「信号待ちでNレンジ」なぜやっちゃダメ? 知らずにやってる操作がクルマを傷める原因に!? AT車でNGな「意外な行為」とは!
誰でもかんたんに運転できるのがAT(オートマチックトランスミッション)の利点ですが、知らず知らずのうちに、ATに負担をかける操作をしていることがあるようです。どのような操作がNGなのでしょうか。
AT車の運転における「NG行為」とは?
誰でも「D」レンジに入れればかんたんに運転できるのがAT(オートマチックトランスミッション)の最大の利点です。
しかし、知らないうちに、ATに負担をかける運転をしていることが多々あるようです。
一体、どのような操作や走り方がATにNGなのでしょうか。

たいていの人は「自分は大丈夫」と考えているかもしれませんが、ちょっとした操作が実はATに大きな負荷をかけており、それに気がついていないことも多そうです。
ATは、かんたんに言えば「クラッチとシフトチェンジを自動化させた変速機」です。
遊星歯車機構(ギア)とトルクコンバータを用いた「油圧制御式」が一般的ですが、最近では、ギアではなくプーリー(滑車)と金属のベルトを用いた「CVT」なども普及しています。
「ATに負担をかける操作」とは「ギアを傷める運転」とも言えます。
もちろん、ATはある程度の負荷を想定して設計されているのですぐに壊れることはないのですが、間違った運転による負荷が積み重なることで、コンディションの悪化や変速時のシフトショックの増大、最終的には故障の原因となってしまうのです。
具体的に、どういった操作がATに負担をかけてしまうのか、現役整備士のH氏に聞いてみました。
「ドライバーが無意識にやってしまうNG行為で一番多いのが、駐車時のシフトチェンジで、D(ドライブ)とR(リバース)を使い分けるようなシチュエーションです。
切り返しなどでギアをDレンジからRレンジにシフトチェンジするとき、しっかり停止する前に変える人が多いのですが、あれはジワジワとATを傷める行為です。
ひと呼吸おいて、きちんと停止してから違うギアに入れましょう」
そもそも、前進用のギアと後進用のギアは噛み合わないように設計されており、これを停止前に無理やりシフトチェンジしてしまうと、逆方向の力が一気にギアにかかりATに大きな負荷がかかるのです。
さらに、DレンジとRレンジの変更より危険なのが、完全停止する前に「P(パーキング)」レンジに入れてしまうこと。
Pレンジは「パーキングロックポール」と呼ばれるツメのようなパーツをギアに噛ませることで車輪を動かないようにしているため、完全停止する前にロックしてしまう行為はギアとロック機構を傷める行為だと言えます。
「ハンドル操作にしてもアクセルにしても『急』がつく操作は各部に大きな負荷がかかります。停止する前にPレンジに入れてしまう行為は、速度は遅くても急がつく操作のひとつです。
同様にブレーキを踏まないとPレンジが解放されないのは、急に負荷がギアにかかって故障するリスクを減らすための対策なのです」(H整備士)
また、現在は「MTモード」が付いたATを搭載している車種が増えました。MTモードを使うとメリハリのある運転ができたり、下り坂などでエンジンブレーキを利かせたいときに使用するのですが、あえて低いギアを選択して引っ張る(速度を上げる)ような運転をする人もいます。
力強い加速を期待しての操作だとは思いますが、頻繁に低速ギアに落とすなど、操作も必要以上にやり過ぎるとATを傷めることになり、注意が必要です。
同様に、信号待ちなどでNレンジに入れる行為も、実はATに負荷をかける行為。
これはNレンジに入れること自体が悪いのではなく、発進時にDレンジに入れる前にアクセルを踏んでしまうのがNGなのです。
いきなりギアに高負荷をかければ、それだけクラッチの摩耗も進みますし、傷むリスクも増えるというわけです。
ほかにも、Pレンジだけで駐車するのは避け、パーキングブレーキ(サイドブレーキ)もかけたほうが良いでしょう。併用することでより安全かつ確実に車輪を固定できるので、忘れずに使いましょう。
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普段、何気なくしている操作がクルマを傷めるNG行為はいくつもあります。ATの構造を理解して、傷めないような操作を心がけたいものです。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

















