全長3.2mで4人乗り! めちゃ小さい「カクカクSUV」が凄かった! 低価格×超・シンプル装備で十分? 必要最小限の“お手頃車”ビンファスト「VF3」は「ベトナムの国民車」になるか
ベトナムの新興自動車メーカー ビンファストの主力モデル「VF3」とはどのようなクルマなのでしょうか。
軽自動車よりも小さく性能もほどほどの「ベトナムの国民車」
モータリゼーション真っ只中にあるベトナムですが、まだまだ庶民の愛車はバイクが中心。
その状況に変化を与える存在が、2017年に創業したベトナムの自動車メーカーである「ビンファスト」です。
その主力モデルが「VF3」というモデルになります。筆者(大音安弘)はベトナム・ハノイでVF3の実車をチェックしてきました。
![モータリゼーションが興隆するベトナムで人気の「VF3」[写真:大音安弘撮影]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/08/20250815_vinfast_vf3_000.jpg?v=1755247108)
2024年に投入したエントリーカーのコンパクトEV VF3は、2024年8月からの納車にも関わらず、2024年の新車販売で2位となる2万5千台を記録。
さらに2025年5月までの累計では、1万9416台を販売し、トップに輝いています。まさにベトナムの「国民車」となる可能性大の期待の星なのです。
ビンファストVF3は、SUV風のデザインを持つ4人乗りの3ドアハッチバックです。
直線的なライン、大きめのキャビン、ブラック樹脂のワイドフェンダーは、ジープを彷彿させる無骨さ。
フロントマスクとリアテールランプはブラックアウトされており、乗用車感を演出。フロントパネルには、「V」マークがデザインされているのも特徴的。
他のビンファストモデルとも異なる無骨なスタイルですが、Cピラーとウィンドウを結ぶデザインなど、他のモデルとの共通のデザイン要素も盛り込まれています。
ボディサイズは全長3190mm×全幅1679mm×全高1622mmで、ホイールベースが2075mm。車幅は5ナンバーサイズ並みですが、意外にも全長は日本の軽自動車よりも短く、手頃なサイズとなっています。
意外だったのは、最低地上高を191mmも確保していること。このあたりは、未舗装路や雨も多い現地事情を反映したものなのでしょう。
インテリアは、かなりシンプルです。ダッシュボードには、メーター機能を備えた10インチのセンタータッチスクリーンと、エアコンや一部のメカスイッチのみ。
フロントシートとリアシートは、共通デザインのヘッドレスト一体式のもので、4名乗車が可能。
ラゲッジスペースは、標準時で36リッターとかなり小さいですが、後席を倒すと最大285リッターまで拡大します。
意外だったのが、シートのクッションの良さ。シンプルですが、意外と作りが悪くないことに驚かされました。
電動ユニットは、1モーターの後輪駆動。最高出力32kW(約44ps)、最大トルク110Nmと小さめですが、車両重量も857kgなので十分でしょう。ちなみに、0-100km/h加速は19.3秒と公表されています。
駆動用バッテリーは、18.64kWhで、一充電走行距離は最大210km(NEDC)。急速充電に対応し、10%~70%までの時間が36分とされています。
安全装備を含め、装備は簡素です。
エアコン、パワーステアリング、デュアルエアバック、ABS、USBソケット、車速連動ドアロック、2スピーカー、Android Auto&Apple CarPlay対応インフォテイメントシステムなどですが、必要最小限のものは押さえており、シティコミューターとしては十分でしょう。
ボディカラーは「サマーイエロー」「ローズピンク」「クリムゾンレッド」「スカイブルー」などの鮮やかな色を含めた全7色を用意。
注目の価格は、2億9900万ドン。日本円だと約168万円となっています。
ベトナム現地でトヨタが販売するAセグメントコンパクトハッチ「ウィーゴ」が、4億500万ドン(約228万円)なので、かなりお手頃といえます。
さらに現在のビンファストのEV購入者は、ビンファストの急速充電器が使い放題となっていることも人気の秘密のようです。
クルマとしてもEVとしても手ごろさを実現しているVF3。
街中ではカスタム済みのものを見かけるなど、オーナーカーが増えていることを実感。
もちろんバイクと比べれば高嶺の花には違いありませんから、VF3のオーナーはある程度の資産を持つ、恵まれた人であることは間違いありません。
ただベトナムのモータリゼーションの発展を実感させるには十分の存在といえるでしょう。真の国民車となれるかは、今後の動向にも注目の1台です。
Writer: 大音安弘(自動車ライター)
1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

































