まるで“レゴ”!? 車体が「変身」する新型バン、キア「PV5」ついに日本上陸へ! ユーザーと“共に創る”異例の開発手法と「勝算」の全貌
双日が描く日本戦略。「BtoB」と「キャンプ」を軸に初年度1000台を目指す
イベント終了後の別機会で、日本での販売総代理店である双日株式会社の田島靖也氏が具体的な日本での事業戦略が明かしてくれました。
なお田島氏は2025年4月からキアと双日が設立したKia PBV Japan株式会社の代表取締役社長も兼任している人物です。
まず筆者が気になったのが「キアはヒョンデグループ。そして日本ではすでにヒョンデとして長年の商用実績があるほか、近年では乗用も再参入している。では、なぜ双日と組んでKia PBV Japanを立ち上げたのか」という疑問です。
これに対して田島氏は「ヒョンデは日本で展開しており、今回の日本市場参入に関して情報共有はしています。ただ今回はこれまでヒョンデが日本でやっていた内容(カテゴリ)とは異なること。そして双日が自動車事業に強みをもつ総合商社であること。キアブランドを確立すること。など様々な要因からKia PBV Japanを立ち上げました」と説明しています。
その田島氏が描く日本での戦略の柱は2つあります。
一つは「BtoB(法人顧客)」、もう一つが「BtoC(個人顧客)」、特に「キャンピングカー市場」です。
BtoB領域では、カーボンニュートラルを経営課題とする物流・配送業や、広い荷室空間を求める建設・工事業などをメインターゲットに据えます。
田島氏は「現状、日本の企業にはEVバンの選択肢がありません。カーボンニュートラルの実現が経営課題である企業様に対し、我々はファーストムーバーとして価値を提供できます」と、法人需要への手応えを語りました。

一方のBtoC領域では、EVならではの静粛性や外部給電機能を活かせるキャンピングカー市場を主軸に展開。さらに、家族での利用や送迎、福祉車両としての活用も見込んでおり、幅広い個人ユーザーにアピールしていく構えです。
また「現状、どのような企業が関心を寄せているのか?」という問いに対して、田島氏は「想定していた物流やタクシー業界に加えて、ペットと一緒に快適に過ごせるクルマを探している人や、ルート営業で使う法人からの関心が予想以上に強い」といった新たな発見があったことも明かされました。
今後、日本市場での販売目標については、「2026年の発売初年度に1000台、その翌年には2000台と、かなり野心的な台数を設定して必ず達成したい」と、田島氏は力強く宣言。
この目標を達成するために最も重要となるのが、ユーザーの不安を払拭するアフターサービス体制の構築です。
田島氏は「キアというブランドを日本で創っていくために、高品質な製品はもちろんですが、特にBtoBのお客様にダウンタイムなく使っていただけるようなサービス体制を整えることが不可欠です」と語ります。
具体的な計画として、2026年の販売開始までに全国8拠点のディーラーを開設。さらに、サービスに関しては既存の事業者との提携を進め、全国約100箇所のサービス拠点を確保した上で事業をスタートするとしています。

※ ※ ※
今回発表された「PV5」は、単なる新型の商用バンではなく、ユーザーの用途に応じてその姿を変える、まさに「プラットフォーム」と呼ぶにふさわしい革新的な一台です。
キアは、日本の商用車市場における「EVの空白地帯」という明確な機会を見出し、政府の推進策を追い風に参入を決断しました。
そして、その成功の鍵を握るパートナーである双日は、法人需要と個人の趣味領域という具体的なターゲットを定め、初年度1000台という意欲的な目標と共に、信頼の基盤となるサービス網の構築を着々と進めています。
この後、「PV5」は10月末から開催される「ジャパンモビリティショー」で日本初公開され、いよいよ2026年春の販売開始を待つことになります。
ユーザーと“共に創る”という新しい思想から生まれたこのクルマが、日本の「働くクルマ」の未来をどう変えていくのか。その動向から目が離せません。
【Kia PV5の仕様】
●Passenger (2-3-0)
全長:4695 mm
全幅:1895 mm
全高:1899mm(アンテナ除く)
ホイールベース:2,995 mm
バッテリー:71.2 kWh/51.5kWh※共にニッケル・コバルト・マンガン(NCM)
モーター/トルク出力:最大120kW/250Nm
走行距離 (AER, WLTC 基準):基本型377km、航続型521 km
●Cargo (Long)
全長:4695 mm
全幅:1895 mm
全高:1899mm(アンテナ除く)
ホイールベース:2,995 mm
バッテリー:43.3kWhリン酸鉄リチウム(LFP)、51.5kWh/71.2 kWh※共にニッケル・コバルト・マンガン(NCM)
モーター/トルク出力:最大120kW/250Nm
走行距離 (AER, WLTC 基準):経済型TBD、基本型377km、航続型521 km
※上記の仕様はKia社内の測定基準に基づいています。
Writer: くるまのニュース編集部
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