志布志〜鹿児島湾の最短ルートに「バイパス」開通へ! 「クネクネ9箇所連続」ד大型車キラー”な急坂を一気にショートカット! 国道220号「古江バイパス」12月6日に開通
鹿児島県内の国道220号で「古江バイパス」が2025年12月6日に開通します。
走りにくいクネクネ坂道をショートカット
国土交通省 九州地方整備局は2025年10月10日、鹿児島県鹿屋市内で工事が進められていた国道220号「古江バイパス」の全線開通を発表しました。12月6日16時に一般開放します。
古江バイパスはどのような道路で、全線開通によって地域にどのような恩恵がもたらされるのでしょうか。

国道220号は宮崎県宮崎市と鹿児島県霧島市を結ぶ、総延長187.3kmの一般国道です。九州南部を東側からぐるりと回り込むようなルートで敷設され、道中には南国風の景色が楽しめることで知られる「日南フェニックスロード」(日南市)などが有名です。
鹿児島県に入ると志布志湾を通って西進。鹿屋市からは鹿児島湾に沿うようにルートを取り、九州を代表する火山「桜島」との接続部を通って、海岸線沿いに霧島市内を結びます。九州南部の物流や観光、周辺地域の生活を支える重要な道路です。
古江バイパスの工事が行われているのは、鹿屋市内を通る国道220号の鹿児島湾沿いルートが始まる「入口」のような区間です。周辺は高低差の激しい地形で、勾配が激しい古江坂という難所があり、これを迂回するために国道220号は大回りのルートで敷設されました。
それでも坂道が多く、交通の流れが阻害するスポットが発生してしまい、大型車両が思うように速度を出せずに後続車両を引き連れるようにして渋滞が発生してしまう例も報告されています。
また、道中には近くの学校に通う児童・学生も利用している歩道が設けられているものの、通行可能なのは片側(山側)だけで、ガードレールのような歩行者を守るような設備もほとんど設置されていませんでした。
そうした課題を解決するために敷設されたのが、1989年に事業計画がスタートした古江バイパスです。長い月日を費やしてようやくの完成を迎えます。
古江バイパスの総延長7.5kmのうち、2008年に垂水市新城まさかり交差点~鹿屋市花岡町交差点にかけての3.9kmが開通し、2011年には鹿屋市花岡町交差点~同市古里町交差点にかけての1.3kmが開通しています。
全線開通となる12月6日には、鹿屋市古里町交差点~白水町一里山交差点にかけての2.3kmが開通します。
今回開通する区間は、国道220号を離れて田園地帯を通り抜けて、鹿屋体育大学の近くにある交差点で再び国道220号に合流します。空から眺めると既存の国道220号と古江バイパスが8の字のように交差するルートが構築されました。
新しい道路は円滑な走行性を確保すること考慮し、安全性と利便性の両方を備えた設計が採用されました。幅3.5mの片側1車線の車道とは別に、幅1.5mの自転車専用レーンを備え、歩道は2.5mとなっています。
一般車や大型トラックが行き交う中、歩行者が危険に晒されていた国道220号の危険な場所を避けて、地域住民が徒歩でも安心して利用できるでしょう。
また国道220号には同区間に11カ所の線形不良、8カ所の信号交差点が存在しましたが、古江バイパスでは線形不良はゼロになり、信号交差点は5カ所となっています。
広々とした道路に加えて、交通の流れを妨げていた問題点を改善することで、これまで以上にスムーズな交通の流れを生み出せると期待されており、国道220号に集中していた交通が分散することで、物流のネットワークや地域住民の日常生活における利便性が向上しそうです。
また、交通量が分散することで交通事故の減少、歩行者の安全性向上にも期待できるといい、実際に先行して開通していた区間では死傷事故件数が約7割減少したという成果が出ています。
地域にとって念願と言える古江バイパスが開通する12月6日には記念式典が行われ、テープカットや通り初めが行われます。
Writer: 春山優花里
フリーランスの編集記者。WEB媒体を中心に15年以上メディア業界で働くなんでも屋。幼少期に叔父の書斎で見た膨大なミニカーコレクションに圧倒され、クルマやバイクに興味を持つ。漫画やアニメ、ゲームが好き。


























