電動バイクなのに“バッテリー”と“充電器”は販売しない!? ヤマハの新型電動スクーター「JOG E」を体験! 「Gachaco」で新たなバイク体験も“ステーション普及”が課題
電動バイクに造詣の深いライターの近藤スパ太郎さんが、2025年12月22日に東京と大阪の地域限定で先行発売した「JOG E」の乗り味について解説します。
充電済みバッテリーとのコーナーで待ち無しで走り出せる!
こんにちは! 最新モビリティに興味津々の近藤スパ太郎です。 特に電動モビリティは多種多様な乗り物が登場していますよね。
ヤマハは、原付一種の電動スクーター「JOG E(ジョグ イー)」を、2025年12月22日から東京・大阪の地域限定での先行発売をしています。本体価格は15万9500円で、国の補助金2.3万円と自治体の補助金も活用でき、東京都の場合は1.6万円の補助があります。
JOG EはホンダからOEM供給された車両で、ベース車両のホンダ「EM1 e:(イーエムワンイー)」と構造や基本スペックは同じ。48V系インホイールモーターと、国内4メーカー共有の交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」(以下、MMP)1個で走ります。
EM1e:がヘッドライトをボディカウル内に装備した近未来的なデザインなのに対して、JOG Eはヘッドライトをハンドルカバーと一体化し、ハンドル操作に合わせてヘッドランプが進行方向を照らしてくれます。 よく見るとボディカウルにボルトを3本設けてあり、今後フロントバスケットの取り付けが可能になりそうです。街乗り・通勤通学の定番であるJOGらしさを電動バイクになっても継承して、この違いは車両選びのポイントになりそうですね!
もう一つ大きな特徴があり、現在JOG Eはバッテリーと充電器は販売していません。バイク購入時にバッテリーシェアサービス「Gachaco」のサブスクを契約して、街中のGachacoステーションでバッテリーを交換する仕組みです。
因みにホンダは、MPPを1個10万8900円、充電器1台5万5000円で販売していますが、車両価格を越えてしまうこの費用が必要なく、フルチャージに約6時間を待つも必要無し。充電済みのバッテリーに直ぐに交換が可能なのです。

ですが現在、Gachacoステーションは全国に普及しているワケではなく、東京に51カ所、埼玉2カ所、大阪7カ所で随時拡大中です(2026年2月11日時点)。そのため先ずは東京と大阪のヤマハのEV取扱店のうち、ガチャコ取扱店での先行販売となりました。
JOG Eの走行モードは2つあり、先ずは通常モードで走ってみました。パワー不足を感じる電動バイクもありますが、最大トルク90N・mを初速時に発生するためトルクが太く感じられ、信号待ち発進でも加速力に優れています。しかもスロットル操作にリニアに反応するEVの特性を活かした設計で走りやすく、ストレスがありません。
最高速度は内燃機を搭載したバイクよりも少し抑えてあり、クローズドで試したところ体重77kgのボクは45km/hちょっと。原付一種の法定速度は30km/hなので少し余裕があります。
リヤブレーキを掛けるとフロントもブレーキが掛かるCBS(コンビブレーキ)を備え、制動性やサスペンションの働きや走行安定性もとても良く、走行感については非の打ちどころがない。しかも走行音はほぼ無音で、街ゆく人の会話や鳥の声が良く聞こえて不思議な感じです。
もう一つのECONモードは、出力と最高速度を抑えたECOモードで、航続距離が約15%アップします。裏道や住宅街を走るのに向いており、初めて電動バイクに乗る人でも扱いやすいモードです。
原付一種のバイクですが、110ccと同等サイズで作られているためシートが大きく、ステップボードも広くゆったりと乗れます。デジタルメーターは速度表示が大きくて見やすく、バッテリー残量は%表示のため安心感があります。コックピット左に600mlのペットボトルが入るポケット、右に5V 2.1AのUSBソケット、中央に荷掛フックもあります。シート下にバッテリーを収納しますが、小物を収納できるスペースも確保しています。
スペック上の航続距離は53km(30km/h定地走行テスト値)ですが、今回の試乗では重い荷物を背負って幹線道路をガンガン走り、カメラマンの前を行ったり来たりを繰り返すストップ&ゴーが多い走行、しかも真冬の寒さ……と、かなりバッテリーを消費する条件だったと思います。 20km走行してバッテリー残量は30%でしたが、Gachacoステーションが幾つもあるエリアだったので、いつでも交換できる安心感が有りました。
Gachacoでのバッテリー交換はとても簡単で、ICタグをステーションにタッチして充電済みのMPPと入れ替えるだけ。MPPは約10.3kgで少し重いですが、慣れれば1分もせずに交換作業が終了するので、ガソリン給油よりも早いです。
Gachacoの料金は月額2530円の基本料と、使った分の電力量99円/kwh相当がバッテリー返却時に課金されます。例えば、片道10kmの通勤を週5回、月に400kmを走った場合、99円×約9.9kWhで約1000円の課金となり、月額合計は約3530円という試算です。
また、東京都では現在、月額基本料金を1400円を上限に、3年間で最大5万円を補助する事業も行っています。
Gachacoを実際に体験してみると、充電やバッテリー交換のために拠点に戻る必要がなく、外出先でバッテリー交換ができるメリットは絶大です。バッテリーの劣化や買い替えを気にする必要もなく、常に良い状態のバッテリーを使えることもメリットだと思いました。
JOG Eは走行感も使い勝手も良いですが、航続距離が短いため、移動ルート上や拠点の近くにGachacoステーションがあるのなら、こんな新しいバイクライフは有りだな! と感じました。
ですがやっぱりまだまだステーションが少ない。もっと気軽に簡単に設置ができる小型のバッテリーステーションも実証実験中だそうで、今後普及が急速に加速することに期待しています!
■YAMAHA JOG E(原付一種)主要諸元
●全長×全幅×全高(mm):1795×680×1140
●シート高:740mm
●ホイールベース:1300mm
●車両重量:93kg
●原動機:交流同期電動機
●定格出力:0.58kW
●最高出力:1.7kW(2.3PS)/540rpm
●最大トルク:90N・m/25rpm
●一充電走行距離:53km(30km/h定地走行テスト値)
●駆動用バッテリー:Honda Mobile Power Pack e:(リチウムイオン電池)1個
●バッテリー電圧/容量:50.26V/26.1Ah(≒1.3kWh)
●ブレーキ:F・油圧式ディスクブレーキ/R・機械式リーディングトレーリング(CBS)
●タイヤサイズ:F・90/90-12 44J、R・100/90-10 56J
●車体色:ディグニファイドグレーメタリック、コンクリートグレー(試乗車)
Writer: 近藤スパ太郎
タレント/プロデューサー。 中型免許、大型二輪免許、小型船舶2級・特殊免許を持つ乗り物好き。ハーレーでアメリカのルート66を全走破し、ロシアンラリー二輪部門出場やチベットチョモランマツーリングなど芸能界きってのバイク好き。
堺正章氏の付き人時代には、ベントレー8やターボ、マセラティ・クアトロ・ポルテ、グランド・ワゴニアなどを仕事で運転していた経歴もある。芸名はクルマ・バイク好きとして知られていた故・伊丹十三監督に、映画「スーパーの女」に出演した時に命名された。
環境番組のパーソナリティを担当して以来、電動モビリティや、環境に配慮した次世代技術に興味津々。俳優・MC・リポーターのほかWebメディアSPANGSSの運営や、制作・芸能プロダクションSPANCHOOSの代表も務める。




















