スズキの「コンパクト“ミニバン”」! 全長4.2mの「ちょうどいいサイズ」&前後スライドドア採用! 高性能「4WD」&MTみたいなATもついた「エアトライサー」とは

未だにそのアイデアが色あせず、市販化されたらいいな、と思わせるコンセプトカーが「スズキ エアトライサー」です。どのような魅力を備えたコンセプトカーだったのでしょうか。

結構売れそう!? 駐車時も楽しい「プライベートラウンジ」を持つミニバン

 世界各国で開催されるモーターショーに参考出品されるコンセプトカーには、「あの時市販していたら、どうなっていたのだろう」と思わせるようなモデルもあります。

 2015年の「東京モーターショー」に展示されたスズキ「エアトライサー(Air Triser)」は、もし発売されていたら、ミニバン市場に何らかの影響を与えたかもしれません。

スズキの全長4.2m級コンパクトミニバン!
スズキの全長4.2m級コンパクトミニバン!

 エアトライサーは写真で見るとかなり大きなクルマに感じますが、ボディサイズは全長4200 mm×全幅1695mm×全高1815mmで、しっかり5ナンバー(小型車)規格に収まります。サイズ感で言えばトヨタ「シエンタ」(全長4260mm)とほぼ同じ。

 コンセプトカーといえど、むやみに車体を大きくしないのは、小型車にこだわるスズキらしいポイントといえます。

 大きなクルマに見えるのは、垂直に立ち上がるフロントおよび上部に備わる細い灯火類、極めて短いボンネット、上下方向に狭い窓、そして全体的にスクエアでマッシブな外観から面の構成がシンプルなのも、どっしりとした雰囲気を強くしています。

 リアウィンドウ下部のボンネットに呼応したような小さな段差や、前後対称に塗り分けられたベージュ&レッドの2トーンカラーやウィンドウグラフィックにより、一瞬「どっちが前?」と錯覚するようなサイドビューも特徴です。

 エアトライサーのコンセプトは、「プライベートラウンジ」。

 車内にはウッド調のフロアにフローティング設置の1・2列目シートが備わり、車端部にはソファ風の3列目シートが設けられています。

「駐車して仲間と過ごす時間にもこだわった」と発表されているとおり、駐車時には、1列目シートを逆にした対面モードのほか、2列目を奥に並列配置してコの字型のラウンジソファ風にも変更可能。その際邪魔になるステアリングホイールは、根元ごと上方に折り曲げることもできます。

 センターピラーから天井にかけて大画面ディスプレイを装備しており、スマートフォンなどから音楽や映像を流すことができるのも、プライベートラウンジ感を強調します。

 ドアは、「S」マークの入った円形ドアノブを境に前後に開くスライド式。Bピラーはなく、車内へのアクセス性は抜群です。大自然の景色のよい場所に停めてドアを開け、ラウンジモードに変えたシートに座り、大開口部から外を眺める……という使い方も素敵。夢が膨らむコンセプトカーです。

 一方でパワートレインはブラックボックスではなく、ハイブリッドシステムを組み合わせた直列4気筒のデュアルジェットエンジンに、クラッチレスMTの5速AGS(オートギアシフト、電子制御4WDシステム「ALLGRIP」を搭載という、妙に現実的な設定。

 内外装のショーモデル的な装飾やデザイン、デジタルドアミラーなどをアレンジして市販すれば、シエンタやホンダ「フリード」が売れに売れているコンパクトミニバン市場に対し、一石を投じることができるポテンシャルはあるのではないでしょうか。

 その際、問題になるのは観音開きタイプのフロントスライドドアかもしれませんが、こちらもぜひ実現してほしいところです。

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Writer: 遠藤イヅル

1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。

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