18年の歴史に幕! 日産「R35 GT-R」生産終了! 次期「R36」のパワートレインはどうなる? パッケージングもキープできるか
日産「R35 GT-R」、最後の1台が8月26日にラインオフしました。生産終了となったR35 GT-Rの歴史を振り返りながら、次期型について予想します。
R35 GT-Rを振り返る!
日産「GT-R」現行モデル最後の1台が、2025年8月26日に栃木工場でラインオフ。
これで「R35」は生産終了となり、新規受注も停止されています。
なお、R35 GT-Rは、国内向けには約4万8000台が送り出されました。そんな生産終了となったR35 GT-Rの歴史を振り返りながら、次期型について予想します。

R35型を振り返ると、「スカイライン」の名がなくなり、「NISSAN GT-R」の名で2007年12月にデビュー。
「誰でも、どこでも、どんな時でも最高のスーパーカーライフを楽しめる」というコンセプトを掲げています。
MTは設定されず、2ペダルのDCT(デュアルクラッチトランスミッション)のみのR35型は、道や天候、ドライバーのテクニックなどによって性能が限定されず、安心して走れることを掲げています。
新開発の3.8リッター V6ツインターボ「VR38DETT」型エンジンとトランスミッションは、匠の手により組み立てられることもファンの心をつかみました。
度重なる改良を受け、クランクシャフトの支持剛性を大幅に高めるラダーフレーム構造をクローズドデッキ型シリンダーブロックに採用するなど、優れた基本設計を備えています。
進化させた「FM(フロントミッドシップ)パッケージ」のプラットフォームに搭載されています。重量物であるトランスミッションを車体後方に配置するトランスアクスル方式を採用。
デビュー時の最高出力は480PS、最大トルクは最大トルク588Nm。2011年モデルでは早くも500PSを超えています。
度重なる改良を受け、最終年式となる2025年モデルは、最高出力570PS、最大トルク637Nmまで引き上げられています。ハイエンドモデル「NISMO(ニスモ)」の2025年モデルは、最高出力600PS、最大トルク652Nmに達しています。
足まわりは、フロントがダブルウィッシュボーン、リヤがマルチリンクで、ダンパーにビルシュタイン製のダンプトロニックを採用。登場時の足まわりはかなり引き締められていて、改良を重ねてしなやかさとフラットライド感が得られるようになった感があります。
登場時から500PS近い最高出力を誇っていたこともあり、非常に高い制動力も与えられていました。デビュー時から超大径のブレンボ製フルフローティングドリルドローターと高剛性パッド、ブレンボ製モノブロックキャリパーを採用。
日産車初となるランフラットタイヤの装着もトピックスで、ブリヂストン、ダンロップ製を採用していました。なお、純正のスタッドレスタイヤもブリヂストン、ダンロップを用意。
駆動方式は、ハイパワーモデルに欠かせない4WDで、日産自慢の4WDシステム「アテーサE-TS」が採用されています。
世界初の電子制御トルクスプリット4WDであり、世界で初めて横G制御が盛り込まれました。その結果、FRの優れた旋回性能と4WDの操縦安定性を両立させ、走りの楽しさと高いスタビリティを獲得しています。
走りや路面状況などに応じて、前後輪のトルクを0:100から50:50まで連続制御することができ、エンジントルクを無駄なく路面に伝えることが可能。
登場時のコクピットは、数多くのハードスイッチを配置することで、リアルスポーツカーらしいムードを演出し目を惹きました。
一方でデビューから約18年も経つと古さを抱かせる感もあり、パワートレインはもちろん、インパネまわりのデザインなども次期GT-Rの注目ポイントになりそうです。先進的かつスポーツカーにふさわしいデザインとユーザーインターフェースを実現するのは不可欠でしょう。
最後のR35型が送り出される中、イヴァン・エスピノーサCEOは、詳細は語らなかったものの「進化した次期GT-Rを再び登場させる」と明らかにしています。
次期型は、騒音規制や燃費規制などはもちろん、時代の流れを考えれば何らかの電動化が図られるのではないでしょうか。
ヒントになりそうなのは、「ジャパンモビリティショー2023」で公開されたEVコンセプトカーの「ニッサン ハイパーフォース」かもしれません。
GT-Rにも見えるロゴがフロント中央に配置され、コンセプトカーならではの未来的なスタイリングに、ガルウイングドアが用意されています。リヤは丸目4灯のテールランプが目を惹きます。
同コンセプトカーには、全固体電池が搭載され、高出力モーターは最高出力1000kW(1360PS)を発生し、圧倒的な加速力を実現するとしています。
4WDは、強力なダウンフォースを生み出す空力設計や進化した電動駆動4WD制御技術である「e-4ORCE」を採用。
次期GT-Rの姿はまだ明らかにされていませんが、最近は、ハイブリッドやプラグインハイブリッド(PHEV)などの噂も上がっていて、どういった手法で電動化するのかも気になります。
日産には手持ちの駒として100%電動駆動でシリーズハイブリッドの「e-POWER」もあり、PHEVの知見は傘下の三菱自動車が豊富に持っていますが、どう活かしていくのでしょうか。
「ニッサン ハイパーフォース」では、軽量化策としてカーボン(炭素繊維)を使うとしていますが、EUではカーボンの規制案も一時期話題に上ったこともあります。
生産台数の確保やコスト面も含めてどうなるか分かりません。どんな手法を採用するにしろ、軽量化の期待も高まります。
そのほか、4人乗り(2+2)を維持できるのか、実用的なラゲッジを確保できるのかなど、GT-Rを成立するパッケージを備えるのかも注目ポイントになります。

Writer: 塚田 勝弘
中古車の広告代理店に数ヵ月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー用品などのフリーライター/フリーエディターに。軽自動車からミニバン、キャンピングカーまで試乗記や使い勝手などを執筆。現在は最終生産期のマツダ・デミオのMTに乗る。




















