冷暖お手のもの さらには香りも!? 進化するシート「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」 トヨタ紡織/タチエス
座ったら「火薬のにおい」がするシート!?
自動運転が普及した未来を見据え、乗員が車内で没入感を味わえるシートの開発を目指す企業もありました。

自動車シートなどを手掛けるタチエスは、座った途端に包み込まれるような感覚になるシート「スマートシェル」を展示。深くリクライニングしたかと思うと、目線の高さにあわせ湾曲した有機ELディスプレイが展開しました。
シートには左耳の位置にスピーカーが、さらには香りを発生させる装置も備わります。ディスプレイに「朝食の場面」、「森の中を歩く場面」、「肉をいぶす場面」、そして「花火」の映像が流れると、それぞれにあわせてコーヒー、木、燻製(くんせい)、火薬の香りがしてきました。
さらに森の中と花火の場面ではシートも振動し、歩行している感覚や、花火がさく裂して胸に響く感触までが再現されました。まさに五感が刺激される感じで、シートに座りながら臨場感あふれる演出を体感できました。ちなみに味覚の再現は(今のところ)難しいとのことでした。
開発のきっかけは、自動運転の実現により移動時間に“スキマ時間”が生まれ、そこを有意義な体験で埋めたいという思いからだそうです。「家にいるのと同じ空間」を目指したいといい、高速バスなど長時間同じ姿勢となる場面で採用されるかもしれません。
「振動で」方向を伝える
タチエスはほかに2種類のシートを展示していました。シートリクライニングやアームレストの上げ下げにかかるスイッチが自然な手の位置に配置され、ストレスなく操作できる「スマートスイッチ」は、直感的に扱いやすく、かつスライムのような“気持ちよい”感触でした。

右左折といった方向に関わる感覚を、視覚ではなく背中の振動で伝える「ハプティクスシート」は、特に目が不自由など障害のある人へクルマの動きを伝える方法として画期的だと感じました。タチエスは振動の強弱や時間を制御することで、きめ細かい情報の伝達に努めたいとしています。
Writer: くるまのニュース編集部
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