新車当時140万円! トヨタ「“4人乗り”コンパクトカー」がスゴかった! 全長3mの「“超”マイクロサイズ」でギュウギュウ“じゃない”!? “斬新すぎ”デザイン&「世界初の装備」も採用の「iQ」に注目!
全長3m以下のボディに4人が乗車可能な超高効率パッケージ。マイクロプレミアムといわれたトヨタ「iQ(アイキュー)」とは、どのようなクルマなのでしょうか。
超絶パッケージング技術で「大人4人乗れる」室内を確保!
2008年に発売されたトヨタ「iQ(アイキュー)」は、軽自動車よりも短いボディ全長のなかに、大人4人を載せることができる魔法のようなクルマです。
小さなクルマに隠された大きな秘密について紹介します。

iQには、常識を疑うことで進化していくテクノロジーがたくさん詰まっています。
ボディサイズは全長2985mm×全幅1680mm×全高1500mmで、ホイールベースは2000mmです。
ボディの四隅にタイヤが配置されており、ボディデザインにはコンパクトカーらしからぬ安定感があります。現行の軽自動車、例えばダイハツ「タント」のボディ全長は3395mmですから、iQがいかに短いボディなのかがお分かりいただけるはず。
しかしながら、iQのボディ全幅は軽自動車規格を大きく超えているため、iQは軽自動車ではなく登録車です。
エンジンは、当初の1リッターの直列3気筒エンジンに加え、2009年には1.3リッターの直列4気筒エンジンを追加しています。
組み合わせられるトランスミッションはSuper CVT-i(無段変速機)を基本とし、2008年10月発売当時の車両価格(消費税込み)は、140万円から160万円でした。
これだけ小さなボディに、様々な機械類を入れられたのには理由があります。
まず、エンジン人とギアの位置を反転させてデファレンシャルギアを配置させたこと。そしてセンターテイクオフギアボックスというステアリングギアボックスを高い位置に上げ、空間を有効活用したエンジン配置にしたことは、大きなポイントになっています。
また、前席の床下に収納された超薄型燃料タンクも、マイクロボディの実現に一役買っているのです。
これにより極めて小さなエンジンルームと、フロント530mm、リア455mmという短いオーバーハングを実現しました。
狭い道や駐車場での取り回しがしやすいiQは、最小回転半径が驚異の3.9mという小ささです。
室内にはシートが4つ用意されています。
フロントシートはもちろん、リアシートもエマージェンシーシートではなく、大人がしっかりと座れる必要十分なシートです。
インパネは左右非対称になっていて、助手席側が大きく削られています。これにより助手席側シートの足元空間は、非常に広くなっているのです。
助手席のシートスライド幅は、運転席よりも50mm長くなっていて、iQの中で助手席は最も快適なシートとなっています。
さらにエアコンユニットは超小型化。センタークラスター内に収め、オーディオスイッチはステアリングに集約したことで、室内は想像以上に広々しています。
また、前席のシートバックが薄型になっていて、後席乗員の足元スペースを確保しました。リアシートに座っても、膝回りの空間には余裕があります。
こうした工夫が、全長3m以下のボディに大人4名を難なく乗せられる秘密です。
小さなボディで心配になるのは安全性ですが、iQにはあらゆる角度から乗員を保護する9つのエアバッグが搭載されています。
特にSRSリアウインドウカーテンシールドエアバッグは世界初の装備です。
さらにブレーキ時のタイヤロックを防ぐABSと各輪のブレーキとエンジン出力を自動的にコントロールする「VSC」、発進・加速時にタイヤ空転を抑えアクセル操作を容易にする「TRC」、電気の力でステアリングを補助する「ESP」を統合・協調制御する「S-VSC」を備え、優れた操縦性と走行安定性を発揮します。
2010年8月には専用エアロを備えたスポーツパッケージ「→(ゴー)」が追加され、同年11月には6速MT仕様の「130G MT→」が追加されました。
そして2012年7月には、トヨタガズーレーシングによる特別仕様車「GRMNスーパーチャージャー」を100台限定・355万円で販売しています。
専用エアロパーツや専用スポーツシートのほか、1.3リッターをベースにスーパーチャージャーを搭載し、エンジン最高出力・最大トルクを30%以上向上させたほか、専用サスペンションやクロスレシオ化した6速MTを990kgの軽量ボディと組み合わせました。
このようにおとなしいコンパクトカーに見えますが、本気の“スポーツカー”仕様まで存在していたのです。
※ ※ ※
小さなクルマに大きな魅力を詰め込んだプレミアム4シーターiQ。
2025年7月現在、大手中古車検索サイトでは主に60万円以下の価格帯で販売されており、まだまだ多くの個体が揃っていることから、今が狙い目のタイミングといえるでしょう。
ただし限定車のGRMNスーパーチャージャーだけは別格で、程度の良い個体には400万円以上のプレミア価格がつくなど、希少価値の高さは今も健在のようです。
Writer: 赤羽馬
金融業・自動車ディーラー営業マンを経て、ライターとして独立。幼少期からの自動車カタログ収集癖あり。エンドユーザーに役立つ話や経済・金融とクルマに関する情報を発信中。





















































