スバル「フォレスター」初のHV採用でも新型で「ハイブリッド」と言わない理由とは
スバル「フォレスター」がフルモデルチェンジして5代目に進化。注目はやはりフォレスター初となるハイブリッドモデルが用意されたことではないでしょうか。しかし、新型フォレスターは「ハイブリッド」という表記を使っていません。同様のシステムを使った「XVハイブリッド」や「インプレッサスポーツ ハイブリッド」と対照的です。どうしてでしょうか?
システムはハイブリッド、『e-BOXER』という独自名称で認知度を高める!
突然ですが、SUBARUでもっとも売れている車種は何だかご存知でしょうか? 実はSUVの「フォレスター」なのです。そんなフォレスターがフルモデルチェンジして5代目に進化。注目はやはりフォレスター初となるハイブリッドモデルが用意されたことではないでしょうか。しかし、興味深いのはスバルとしては基本的に「ハイブリッド」という表記を使っていません。
グレード名に「ハイブリッド」と入らないのはもちろん、カタログを見てもスペック表の「主要燃費向上対策」の欄にしか「ハイブリッド」という表記がありません。これは基本的に同様のシステムを使っていて、ハイブリッドを全面的に押し出していた「XVハイブリッド」や「インプレッサスポーツ ハイブリッド」と対照的です。どうしてでしょうか?
この件についてSUBARU広報部は「理由は広告・宣伝などのイメージ戦略における表現的なものです」と言います。
「もちろんシステムとしてはハイブリッドですが、『e-BOXER』という独自名称で認知度を高めていこうと考えています」(広報部)。
また、新型フォレスターのエンジニアは「ハイブリッドといえば多くの人はモーター走行領域の広いトヨタのハイブリッドの運転感覚をイメージすると思いますが、それとは走行感覚が違うことを理解してもらうため(ハイブリッドと表現しない)」ともいいます。
そんな新型フォレスターにさっそくテストコースで試乗してきたので、その印象をお伝えしましょう。
マウンテンバイク用のオフロードコースで新型の悪路走破性をチェック
最初の試乗ステージは、マウンテンバイク用のコースを利用したオフロード。悪路性能を気にしていない名ばかりのSUVなら入るのもはばかられるような起伏に富んだ、しかも難易度を高めるために水をまいてわざわざぬかるんだ状態にした路面でしたが、新型フォレスターは難なくクリアしました。
これは最低地上高220mmを確保したロードクリアランスなど巧みな車体設計やスバル自慢のシンメトリカルAWD(新型は全車アクティブトルクスプリット式で最大50%のトルクを後輪へ送る)を土台とし、電子制御のモードを切り替えて悪路走行時のトラクション能力を高める「X-MODE」の搭載で完成させたもの。先代ではオン/オフしかなかった「X-MODE」ですが、新型になって雪道や砂利道など滑りやすい路面を走行する「SNOW・DIRT」と深雪やぬかるみなどタイヤが埋まってしまうようなより険しい路面に対応する「DEEP SNOW・MAD」の2モード選択型に進化し、路面に応じてモードを選べるのがポイントです。
実際に激しい悪路を走ると、タイヤが滑ったり浮いた状態となって空転をはじめた際に、車両がそれを感知してスリップしないタイヤへトルクを送り、グググっと前に進んでいくのがよくわかりました。「自分ひとりならスタックが怖くて入れない」と思うような険しいコースを簡単にクリアできたのだから驚きです。