1.5リッターエンジン搭載で「370馬力以上」! 斬新「“4WD”スポーツカー」に注目! メーカー初「画期的ドア」&“軽量ボディ”採用! オープンモデルもあったBMW「i8」ってどんなクルマ?
2020年に生産を終了したBMW「i8」はスーパーカーのようなデザインを採用しながら、意外にも小排気量でエコなパワートレインを搭載していました。詳しい仕様はどうなっているのでしょうか。
ハイパワーながら排気量はエコカー並!
未来的なシルエットとスーパーカーを思わせる迫力あるデザインで、多くの人々を振り向かせたスポーツカーがあります。
その姿からは大排気量エンジンを搭載しているように思われがちですが、実際には日本のコンパクトカー並みの排気量を持つエンジンと電気モーターを組み合わせ、環境性能と走行性能を両立させた革新的な一台でした。
一体どのようなクルマなのでしょうか。

そのモデルとはBMWが2020年まで展開していたプラグインハイブリッドスポーツカーの「i8」です。
同車は、2009年のフランクフルトモーターショー(ドイツ)で「BMW Vision Efficient Dynamics」として初公開されました。
その後、2011年に「BMW i8 Concept」が発表され、2013年に市販モデルが登場。
同年には日本での受注も開始されました。
BMWが提案するサステナブルモビリティの象徴として、新ブランド「BMW i」の一員となり、同時期に登場したBMW初の電気自動車「i3」とともに注目を集めました。
当初はクーペのみの展開でしたが、2018年には電動開閉式ソフトトップを備えた「i8ロードスター」が追加され、ラインナップが拡大しました。
ボディサイズは全長4690mm×全幅1940mm×全高1300mm、ホイールベースは2800mm。
未来的なウェッジシェイプのフォルムを採用し、空気抵抗係数(Cd値)は0.26という優れた数値を実現しています。
リアまわりはU字型のテールランプを採用した独創的なデザインでした。
標準装備のタイヤはフロント195/50R20、リア215/45R20。
20インチという大径タイヤながら幅は比較的細めで、スポーツカーでありながら燃費性能を重視していたことがうかがえます。
パワートレインなどを収めるドライブモジュールにはアルミニウムを採用し、大型のプラグインハイブリッド車でありながら車両重量はおよそ1500kgに抑えられています。
室内は2+2のレイアウトで後席も備えており、最大4人の乗車が可能です。
さらに、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)製キャビンを採用し、軽量化に大きく貢献。
CFRPはスチールより約50%、アルミニウムより約30%軽く、それでいて高い剛性を誇る先進素材です。
ドアはBMWとして初めて採用された跳ね上げ式のバタフライドアを装備。
シートは軽量構造で、スポーツカーらしい低い着座位置を実現。
インテリア全体は未来感あふれる仕上がりとなっていました。
パワートレインは、最高出力231PS・最大トルク320Nmを発生する1.5リッター直列3気筒ツインターボエンジンに加え、電気モーターとリチウムイオン電池を組み合わせたプラグインハイブリッドシステムを搭載。
2018年のマイナーチェンジではモーターの最高出力が143PSへと向上し、システム全体では最高出力374PS、最大トルク570Nmを発揮するまでに進化しました。
さらに、電気モーターのみで走行するEVモードも備えており、最高速度は120km/h、航続距離は最大35kmのEV走行に対応していました。
駆動方式は前輪をモーター、後輪をエンジンが駆動するハイブリッド4WD方式で、トランスミッションは6速ATを採用。
スーパーカーのような存在感と、環境性能・先進技術を高次元で両立したモデルでした。
なお、新車価格はおおむね2000万円前後で展開されていましたが、2025年8月時点での中古車市場では700万円台後半から1100万円付近で販売されています。
Writer: 山城颯太
理系国立大学を卒業後、自動車メディアを中心にフリーランスのライターとして活動中。TOEIC 925点。クルマから電車、飛行機まで乗り物大好き。主に新型車のグレードに焦点を当てたモデル紹介、海外車の執筆などを担当。




















