日産が放つ「220万円」の新型セダンが凄すぎる! 新開発PHEV「N6」の実力とは? 中国勢猛追の切り札に【試乗記】
日産が中国で発表した新型PHEV「N6」が大きな話題を呼んでいます。約219万円からという衝撃の価格設定ながら、航続距離130km、最新の運転支援、そして「ゼログラビティソファ」による極上の乗り心地を実現。中国メーカーを圧倒し得る、日産逆転の秘策に迫ります。
日産が放つ「約220万円」の新型セダンが凄すぎる!
日産が2025年10月に中国で発表したばかりの新型「N6」に同年11月末に試乗しました。
新たなセダンとなる新型N6ですが、いったいどのようなクルマなのでしょうか。

日産は大幅な赤字による工場閉鎖や人員削減など暗い話題が続く一方、中国事業は好調です。
2025年10月は前月比10.3%増の6.79万台を販売し、2025年1-10月の累計販売台数は52.49万台を記録しました。
4月に発売した中国専売BEV「N7」の好調ぶりも一役買い、ここ5か月は毎月連続で販売台数を更新しています。
そんな中、日産は2025年10月に「PHEV版N7」と位置付ける「N6」を発表しました。
全体的なデザインはN7と似ていますが、例えばフロントマスクではヘッドライトが外側に屈折しているN7と異なり、N6では内側に屈折するなど細かい違いが見られます。
リアはN7同様にトランクリッドをダックテール風にし、カムバック(コーダ・トロンカ)形状で下へ降ろしています。
二段構えのカムバックのようなデザインは2025年6月に発表された3代目リーフと似た雰囲気も感じさせます。
ボディサイズはN7よりも全長とホイールベースがどちらも100 mm前後、全幅が10mm短く、全長4831mm × 全幅1885mm × 全高1491mm、ホイールベースが2815mm。
この100mmの差は大きく、両者を近くで見比べるとサイズ感の違いが顕著です。
N6はN7と異なり、ボンネットの下にエンジンを宿すPHEVです。
N6用に新規開発されたNR15型1.5リッター直列4気筒エンジンを搭載し、出力201 hpのフロントモーターと容量21.1 kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池を組み合わせます。
PHEVとしては比較的大きいバッテリーを搭載しており、一回の満充電で130 km(WLTC値)を走れることから、近距離の運転なら電気で十分走れます。
全5グレード展開なものの、パワートレインはすべて共通で、違いは運転支援機能やその他装備の有無になります。
運転支援機能はN7同様に中国の「momenta」と開発したレベル2+ソフトウェアを上位グレードで搭載、LiDARではなく2つのフロントカメラを主軸とするシステムです。
一般・高速道路問わず周囲の状況を認識、ナビ上で目的地を設定することでハンズオンの下、運転操作の大部分を代わりに行います。
コックピット周りは昨今の流行を取り入れ、フラットなダッシュボードとセンターコンソールを組み合わせるT字の空間が広がります。
中央には15.6インチディスプレイが鎮座しており、メディアやエアコンの操作は物理ボタンではなく、画面内で行います。
一方、エアコンの風向き調整は手動にて可能で、その調整までもをディスプレイ内で行わせる一部のEVよりも良心的です。
実際に運転席に座ると各操作が手軽に行える距離感にあるのは評価できますが、一方でハンドルは若干大きく、それに起因する窮屈さもわずかに感じてしまいました。
室内空間はN7と比べると確かに狭いものの、単体で見れば十分に広く、後部座席に座っての移動も問題ありません。
「ゼログラビティソファ」と称される後部座席はその名の通りソファのような快適性を目指して設計されており、角度やシート表面の弾力も考慮したとのこと。
乗り心地や騒音対策はとてもよく考えられており、荒れた路面や石畳でも身体に不快感は伝わりません。
昨今の新興勢が作るEVはどれも乗り心地が荒削りで、加速時の細かい揺れやサスペンションの未熟さで車酔いを引き起こしがちです。
一方でN6は良い意味でガソリン車らしい加速感を実現しており、初期加速はマイルドめ、そこからさらに加速したい場合もスムーズです。
また、EVモード中は時速70km前後からエンジンが始動しますが、エンジン音自体は抑えられており、わずかに聞こえる部分もロードノイズと相殺されるので気になりません。
中国ではNVH(騒音・振動・ハーシュネス)対策が一種の重要な評価基準となっており、この点において抜かりはないと感じました。
N6のメーカー希望小売価格は9.99-12.99万元(約219.1-284.8万円)と、N7よりも2万元(約44万円)ほど安い価格設定が話題を呼んでいます。
新規専用設計の日系EVとしては前代未聞の安さで、BYDやジーリーといった中国メーカーの同クラス車種に対しても十分に勝負できることでしょう。
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日産はN7・N6に続く「Nシリーズ」第3弾車種として、2025年12月6日にSUV「NX8」の画像を公開しました。
NX8ではBEVと発電用1.5リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載するEREVを用意するとしており、ひとつのモデルで2種類の電動パワートレインを展開するのは日産として初めての事例になります。
中国メーカーでは一般的となっている二刀流展開を行うことで、遅れをとっていた中国でのシェア奪還を狙っていく思惑です。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。





















































































