パクリ車は消えた? 中国車が急にカッコよくなった理由とは?
日欧米のカーデザイナーやレーシングカーデザイナーがデザイン
前述で紹介した車のように、最近の中国車は海外メーカーのデザイナーや技術者を招き入れたり、ピニンファリーナをはじめとするカロッツェリアにデザインを依頼したりというパターンが圧倒的に増えています。
とくに、中国のリッチなユーザーはドイツ車がお気に入りなので元アウディのデザイナー、元メルセデス・ベンツのデザイナーと言った実績のあるスタッフを積極的に採用しています。
2018年2月、MINIの電気自動車生産についてBMWと提携を発表した長城汽車にも多数の日本人デザイナーが在籍しており、日産自動車でブルーバードシルフィなどのチーフデザイナーであった中島敬氏もその一人です。中島氏は現在、長城汽車でエグゼクティブ・デザインディレクターデザイナーを務めています。
それでは、中国メーカーのエンジニアは、パクリデザインの車が激減したこの傾向をどう思っているのでしょうか?
北京モーターショーの会場で中国老舗自動車メーカー、第一汽車のエンジニアに話を聞くことができました。
「中国の自動車オーナー、特に富裕層と呼ばれる人たちは中国メーカーのパクリ車を非常に忌み嫌っています。パクリ車自体もそうですし、そのような「偽物の車」に乗る人達のことを中国の恥だと思っています。それが最近は庶民の間にも浸透しつつあるように思います。
また、近年は新しい自動車ブランドに顕著ですが、外装デザインを日欧米のデザイナーに丸投げして、若者ウケするカッコいい車を作る傾向があります。しかし私たち第一汽車のような古くからある自動車メーカーにおいては、丸投げはほとんどありません。
中国最初の国有自動車メーカーとしての歴史やプライドがありますので、外国人デザイナーとうまくコラボして中国車らしさも極力残すようにしています。例えば、駿派(ジュンパル)CX65という車ではフロントが欧州メーカーで活躍した著名デザイナー、リアを自社でデザインしています」(一汽豊田エンジニアI氏)