ミシュランの最新オールシーズンタイヤは”2本立て”!「クロスクライメート3」「クロスクライメート3スポーツ」を速攻で試乗チェック
驚くレベルのクロスクライメート3スポーツの実力。さらに攻め込んでみると…?
走りがあまりに爽快で楽しいので、ウエット路面ながらどんどんペースアップしましたが、CC3Sは全くへこたれるどころか、より「うまみ」を見せてくれます。

グリップ限界に近い領域では普通のタイヤだとブレーキを優先したくなりますが、CC3Sはそこからまだ「追操舵」が効くことに驚き。さらに限界を超えて流れ始めても挙動変化が穏やかなので、アクセルOFFでグリップのおいしい所を冷静に探ることができるコントロール性の高さなどは、オールシーズンタイヤとは思えず……。
乗り心地はクロスクライメート3よりも引き締まった印象ですが、衝撃を「スッ」ではなく「シュッ」と抑えるスッキリとした減衰感と路面のザラっとした感じを抑えた印象なので、不快に感じることはないと思います。静粛性は若干ロードノイズ(高周波)が聞こえてきますが、スポーツタイヤだと思えば気にならないレベルに収まっていました。
この実力であればその先……サーキットのようなシーンでも試してみたくなりました。ちなみに筆者の愛車であるGRヤリスに合う225/40R18は設定されているようなので、後日どこかでテストしてみようと思います。
「走りを愉しめるオールシーズンタイヤ」と命名したい!
総じて言うと、夏の性能はCC3/CC3S共にオールシーズンタイヤであることを忘れるポテンシャルを備えています。個人的には、CC3Sはクルマ好き/スポーツカー好きの琴線に響く性能が色濃く盛り込まれた初めてのオールシーズンタイヤで、「雪も走れる夏タイヤ」を超え「走りを愉しめるオールシーズンタイヤ」と命名したいくらいです。

正直言うと、このタイヤの夏の性能を体感してしまうと、「これで本当に雪の性能があるの?」と心配になりますが、ミシュランの開発陣は「従来品と同等の雪道性能を備えています」と自信を見せます。ただ、ミシュランのコメントはこれまでの経験上だと“控え目”なので、恐らく雪道の性能も引き上げられているはずです。このあたりは今シーズンの雪道でチェックしてみたいと思います。
現在、自動車業界はカーボンニュートラル/サーキュラーエコノミー(循環型経済)が求められています。その中でもタイヤは原材料(天然素材やリサイクル素材への置換)、性能(グリップ性能、転がり性能、耐摩耗性を高次元でバランス)、CO2排出削減(生産や輸送)などクリアする課題は多く、現在ミシュランはこれらの課題を最先端の技術で解決しようとしていますが、それに加えて「タイヤを売ること」が生業にもかかわらず、「たくさん売るのではなく、なるべく少ないタイヤで済むビジネス」を考えている点が興味深いところです。
そういう意味では、夏用・冬用タイヤの枠を超えて実現したCC3/CC3Sの性能は、ミシュランの全てのタイヤに共通する思想「トータルパフォーマンス」を現在最も具現化したタイヤと言っていいかもしれません。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。































