日本の大動脈「新名神高速」 いつ“全線開通”する? 地獄渋滞の「天王山」「京都東」「草津」も解消へ? 愛知〜神戸の「最短・快適ルート」 ブツ切れ未開通の現状はどうなのか

新名神高速の建設が進んでいます。最新の工事の進捗状況はどうでしょうか。

中部・関西の「大渋滞」が今後変化?

 名古屋方面から京都・大阪を経由し、神戸に至る関西地方の大動脈「名神高速」ですが、そのバイパスとなる「新名神高速」の建設が進んでいます。

 一部は開通しているものの、まだ大津JCT(仮称)~城陽JCT、八幡京田辺JCT~高槻JCTが未開通のままです。果たしていつ開通するのでしょうか。

建設中の新名神の様子(画像:NEXCO西日本)
建設中の新名神の様子(画像:NEXCO西日本)

 中部方面と関西地方の中心部を結ぶ名神高速は、1965年に全線が開通。

 東名を通ってきた中部・関東方面の物流と、滋賀・京都・大阪・神戸の各都市を直通させる、まさに本州の大動脈です。

 その役割は大きく、日本の経済成長を支えてきたといっても過言ではありませんが、モータリゼーションの進展から今日に至るまで、名神を通過する交通量は莫大な量へと成長しました。

 しかし開通してから年月が経過しているうえ、道幅も狭くて速度も出せず、旧態依然とした構造であり、ほぼ毎日渋滞が発生しています。

 特に愛知県内の一宮JCT周辺や滋賀県の草津JCT、京都府の京都東IC付近や天王山トンネルなどは、ラジオの交通情報でその名を聞かない日はないといった深刻な渋滞が発生しています。

 そこで、この名神高速の「バイパス」として建設されているのが、新名神高速です。

 一度岐阜県を通過する既存の名神高速とはルートが異なり、東名と接続する伊勢湾岸道四日市JCTからそのまま直通し、三重県と滋賀県の県境付近を経由して、神戸まで抜けるルートになっています。延長約160kmです。

 すでに多くのエリアでブツ切れ状態ながらも開通が進んでおり、2008年2月の亀山JCT~草津田上IC開通を皮切りに、2017年には城陽JCT~八幡京田辺JCTと高槻JCT~川西ICが開通。そして、2018年に川西IC~神戸JCTが開通し、現在に至ります。

 特に高槻JCT〜神戸JCTにかけては、強烈な渋滞ポイントである中国道の吹田JCTを完全に回避でき、しかもかなり線形もよく走りやすくなっています。

 もし全通すれば、広くて走りやすく、ルートも短くなるため、豊田JCT~神戸JCTの所要時間は名神・中国道経由で約160分(240km)かかっている現状が、約120分(200km)に短縮。

 物流においても、関西~中部を横断する約19万トン/日、関西~中国四国を横断する約13万トン/日という天文学的な量のモノが、スムーズかつ迅速に動けるようになります。

 また万が一、災害や大事故で名神・中国道が通行止めになっても、延々と迂回路を走る必要もなくなり、確実なバックアップ路が形成されます。これは既存の名神・中国道にとってもメリットです。

 残る未開通区間は大津JCT~城陽JCTの約25.1km、八幡京田辺JCT~高槻JCTの約10.7kmの2区間で、前者は2028年度以降、後者は2027年度の開通をそれぞれ予定しています。

 では工事の現状はどうでしょうか。

 2024年12月に発表された最新の連絡調整会議の説明資料によると、宇治田原IC(仮称)付近で用地買収に時間を要しました。

 2024年1月にようやく用地買収が済み、現在は工事の着手率も100%で進行しています。

 ただし、地中にはコンクリートのかけらが多量にあり、工事の機械が損傷したり、もともとの地盤は粘り気のある性質を持っていることから、地質改良などが必要で、想定以上に手間取っています。

 2025年に入ると、4月末に途中にある4つの橋りょう「宮川橋」「吉祥寺川橋」「大戸川橋」「上中野橋」がすべて本線と接続。8月には橋りょう本体の上部の構造物を施工中で、ようやく高速の橋らしい見た目になってきました。

 ほかのエリアでは土工工事を進めている最中で、まだ砂利が多数残る状態。高速道路の姿にはなっていません。

 現在の開通予定は2028年度以降となっていますが、工事の進捗によっては開通までさらに1~2年程度の期間を要するとしています。

 八幡京田辺JCT~高槻JCTでは、トンネルが4割、橋りょうが4割を占めるなど、単に土工で済む区間が少なく、工事が大規模になっています。

 また2024年12月時点では、高槻JCTの一部で用地取得に時間がかかり、未着手となっていました。2025年10月末時点でも依然着手率98%であり、全体の工事ができていません。

 現在進んでいるのは淀川にかかる「淀川橋」の工事で、すでに橋脚は建設済み。迫力のある橋の形が徐々に見えてきました。周囲には大阪みどりの百選にも指定された「鵜殿ヨシ原」があり、この環境を守りながら、慎重に進められています。

 開通までにはまだ時間がかかりそうですが、いずれの未開通部ともに工事は進捗しており、このまま上手く進めば、2028年度には中部・関西の大渋滞も大きく様相を変えそうです。

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Writer: くるまのニュース編集部

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