新車約176万円! スズキが「新型“上質”5人乗りSUV」を発表! 全長4.4mの「カローラクロス」サイズに5速MT&「豪華装備」採用! インド登場の「ビクトリス」日本投入にも期待

スズキが発表した新型SUV「ビクトリス」とはどのようなクルマなのでしょうか。

新型SUV「ビクトリス」 日本導入にも期待

 日本では軽自動車のイメージが強いスズキですが、海外ではより大きなクルマが主力。SUVを中心に、コンパクトクラスからミッドサイズまでの様々なモデルを展開しています。

 そうしたなか、2025年9月3日に新型「ビクトリス」を発表しました。

スズキの新型SUV「ビクトリス」
スズキの新型SUV「ビクトリス」

 新型ビクトリスは、スズキがインド市場から投入を開始する世界戦略車のコンパクトSUVです。

 製造を手掛けるのは、スズキのインド子会社である「マルチ スズキ インディア」で、2025年2月に稼働を始めたばかりの最新の工場で行われています。新たな世界戦略車に相応しい環境といえるでしょう。

 まずボディサイズを見ていくと、全長4360mm×全幅1795mm×全高1655mm。ホイールベースが2600mmとなります。

 サイズ的には、トヨタ「カローラクロス」やホンダ「ヴェゼル」に近く、扱いやすいSUVであることが想像できます。

 それでも日本のスズキ車と比較すると、2024年まで販売されていた「エスクード」よりも一回り大きいのです。

 登場したばかりのスズキ初のEV「eビターラ」とも共通性を感じさせるエクステリアは、SUVらしい筋肉質な造形。

 車両周囲を包み込むブラックモールで強調されたフェンダーアーチ内に、17インチの大径タイヤが収められ、力強い走りを予感させます。

 ヘッドライトデザインは、薄型LEDヘッドライトとLEDシグネチャーランプを組み合わせた、フロントマスクを横断するバータイプの点灯が特徴的。

 テールランプでも、セグメント化されたLEDランプが並び、テールゲート上部を包み込むようなデザインとなっています。

 ただし前後ともライトをコンパクトとすることで、過度な演出とせず、上質さを表現しています。

 ルーフは、流行のクーペルックを取り入れたなだらかなルーフラインと、テールゲートとの一体感を持たせたデザインとすることで、走りの良さとスタイリッシュさを表現しています。

 5人乗り仕様となるキャビンは、充実装備を誇る質感の高いもの。オンダッシュのセンタータッチスクリーンを備えたダッシュボードは中央部にソフトパットを使用し、その柔らかな風合いで、上質さを表現。

 フル液晶デジタルメーターや64色のアンビエントライトなども採用しています。

 最上位グレードでは、10.1インチのタッチスクリーンに5.1サラウンド対応のサブウーハーを含め10スピーカーシステムまで装備される豪華さ。

 さらにレベル2のADAS(先進運転支援システム)や専用スマホアプリによるコネクテッド機能まで用意されており、日本向けのスズキ車と比べても、全く見劣りしない内容を誇っています。

 地域特性を感じさせるのがパワートレインで、3タイプを用意。

 基本となるのが、マイルドハイブリッド仕様の1.5リッター直列4気筒DOHCガソリンエンジン。エンジン単体で103ps/139Nmを発揮。そこにモーターアシストが加わります。

 トランスミッションは、5速MTと6速ATを設定し、FWDだけでなく、ラインアップの中で、唯一AWD(AT車のみ)を選択できるのも強み。

 経済性重視のCNG(天然ガス)仕様は、ガソリンとCNGのバイフューエルに対応。1.5リッター直列4気筒DOHCエンジンで、ガソリンだと101ps/137Nmを発揮しますが、CNGだとややパワーダウンし、88ps/122Nmとなります。

 トランスミッションは、実用重視の5速MTのみ。FFのみとなる代わりに、CNGタンクをラゲッジスペース床下付近に収めることを可能とし、他モデルと同等の使い勝手を実現しているのも売りのひとつ。

 そして、世界的に人気を強めるストロングハイブリッド仕様も用意。1.5リッター直列4気筒DOHCガソリンエンジンとモーターを組みわせたもので、エンジン単体では92ps・122Nmとなりますが、モーターが、80ps/141Nmと力強いので、最もパワフルな仕様となります。こちらもFF車のみで、トランスミッションは電気式CVTとなります。

 現地では、スズキのスタンダードブランドの「アリーナ」店とプレミアムブランド「ネクサ」店を展開しますが、こちらはアリーナ店扱い。

 価格は、104万9900インドルピーから199万8900インドルピー。日本円換算だと、約176万円~約335万円になります(1インドルピー=1.67円換算)。

 日本でも販売される「スイフト」現地仕様が64万9000ルピーから94万9500ルピーなので、インドのスズキ車の中でも高価な部類であることが分かります。

 スズキの調べでは、2024年度のインドの乗用車市場では新車の6割がSUVとのこと。まさにビクトリスは、成長を続けるインドで広さや快適さを求める人々のニーズを狙ったスズキの攻めの一台といえます。

 インド投入を皮切りに、100以上の国と地域への輸出をするとしていますが、現時点では日本に導入されるかは不明。

 ただ「ジムニーノマド」が大成功を納めた今、よりファミリー向けのスズキSUVのニーズが高まっているとも言え、ビクトリスに限らず、新たなSUV導入が行わる可能性は高いといえそうです。

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Writer: 大音安弘(自動車ライター)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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