全長4m程度で「V12エンジン」搭載! 6速MTもあった「流麗スーパーカー」が凄かった! 斬新ツルツルボディで300馬力超え! 実際に販売されたBMW「ナスカ」シリーズとは

1990年代、BMWはイタルデザインと組んで高性能スポーツカーのコンセプトカー「ナスカC2」を製作しました。まるでレーシングカーのような設計と、イタルデザインの美しい車体が魅力的なコンセプトカーでした。

まるでグループCカー!過激な設計だったBMWのミッドシップスポーツカー

 クルマの華ともいえ、技術の象徴でもある高性能ミッドシップスポーツカーは、多くの自動車メーカーにとって目指すゴールのひとつであり、憧れの存在でした。

 ドイツのBMWも1970年代には「M1」を生み出し、さらに2008年にはM1をオマージュしたコンセプトカー、その名も「M1オマージュ」を発表。

 2014年には、エコカー的なキャラではありますが、同社久々のプラグインハイブリッドスポーツカーの「i8」をリリースするなど、ミッドシップスポーツカーに関心を示しているメーカーのひとつといえます。

BMWが成し遂げたかったミッドシップスポーツカーの夢「NAZCA(ナスカ)」シリーズ
BMWが成し遂げたかったミッドシップスポーツカーの夢「NAZCA(ナスカ)」シリーズ

 そんなBMWが作ったミッドシップスポーツカーの中でも、忘れてはならないのが一連のコンセプトカー、「NAZCA(ナスカ)」シリーズ。

 デザインはすべてジョルジェット・ジウジアーロ率いる「イタルデザイン」が手がけています。

 ナスカシリーズの第1弾は「ナスカM12」で、1991年の「ジュネーブショー」でデビューしました。

 高性能GT(グランドツーリングカー)として企画されたM12の心臓部には、BMW 7シリーズ「750i/750iL」、8シリーズ「850i」用の5リッターV型12気筒SOHCエンジンを選択。最高出力300psを5速マニュアルトランスミッションで後輪に伝えます。

 ドーム型のキャビンを持つ全長約4.3m×全幅約2m×全高約1.1mという広く低いボディは、まるで当時のレーシングマシンのカテゴリ「グループC」カーのようなフォルム。

 サスペンションは前後ダブルウィッシュボーン式、ブレーキにF1用が奢られていたのも、まさにグループCカーのようでした。

 ボディ構造もレーシングカーそのもの。カーボンファイバー製のシャーシとボディの採用により、V12エンジンを載せながら、なんと車重は1.1トンに抑えられていたのです。

 スーパースポーツカーでありながら、動的なだけでなく静的な雰囲気をも漂わせる流麗なボディデザインは、当時若干26歳だったジウジアーロの息子・ファブリツィオの作。

 リアに視覚的なマスを持つ、いかにもミッドシップスポーツカーというスタイル、継ぎ目を感じさせないつるんとしたディティールは、未来感に溢れていました。

 ドアは車体部分が横開き、キャビン部分の窓がガルウィング状に開く構造で、これも近未来っぽい雰囲気を増しています。

 フロントにはBMWの象徴である「キドニー・グリル」が踊り、豪華に仕立てられた内装の各部に配置される850i用のメーターやパーツが、ナスカM12がBMWのスポーツカーであることをアピールしています。

 続く1992年秋開催の「東京モーターショー」に、BMWとイタルデザインはナスカM12をブラッシュアップした「ナスカC2」を展示しました。

 ナスカC2は基本的にナスカM12のコンセプトを引き継ぐものの、内容はより一層レーシングカーに近い設計に昇華。

 それを象徴するように、フロントスポイラーは大型化され、リアにも明確なスポイラーを備えたほか、トレッドも拡大されて全幅は2mをオーバー。

 フロントデザインも変更され、低い位置に移動した横長ヘッドライトがより精悍な印象をアップしています。

 エンジンは、5リッターV12のままですが、7シリーズ(750i/750iL)をベースにしたアルピナのフラッグシップセダン「B12 5.0」用として、アルピナがチューンしたユニットを搭載。最高出力は350psに到達しました。

 内装は、ダッシュボードなどもナスカM12を引き継ぎましたが、ナスカC2ではレーシングカー的なキャラクターを強めたこともあり、シートはグループCカーのようなカーボン製のバケットシートを装着しました。

 これらの重量減により、ナスカM12比で約100kgの重量削減を成功したといいます。

 そして1993年、最後のナスカシリーズである「ナスカC2スパイダー」が登場。ナスカC2のルーフをタルガ風に変更したモデルで、M12とC2では開閉式だったサイドウィンドウを脱着可能なガラスパネルに置き換えていました。

 エンジンを覆っていたガラスも外されてV12エンジンが露出。レーシーな雰囲気をアップしています。

 変更点はこれだけではなく、エンジンは最高出力380pを誇る8シリーズのスーパーモデル「850CSi」用の5.6リッターV12に換装。トランスミッションも6速MTとされました。

 イタルデザインとBMWは、ナスカシリーズの生産販売を望んでいたようですが、結果としていずれもプロトタイプが合計数台作られたのみに終わりました。

 しかし、3台生産されたナスカC2の1台が販売され、個人の手に渡っているようです。

 今後BMWが高性能ミッドシップスポーツカーを出すとしたら、どのようなクルマになるのでしょうか。その誕生を待ちたいと思います。

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Writer: 遠藤イヅル

1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。

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