2025年12月24日、レクサスはバッテリーEV専用モデル「RZ」に、さらなる走りの深化を図った特別仕様車「RZ600e“F SPORT Performance”」を設定すると発表しました。

　電動化が進む中で、環境性能とドライビングプレジャーの両立を強く打ち出すこのモデルは、レクサスのBEVが次のステージへ進んだことを印象づける一台といえます。

　RZは、レクサス初のBEV専用モデルとして2023年に登場しました。それまでのレクサスは、ハイブリッド車を中心に電動化を進めてきましたが、RZはゼロからBEVとして設計された点が大きな転換点でした。

　専用プラットフォームの採用により、バッテリーを床下に配置した低重心設計と高剛性ボディを実現し、電動車ならではの静粛性と安定感を高い次元で両立。

　RZは単なる環境対応車ではなく、「レクサスらしい走り」をBEVで実現するための起点となるモデルだったのです。

　発売当初はAWDモデルの「RZ450e」がラインナップの中心で、前後モーターを制御する四輪駆動システム「DIRECT4」による自然なハンドリングが高く評価されました。

　その後、軽量化と効率向上を図ったFWDモデル「RZ300e」が追加され、航続距離を重視するユーザー層にも対応。

　さらに2024年には、RZ初のパフォーマンスモデルとして「RZ450e“F SPORT Performance”」が限定導入され、BEVでもスポーティな走りを追求できることを示しました。

　RZは年次改良や派生モデルを重ねることで、着実にキャラクターの幅を広げてきたのです。

　今回、同日にRZ自体のマイナーチェンジも発表され、基本性能が大きく進化しました。BEVシステムを全面刷新し、バッテリーの高性能化とモーターの高出力化を実現。

　これにより加速性能が向上すると同時に、航続距離の伸長や充電時間の短縮も図られています。

　さらに、前後モーターを緻密に制御する四輪駆動システム「DIRECT4」の特性を見直すことで、直進安定性からコーナリングまで、より一体感のある走りを実現しました。

　ステアバイワイヤシステムの採用も大きなトピックで、従来の概念にとらわれない新しい操舵体験を提供します。

　RZ600e“F SPORT Performance”は、そうした進化型RZのなかで「RZ550e “F SPORT”」をベースに、走行性能を徹底的に磨き上げた特別仕様車です。

　空力性能とパフォーマンスを高次元で両立させることを目的に、エアロダイナミクスの専門家やレーシングドライバーの知見を反映し、BEVでありながら本格的なスポーツモデルとしての性格を与えられました。

　ボディサイズは全長4860mm×全幅1965mm×全高1615mmで、ベースモデルより全高を20mm抑えたことで空気抵抗を低減し、高速域での安定感と操縦性を高めています。

　エクステリアは、特別仕様車ならではの存在感を放ちます。カーボン素材を多用したフロント・サイド・リアのエアロパーツや大型リアウイングが装着され、見た目の迫力だけでなく、実際にダウンフォースを生み出す機能美を備えています。

　21インチの専用アルミホイールや大型ブレーキの採用も、走りへの本気度を物語ります。

　ボディカラーは「ブラック＆HAKUGIN II（白銀II）」と「ブラック＆ニュートリノグレー」の2色展開です。

　いずれもブラックとのコントラストを強調し、精悍でスポーティな印象を強めています。

　インテリアには、“F SPORT Performance”専用スポーツシートを採用し、優れたホールド性と快適性を両立しました。

　ブラック基調の室内にブルーアクセントを加えることで、電動車らしい先進性と走りの高揚感を演出しています。

　安全機能や運転支援機能も最新世代のシステムが搭載され、高い安心感を確保しています。

　ステアバイワイヤによる自然な操舵感覚と相まって、街中からワインディングまでストレスの少ない運転が可能です。

　パワートレインは前後モーターによるAWDで、システム最高出力は313kW（425.5馬力）を発揮します。0-100km／h加速は4.4秒と俊敏で、BEV特有の力強く滑らかな加速を存分に味わえます。

　価格（消費税込み）はブラック＆ニュートリノグレーが1216万5000円、ブラック＆HAKUGIN IIが1244万円で、2026年3月2日から発売されます。

　RZ600e“F SPORT Performance”は、電動化時代におけるレクサスの「走り」の答えを示す一台であり、BEVにスポーツ性を求めるユーザーに強く訴求するモデルといえるでしょう。