限定500台/500万円でも8時間で完売! スバル「WRX STI RA-R」の魅力とは
走り始めたらガソリンが無くなるまで走り続けたくなる
今回は狭くてタイトな峠道のようなコースで試してみました。まず驚くのはバランス取りしたエンジンのスムーズさ。回転フィールが滑らかで振動が少なく、レブリミットの8000回転までついつい回したくなってしまいます。ハンドリングは鋭いターンイン(サスペンションのほかに11:1とクイックなステアリングギヤボックスも効いている)とともに、曲がり込む印象が印象的でした。
コースには大きく曲がり込むような場所も存在しましたが、走行ラインが外側へふくらむことなくハンドル操作に従ってどんどん曲がっていくので、とにかく爽快。これは標準車では前輪だけの採用ながら、TYPE RA-Rでは後輪にも作動するブレーキ制御(旋回中に内輪のブレーキをかけてトルクベクタリング効果を発生する)も効いているはずです。STIコンプリートカー最高峰という動的性能は、走り始めたらガソリンがなくなるまで走り続けたくなるほどの楽しさでした。
どんな時でも挙動をコントロールできる腕を持つ人を除けば、最近はサーキット走行でもスタビリティコントロール(VDC)を解除しない人もいることでしょう。そんな人にとっては、オンとオフのほか「トラックモード」という通常のオンよりも介入を遅くするモード(標準車にも採用)が楽しさを広げてくれます。
「TYPE RA-R」を見て、スタイルに特別感がないことをさみしく思う人もいるかもしれません。しかし、それは見かたを変えれば自分で好きにカスタマイズできるということです。
「軽さとエンジン性能にこだわりつつ、エアロパーツなどはついていません。STIパフォーマンスパーツのなかからお客様の趣向に合わせて選んでいただければと思います」と森さんは言います。
すでに完売してしまったので新車購入はできないのは残念ですが、もし中古車で見かけることがあれば、その凄さをぜひ確かめてみてください。
【了】
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。