“自転車の飲酒運転”で免許停止処分に! その理由は? ネット上では「当然の措置」「乱暴では」などの声も
自転車で飲酒運転をした広島県内の50代男性に対し、クルマの運転免許を最長で6か月停止する行政処分が下されたことが明らかになりました。検挙されたのは“自転車”の違反ですが、一体なぜクルマの免許停止に至ったのでしょうか。
意外と知らない? 自転車の飲酒運転がクルマの「免許」に影響するおそれ
広島県内の道路において自転車で飲酒運転をしたとして、広島県警は県内に住む50代の男性に対し、クルマの運転免許を最長6か月停止する行政処分を下しました。
自転車の酒気帯び運転によってクルマの運転免許が停止されるのは、広島県では初めてのことです。
なぜ自転車の違反で、クルマの「免停」に至ったのでしょうか。

警察によると、男性は2025年9月30日の午後11時頃、県内の市道において酒を飲んで自転車を運転していました。警察官がふらつきながら自転車に乗っていた男性を発見し職務質問したところ、男性が飲酒運転を認めたということです。
さらに呼気検査の結果、男性からは呼気1リットルあたり0.41mgのアルコール(呼気1リットルあたり0.15mg以上で酒気帯び運転)が検出されたため、刑事罰の対象となる交通切符(赤切符)を交付しました。
その後、県警は男性の行政処分について慎重に検討し、「クルマでも飲酒運転をするリスクが高い」と判断して、最長6か月の運転免許停止処分を下しました。
このニュースに対してはインターネット上で「当然の措置だと思う」「こういう人はクルマでも飲酒運転をしていると思います」「自転車の飲酒運転は故意だから厳しく処分すべき」などの声が寄せられています。
その一方で、「運転に免許が不要な乗り物を運転して検挙されると自動車の運転免許に影響するってのはどうも腑に落ちない」「免許の要らない自転車の酒気帯びで自動車免許の停止をするなんて随分と乱暴な話」など、自転車の交通違反がクルマの運転免許に影響することに疑問を持つ意見も聞かれました。
意外と知られていませんが、たとえ自転車の飲酒運転だったとしても、クルマの運転免許を持っている場合はその免許に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
実は、運転免許の取消しや停止処分については道路交通法で次のように規定されています。
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(第103条第1項)
免許を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなった時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は6月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。
(第8号)
前各号に掲げるもののほか、免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき。
※条文を一部抜粋
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つまり免許保有者が自転車の飲酒運転で人身事故を起こすといった悪質・危険な行為をした場合には、交通モラルや運転適性が低く将来的に自動車でも飲酒運転をおこなうおそれがあると判断され、公安委員会がその者の免許を取り消したり停止させたりする可能性があります。
同様の事例はほかの地域でも発生しており、今年9月30日には高知県警が、自転車で酒気帯び運転をして検挙された40代の男性に対し、6か月以下の運転免許停止処分を下しました。
この事案に関して県警は「重大性、危険性、悪質性を考慮して処分した」と話しています。
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自転車の酒気帯び運転で検挙されると、刑罰として「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が科されるほか、運転免許を保有している場合は運転免許の取り消しや停止処分を受ける可能性があります。
自転車も人を死傷させる危険があることを念頭に置き、お酒を飲む場に自転車で行かない、お酒を飲んだ後は公共交通機関を利用するといった意識を持つ必要があります。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。






















