知らないうちに傷…当て逃げされたらまずどうすれば? 走行中や駐車時の対応方法
当て逃げの場合でも自分の車両保険は使える?
警察の捜査により、当て逃げをした相手が判明すれば(通常は)当て逃げをした側の「対物賠償保険」を使って修理代を出してもらえます。しかし、加害者が誰なのかわかっても任意保険に入っていないため保険ではなく、加害者が自腹で支払うという場合は細心の注意が必要です。支払ってくれるはずだった修理代を支払わず、逃げられてしまうという可能性もあるからです。
全く理不尽極まりないですが、当て逃げ犯が分からない場合と同様、このような場合は自分のクルマの車両保険(一般車両)を使うことが可能です。なお、当て逃げ犯が特定できない場合、エコノミータイプの車両保険(車 対 車)ではほとんどの場合、補償されませんのでご注意ください。
いずれにしても、車両保険を使って修理をすると、翌年からご自分が加入している自動車保険の等級が3段階落ちて保険料が高くなります。免責金額や等級ダウンによる保険料の増額などすべてを総合すると、10万円以下の修理代なら保険を使わずに自腹で修理代を支払った方が安くなる場合もあります。
保険会社に修理代の見積金額を伝えれば、保険を使った方が得か、損かを教えてくれます。車両保険を使う場合は、必ず加入している保険会社に問い合わせてみてください。
当て逃げ事故、警察はどこまで動いてくれる?
筆者はこの10年間に3回の当て逃げ事故を経験しました。
・1回目:「信号待ちでトラックが当て逃げ」ナンバーと車種を控えていたのですぐ警察に届けて2時間後にはすべて解決。
・2回目:「防犯カメラのないファミレスの駐車場で当て逃げ」相手を特定できず自分の車両保険で修理代を支払った。
・3回目:「気づいたら当て逃げされていた」場所も時期も詳細は不明。気が付いてすぐ警察に届けたが、場所や時期が不明で、傷に一部錆が発生していたため、時間が経った事故と疑われ、事故報告は受理されず。車両保険ナシの車だったので自腹で修理した。
気になるのは3回目の「事故報告が受理されなかった場合」だと思います。
この件について、神奈川県警交通課に聞いたところ、「事故報告書は自動車保険(車両保険)を使う場合に必要ですが、いつ、どこでぶつけられたのかが明確でないと受理できない場合があります。それは、その傷が本当に当て逃げによってできたものなのか、わからないからです。事故が起きた場合、どんなに小さな物損事故でも速やかに警察に届けることが重要です」といいます。
教習所で教わったはずですが、交通事故を起こした場合、軽微な物損事故でも警察に届け出る義務があります(道交法72条1項)。保険を使う、使わないに関わらず、また相手がわからない当て逃げや、場所や時期が分からない場合でもできるだけ早く警察に届けることが後々、安心できます。どんな状況でも、「まずは警察に連絡」これを頭に入れておいてください。
【了】
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。