新の効果も相まって操安性全体のハーモニーが整った印象で、FRスポーツセダンとしての魅力がより増しています。
恐らく、EPS刷新で切り始めの応答が良い→旋回姿勢に持ち込みやすい→4つのタイヤをより効果的に使える→より素直なセットアップが可能→無理に固める必要がないので接地性も上がる→回頭性と安定性のバランスが取りやすい→グリップバランスと前後バランスがより適正に→FRの旨味がより増したという感じです。

操安性と共に快適性もアップしています。
19インチを履いている事を忘れるまろやかな入力、シットリとした質の高い足の動き、無理やり押さえつけない吸収性など、スポーツセダンではなくスポーツラグジュアリサルーンと言っても乗り心地が備えられています。
これは操安に使っていたダンパー領域を乗り心地に使える→快適性も上がる→4倍の減衰応答を活かし、より理想のセットが可能→より快適な走りの実現というわけです。
ちなみにドライブモードセレクト・スポーツS+を選ぶと、より手ごたえ重視(操舵力重め)、よりレスポンシブ、より姿勢変化を抑えたフットワークに変化します。
従来モデルより変化代が大きくなった(=違いが解りやすい)のは嬉しいポイントですが、バージョンLでコンフォート(ノーマル)とスポーツを両立できてしまうので、Fスポーツの走りの味付けは難しいだろうなと思う部分も(今回Fスポーツは未試乗なので、どこかで確認して報告します)。
このようにフットワークの進化に驚く一方で、今回手が入っていないパワートレイン(2.5L+THSII)とブレーキ(回生協調))に物足りなさを感じてしまったのも事実です。
ハード変更が難しいことは重々理解していますが、それならばソフト(=制御)で現行ハードをしゃぶり尽くしてほしかったなと。
ちなみに運転支援も電子プラットフォーム刷新を活かし、機能拡充と性能向上が行なわれた「レクサスセーフティシステム+(バージョン3.0)」に進化。
PDA(プロアクティブドライビングアシスト)やアドバンスドドライブ(渋滞時ハンズオフ機能)、レーンチェンジアシスト採用に加えて、プリクラッシュセーフティの対象範囲・支援機能拡大が行なわれています。
今回は首都高速を走行している時に試してみましたが、システムも進化に加えて、EPSを含めたフットワークの伸び代(直進性が増している)も相まって正確性は従来モデルから大きな進化を感じました。

※ ※ ※
そろそろ結論に行きましょう。
世代交代の度に肥大化していくジャーマン3のライバルに対して、今やコンパクトサイズで軽量なFRスポーツセダンとして貴重な存在のISですが、今回の大幅改良は単なる延命とは違った“攻め”の進化だと感じました。
筆者はこれまでISに対して「いいクルマだけど、どこか足りない」という印象が拭えませんでしたが、今回の大幅改良によって「足りないピースがほぼ埋まったな」と。
一般的に規制対応(今回はサイバーセキュリティ)は消極的な改良になりがちですが、ISの大幅改良は逆に規制対応が進化を後押ししてくれたと言ってもいいでしょう。まさに「災い転じて福となす」です。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
































