炎天下の中、クルマのFガラスが割れた? 小キズ放置が危険な理由
キズやヒビがフロントガラスのどこについているか?
最も大事なことは、「傷の場所が運転者の視野を妨げない範囲」ということです。ちなみに、少し話がそれますがフロントガラスには車検ステッカーや、ETCのアンテナ、室内用ドラレコ、ルームミラーなどを貼り付けて良い場所が決められています。これが、「フロントガラスの上から20%以内の範囲、下から150mm以内」の範囲ですから、このエリアは「運転者の視界を妨げない場所」と判断されていることになります。つまり、フロントガラスの傷がもしこの範囲内であれば、まず問題ないと思ってよいでしょう。
また、キズや小さな亀裂(10ミリ以下)があっても、助手席側なら「運転者の視界を妨げない」との解釈で、キズのある状態でも車検をパスすることも少なくないようです。反対に運転席側であれば、亀裂まではいかずとも、ガラス面に5mm程度の損傷があるだけで、車検にパスできないことがほとんどとなります。
いずれにしても前述のとおり、保安基準に傷の大きさや場所が明確に規定されていないので、車検場の検査員がどう判断するか? に関わってきます。助手席側のガラスの傷も検査員によってはNGとなる場合もあるかもしれません。
できるだけ早く修理に出すか、自力で補修も可能
フロントガラスのヒビは、自動車販売ディーラーや修理工場に出す以外に、自力でリペアキットなどを用いて修理することも可能です。リペアキットは補修液(可視光硬化型レジン等使用)を使って意外と簡単に簡易補修できます。
この場合も、傷に汚れが溜まったり、傷が広がってしまったりということも考えられるので、できるだけ早くリペアするのがおすすめです。もし、亀裂がどんどん広がってしまうと、補修は不可能でフロントガラス交換になってしまいます。その場合の費用は10数万円とかなり高額になってしまうことになります。すぐに補修ができない場合は傷の上から透明のテープなどをしっかり貼って水分や汚れが入らないよう気を付けておくと良いでしょう。
ちなみに、飛び石などで傷ついたフロントガラスの交換には車両保険を使うことができます。ですが、2013年9月までは飛来物との衝突などと同様、「運転者に非がない不可抗力の事故」であるため、車両保険を使っても等級ダウンしない事故でしたが、以降は1等級ダウンの事故として扱われることになりました。飛び石で傷が付いたら、取り返しのつかない事態になる前に、できるだけ早く補修しましょう。
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Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。