各地で「スリップ事故」相次ぐ! 冬タイヤを装着していても油断は禁物! 運転中のスリップを防ぐポイントは?
北海道や東北地方をはじめ道路が凍結する地域では、スリップ事故が相次いで発生しています。スリップ事故が起きる原因はさまざまありますが、一体どのような点に気をつければ良いのでしょうか。
凍結路や積雪路で冬タイヤを装着していないと「交通違反」に当たる可能性も
これからの時期に注意したいのが、「スリップ事故」です。北海道や東北地方など道路が凍結する地域では既に相次いで発生。
原因はさまざまですが、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。

2025年11月17日の午前8時頃、北海道帯広市内の道路においてスリップが原因とみられる玉突き事故が発生しました。
これは乗用車1台が前のクルマに追突した後、次々に衝突が発生したもので、結果としてトラック1台と乗用車4台の計5台が絡む事故となりました。
現場は緩やかな右カーブの下り坂で、事故当時の路面は表面が凍りつくブラックアイスバーン状態だったということです。
さらに11月19日午前6時半頃には宮城県利府町内の県道において、軽自動車が路面の凍結によりスリップしたうえ中央分離帯に接触、横転する事故も起きています。この事故で、軽自動車を運転していた30代の男性がケガをして病院に搬送されました。
加えて、同じ時間帯に宮城県松島町の三陸道においてもスリップ事故が発生し、バンに乗っていた男性2人が軽いケガを負っています。
このように最近は冬の冷え込みが強まり、全国各地で道路が凍結しスリップ事故が相次いでいます。路面の凍結時や積雪時には特に注意が必要ですが、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか。
大前提として、凍結路や積雪路を走行する際にはあらかじめ冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)を装着しておくことが重要です。
冬タイヤは高いグリップ力でスリップを防止しますが、ノーマルタイヤは凍結路や積雪路向きではないため、スリップして事故につながるおそれがあります。
仮に凍結・積雪している道路をノーマルタイヤで走行した場合、すべり止めの措置を講じなかったということで、道路交通法第71条第6号に規定する「公安委員会遵守事項違反」に当たる可能性もあります。
また冬タイヤを装着していてもクルマの速度やハンドル操作などの運転状況によってはスリップする危険があることから、油断は禁物です。凍結路や積雪路を走行する際にはまず、いつもよりスピードを落とすことを意識しましょう。
なおJAFが、ノーマルタイヤやスタッドレスタイヤなどタイヤ別に時速40kmからの制動距離を調査したテストでは、スタッドレスタイヤであっても停止するまでに一定の距離が必要であることが明らかになっています。
具体的には、雪が踏み固められた圧雪路での制動距離は17.3m、路面が凍結した氷盤路にいたっては制動距離が78.5mという結果でした。
つまり時速40kmよりも早い速度であれば、もっと制動距離が伸びることが想定されます。道路状況に応じて、ゆっくり慎重な運転を心がけるべきといえるでしょう。
次に、スリップしないためには急ブレーキ・急ハンドル・急発進(急加速)のように「急」のつく運転をしないことも大切です。
北海道警が公表している過去5年度(2019年度~2023年度)の事故統計によると、死亡事故・負傷事故ともに、ハンドル操作やブレーキ操作を誤る「操作不適」によるものが最も多く、死亡事故では操作不適が事故全体の約9割を占めています。
急な運転操作がスリップ事故につながりやすいことを念頭に置き、余裕を持った運転をしましょう。
そして車間距離を十分に空けておくことも、スリップによる追突事故防止に有効な対策です。車間距離を何m空けておけば安心という明確な基準はありませんが、一般的に夏場の2倍以上の車間距離を空けておくことが推奨されています。
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そのほか、橋の上やトンネル内の出入口付近、日の当たらない場所などは凍結しやすいという特徴があります。
たとえ路面が濡れているだけに見えても、実は路面に薄い氷の膜が張っているブラックアイスバーン状態であるケースも少なくないため、冬期は慎重すぎるくらいの意識で運転すべきといえるでしょう。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。





















