ホンダの斬新「4人乗り“背高”ワゴン」がスゴい! 全長4mの「ちょうどイイサイズ」に「大人2人“ごろんと寝られる”」ベッド完備!? メーカーみずから“恋愛仕様”名乗った「S-MX」に注目

1990年代中ごろの若者文化を象徴した「ステップワゴン」の弟分は、なぜわずか一代で市場から姿を消し、今になって再評価されているのでしょうか。ホンダ「S-MX」の生産終了の真相と中古車市場の現在地、そして復活の現実味について迫ります。

メーカー謹製の“どストレート”な「デートカー」があった!

 ホンダ「S-MX」は、「90年代の自由な若者文化をコンパクトな箱に詰め込む」という唯一無二の価値を追求した一台です。

 どのようなクルマだったのでしょうか。

巨大ベッドが出現する”恋愛仕様”! ベッドサイド右には大型の「ベッドサイドテーブル」も確認できます
巨大ベッドが出現する”恋愛仕様”! ベッドサイド右には大型の「ベッドサイドテーブル」も確認できます

 1996年、大ヒット作となったミドルクラスの3列シートミニバン「ステップワゴン」のプラットフォームを短縮し、「クリエイティブ・ムーバー」シリーズの一員として登場したS-MX。

 そのコンセプトは「若者がストリートライフを楽しむ相棒」。当時の新車価格は164万8000円(消費税抜き)からと、若者にも手の届く設定でした。

 特徴はコラムシフトを採用したベンチシートと、フルフラット化できる広い室内空間にありました。

 シートを倒してできる“寝床”は、2146mm×1180mmと広大で、セミダブルベッド並みの広さを誇りました。

 当時のホンダの広告戦略も攻めており、キャッチコピーには「恋愛仕様」と銘打つなど、新時代の「デートカー」であることを前面に押し出していたほどです。

 右側(運転席側)が1枚、左側(助手席側)が2枚という1対2の左右非対称ドアレイアウトも個性的でした。

 ドアがない後席右側には、ランチボックスが載せられるほどの大型トレイやドリンクホルダー、ティッシュボックスまで収まる大型ボックスを配置。寝転がったときの使い勝手も考慮されており、「ベッドサイドテーブルとしても使える」とカタログにもうたわれていました。

 なお左側のみの後席ドアは、ステップワゴンとは異なりヒンジタイプとなっています。

 パワーユニットは、2リッター直列4気筒DOHC「B20B」型自然吸気エンジンを搭載していました。最高出力は発売当初130PSでしたが、1999年のマイナーチェンジで140PSへと向上しています。サスペンションはフロントにマクファーソンストラット式、リアにダブルウィッシュボーン式を採用していました。

 ボディサイズはモデルやグレードにより異なり、たとえば1999年のマイナーチェンジ後のFF標準車で全長3945mm×全幅1695mm×全高1750mmでした。4WD仕様や、車高を抑えエアロパーツを備えた「ローダウン」仕様では全長や全高が異なります。

 そんな時代の寵児は、2002年に一代限りの歴史に幕を下ろしました。

 S-MXの生産終了について、ホンダから公式な理由は発表されていません。しかしその背景には、兄貴分であるステップワゴンとのカニバリゼーション(共食い)と、強力なライバルの出現があったと考えられます。

 S-MXの市場に影響を与えたライバルとして、まず1998年に日産の「キューブ」が登場しています。よりベーシックで、廉価なコンパクトハイトワゴンは、コンパクトカーカテゴリーに新たな市場を開拓しました。

 そして決定打となったのが、2000年にトヨタがキューブの対抗馬として新たに投入したコンパクトハイトワゴン「bB」です。より経済的なエンジンと、カスタマイズも許容する若者文化に特化したコンセプトで、S-MXの顧客層を直接奪う強力な競合となりました。

 またS-MXはあくまでステップワゴンの派生車種であり、室内空間の広さや使い勝手ではステップワゴンに及びませんでした。

 結果として、同じホンダ内で顧客を奪い合う構図が生まれ、時代の変化と競合激化の中、一代限りで役目を終えることになったといえます。

 そんなS-MXでしたが、その唯一無二の個性から今なお根強い支持を集めています。SNSなどでは「このカクカクしたデザインが今見ると新鮮」「90年代の空気が詰まってる」など、当時を象徴するスタイリングを再評価する声が後を絶ちません。

 特にフルフラットになるベンチシートが生み出す広大な空間は「これ以上に自由なクルマはない」と、現代のクルマが失った価値観の象徴として語られています。

 また車中泊ブームが起きている昨今では、「早すぎた1台」として語られる側面もあるでしょう。

 そんなS-MXの復活の可能性は、残念ながら「低い」でしょう。「大は小を兼ねる」ステップワゴンが存在するいっぽうで、廉価な背の高いワゴンなら、軽スーパーハイトワゴンの「N-BOX」がすっかりポピュラーな存在となっています。

 またS-MXが持っていた「遊びの道具」としての機能的価値は、現在ではコンパクトミニバン「フリード」がより洗練された形で引き継いでいます。フリードの存在を踏まえると、あえてS-MXを復活させるブランド戦略上の必然性は乏しいといわざるを得ません。

 ともあれ、S-MXが今なお愛されるのは、単なる移動手段ではなく、クルマがもっと自由で、もっと「遊び」の道具であった時代の空気を色濃く残しているからといえるでしょう。

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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