一般道は「青」で高速道路は「緑」 道で見かける「案内標識」なぜ“色分け”されている? 文字は「白」が用いられる意外な理由とは!
道路にはさまざまな案内標識が設置されていて、行き先を示す案内標識は、一般道が「青」、高速道路や有料道路が「緑」で統一されています。日本だけでなく海外も同様のようですが、なぜ色分けされているのでしょうか。
一般道は「青」で高速道路は「緑」なぜ?
交差点の手前や複数車線のある道路などで、目にする「案内標識」。いわゆる行き先を示す案内表示ですが、一般道は原則的に「青に白文字」、高速道路や自動車専用道路などの有料道路は「緑に白文字」で統一されています。

この色分けは海外でも同様ですが、なぜ「青」と「緑」を使い分けるのでしょうか。
道路標識には「道路標識および信号に関するウィーン条約(通称:国連標識)」と呼ばれる国際基準が設けられていますが、これは欧州を中心として制定されたもの。驚くことにアメリカと日本は批准していません。
とはいえ、まったく無視しているわけでもなく、昭和35(1960)年に総理府により制定された「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(通称:標識令)」で、定められた色を採用。
「人間工学(正しく効率的に動けるように、周囲の人的・物的環境を整え、事故やミスを減らすための研究)」や、視認性の観点から誰にとっても情報が伝わりやすいということを考慮し、「安全色」と呼ばれる色が使われています。
例えば「赤」は「禁止・不可・危険・緊急」、「黄色」は「注意・警告」、「緑」は「安全・進行」、「青」は「進行・誘導」といった具合に、色に意味を持たせています。
そして、それらの対比色(真逆で目立つ色)として、標識の文字には「白」または「黒」が使われるようになっています。
元教習指導員のI氏に、現在使用されている「案内標識」の色分けを教えてもらいました。
「標識令では、一般的な方面案内や距離を表示している案内標識は『青に白文字』に、『緑に白文字』は高速道路や自動車専用道路の案内標識と統一されています。
最近はスマートICやETC専用を意味する『紫に白文字』が加わりました」
そのほか、「白に黒文字」は観光案内や簡易案内標識、観光名所や旧跡などの地域によっては「茶色に白文字」で観光案内標識を採用することも。
ちなみにNEXCOでも「緑と白の組み合わせは、青と白同様に視認性に優れるとの観点から、標識令における案内標識の様式では、高速自動車国道や自動車専用道路では緑と白、一般道路では青と白とされています」説明しています。
では、なぜ高速道路で緑が使われるようになったのでしょうか。
昭和38年(1963年)に名神高速道路の開通に向けての標識令を定めるとき夜間テストが実施され、ヘッドライトに照らされた青の反射シートが参加者全員に緑と誤認されたこともあり、昼夜に関係なく見え方が同じになるアメリカ方式の緑が選ばれたのです。
また、緑は自然界にも多い色であり、目にも優しく頭をスッキリさせる効果も期待できるとされています。「安全・安心」を意味する色でもあることから、利用者に無駄に緊張を強いることがないようにという配慮があったのかもしれません。
ちなみに、道路標識で赤や黄色が多いのも、危険や注意喚起という意味合いがあって採用されています。
ただし「青に白」と「赤」を組み合わせた「一般国道」、「黄色」を組み合わせた「一般都道府県道」などの道路標識も存在。また「白地に青文字」は都道府県や市町村、駅などの著名地点を表すと覚えておけば、間違いなさそうです。
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普段、当たり前のように目にしている案内標識ですが、その意味を知るとさらに理解が深まります。
なお、複数車線のある主要幹線道路などで緑色の案内標識がある車線は、高速道路へ誘導される場合もあることを覚えておきたいところです。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

















