日本車に迫る値上げ地獄! 「トランプが日本勢に求めるもの」25%関税の衝撃… 就任100日目で語った追加方針とは
トランプ大統領の「トランプ関税」が日本の自動車産業に大きな影響を与えています。アメリカに輸入される新車への25%追加関税は新車価格の上昇圧力となっている状況。メーカー各社は価格改定を避け、原価削減や部品調達の見直しを迫られる中、トランプ政権は2年間の部品関税免除で国内生産シフトを促してます。日本メーカーはアメリカ市場での生産比率を高める戦略を強化していますが、日本国内の新車価格への影響も懸念されています。
トランプ大統領の「トランプ関税」が日本の自動車産業に大きな影響を与えている…
いわゆる「トランプ関税」が、日本の自動車産業界に衝撃を与えています。
それが今後、日本のユーザーにどのような影響を及ぼすのでしょうか。

米トランプ大統領は現地時間の2025年4月29日、ミシガン州デトロイト郊外で集会を開きました。
1月の大統領就任以来、100日目となったことで、新政権での成果を国内外に強調するためです。
ミシガン州は昨年の大統領選挙での激戦区のひとつで、トランプ大統領が勝利を収めた場所であり、またデトロイト市を中心とした自動車産業集積地としても知られています。
演説の中でトランプ大統領は、100日間の実績について具体的な例を上げて説明。
例えば、メキシコなどからの不法移民が減り、アメリカでの雇用が守られていること。
また、イーロン・マスク氏が率いる政権チームが、連邦政府関連機関の人員削減を行い、政府全体としてのコスト削減を実現したことを、胸を張りました。
さらに、自動車については「We love Japan」と前置きした上で、アメリカで日本車が数多く走っているとして、日本の自動車メーカーに対してアメリカでのさらなる自動車生産を要望したのです。
こうした自動車産業に対するトランプ政権の方向性は、政権発足前から大きな変化はない印象です。
ただし、トランプ関税については、直近でいくつかの修正が加わるなどしており、自動車産業に携わる人たちは戦々恐々としています。
大まかに言えば、アメリカに輸入される新車に対する25%の追加関税は据え置かされています。
従来の2.5%に加えて25%追加なので、関税は合計27.5%となります。
一例をあげると、アメリカ市場での売れ筋であるトヨタの中型セダン「カムリ」が約3万ドル(1ドル143円換算で429万円)ですので、単純に25%追加関税がかかり、それを新車価格に転嫁したとすれば、536万円となり、107万円の大幅値上げとなってしまいます。
ただし、トヨタを含め、自動車メーカー各社は大幅な価格改定の予定はないようです。
そうなると、さらなる原価削減を当然であり、クルマの設計、開発、生産、部品の購買、物流、販売売店との関係性など、新車の商流全体でのコスト見直しが必須となることは間違いありません。
なかでも部品調達は、アメリカ国内だけではなく、グローバルで役割分担しているのが実情ですので、そうした仕組みを見直す必要があります。
そうとはいえ、部品の製造や物流を大きく変えるためには、製造拠点を再整備したり、船舶輸送などと長期契約を再交渉するなど、かなりの時間を要します。
こうした自動車産業の実情を考慮して、トランプ大統領はデトロイトで集会を開いた同じ日に、アメリカ国内生産の新車に使う自動車部品の関税を一部免除する大統領令に署名しています。
具体的には、自動車メーカーがアメリカ国内で販売する売上高の15%を免除し、その中で海外から輸入する自動車部品の関税を免除します。
ただし、これは2年間に限定されるもので、あくまでも自動車メーカーのアメリカ国内生産シフトさせるための移行期間という建付けとなります。
つまり、トランプ政権の自動車産業に対する施策としては、最終組立を行う自動車メーカーが調達する自動車部品を、2年間で一気にアメリカ国内回帰させようという狙いです。
このように、2年間の猶予期間が設けられたとはいえ、前述のように新車に対する追加関税自体の見直しが行われる可能性は未知数。
そのため、日本の自動車メーカーとしては、日本からのアメリカへの直接的な新車輸出量を調整したり、またアメリカの隣国であるメキシコとカナダからアメリカに対する新車出量も調整するという、大まかな方針は変わらないと言えるでしょう。
各種報道のよれば、日本メーカーの中でアメリカ国内販売車両でアメリカ国内生産比率が最も高いのはホンダ。そのほかのメーカーは5割程度というデータが出ています。
日本からアメリカへの直接輸出台数が多い、マツダとスバルにおいては、それぞれがトヨタとの合弁事業や協業事業をアメリカ国内で行っています。
両社関係者に話を聞くと、そうしたアメリカ事業の調整を進めているとのことです。
日本メーカーにとって、高付加価値のSUVが市場の主流であるアメリカは、各社のグローバル事業全体の中で大黒柱であることは、今後しばらくの間は変わらないでしょう。
こうした日本メーカーのアメリカシフトが、日本で販売される新車価格にどのような影響が出るのか、今後の動きを注視していきたいところです。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
原価削減。すぐに下請け泣かせが~と、あたかも正義の味方のようなセリフ吐く評論家ども。今は為替でその分相殺できるから、当分値上げしない。また27%値上げしても韓国車も同様、すべてが値上がりするから別に競争力が落ちるわけじゃない。ホンダはシビックHV 5000台を米国で生産に切り替えるとのことだが、電池は米国のトヨタから調達