「都市部で横行」相次ぐ駐禁除外標章の“不正利用”! パソコンで加工して偽造する手口も ネット上では「健常者が平気で使用している」「悪用すれば重い罰則を」などの声

歩行が困難な身体障がい者などに交付される「駐車禁止除外指定車標章」ですが、この標章を悪用して駐車禁止場所にクルマを駐車する人が後を絶ちません。一体どのような手口や問題があるのでしょうか。

不正が横行すれば、本当に制度を必要とする人が悪影響を受ける可能性も!

 歩行が難しい身体障がい者などがクルマを運転する際には、都道府県公安委員会から「駐車禁止除外指定車標章」の交付を受けることができます。

 この標章をダッシュボードやフロントガラスといったクルマの前面の見やすい場所に掲出しておくと、道路標識・標示によって駐車が禁止されている場所や時間制限駐車区間(パーキングメーターが設置されている区間)の駐車禁止規制から除外されます。

 つまり標章があれば、上記のような場所に駐車しても原則として駐車違反に問われないということであり、病院やスーパーなどの近くにある駐車禁止の道路にも駐車できます。

 この制度は、歩行が困難な人が通院や日常の買い物をするに当たり、駐車場所から目的地まで移動する際の身体的負担を軽減するためのものです。
しかし駐車禁止除外指定車標章をめぐっては、制度の悪用や不正利用が後を絶ちません。

駐車禁止除外指定車標章(画像はイメージ、Caito/PIXTA)
駐車禁止除外指定車標章(画像はイメージ、Caito/PIXTA)

 2025年12月5日には大阪府警が、標章を偽造して使用したなどとして、大阪市淀川区に住む不動産会社経営の男(57歳)を偽計業務妨害や偽造有印公文書行使などの疑いで逮捕、送検したと発表しました。

 この男は2023年10月から今年11月、大阪市中央区や淀川区の道路において、偽物の標章をクルマのダッシュボードに掲出し、放置駐車を確認する警察官の業務を妨げた疑いが持たれています。

 男は正規の標章を元にパソコンでデータを加工し、コピー機で複写したりゴム印で日付を入れたりする偽造を繰り返していたものとみられます。

 なお警察の調べに対し男は容疑を認め、「不動産を案内するときにかかる駐車代金の経費を浮かせるためだった」と話したほか、正規の標章を入手した方法については「大阪のミナミで拾った」などと供述しています。

 このニュースに対してインターネット上では「都市部で横行している」「街中では、健常者が平気で標章をダッシュボードの上に置いて、普通に下車してくるのをよく見かける。偽造できないような加工を施すべきではないか」「標章を使って駐車違反を逃れようとしたことは責任重大。重い罰則を」などの声が寄せられています。

 さらに今年6月には、亡くなった母親に対して正規に交付された標章の有効期限などを偽造して使用したとして、東京都港区の自営業の男(68歳)が偽造有印公文書行使の容疑で逮捕される事案も発生しています。

 これは今年3~4月、男が港区のコインパーキングに駐車した際、発行年と有効期限を偽造した標章を車外から見える位置に掲出していたというものです。男は標章を偽造した理由について「駐車場を借りるお金を節約したかった」などと話しました。

 そもそも駐車禁止除外指定車標章を使用する際は、交付を受けた本人が運転・同乗しているなど、交付者本人が使用中の車両でなければ駐車違反に当たります。

 たとえば標章の交付対象者ではなく、その家族や親戚、友人などが買い物に利用していた場合は標章の不正利用に該当し、駐車違反の取り締まりを受けるほか、標章の返還を命じられる可能性があります。家族・友人だからといって気軽に貸し借りするようなものではないため、取扱いには注意が必要です。

 また標章の有効期限が切れている場合は標章の効力がなく、駐車禁止場所に駐車すると駐車違反として検挙されるおそれもあります。正規の標章であっても、有効期限が切れる前に住所地を管轄する警察署で手続きをすることが重要です。

※ ※ ※

 特に都市部の繁華街では、偽物の駐車禁止除外指定車標章を掲出するなどして駐車違反を逃れようとするドライバーが多くみられます。

 このような不正が横行すれば、駐車禁止除外制度に対する信頼が損なわれ、真に制度を必要とする人に悪影響をおよぼす可能性も。不正利用に対しては警察による取り締まりの強化や厳罰化などが求められています。

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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