6速MTのみ! トヨタ新「2ドアスポーツカー」登場! 超パワフルな「直6ターボエンジン」搭載したストイック仕様! 鮮烈レッドの“豪華内装”も魅力の「スープラ A90 Final Edition」実車展示!
幕張メッセで開催された「オートモビルカウンシル2025」でトヨタは、フラッグシップスポーツ「GRスープラ」の最終限定車「A90 Final Edition」を展示しました。現行型スープラの集大成とされるモデルです。
6速MTのみ! トヨタ新「2ドアスポーツカー」登場!
2025年4月11日から13日まで、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された自動車文化を愉しむイベント「オートモビルカウンシル2025」。
トヨタ自動車のブースでは、トヨタのフラッグシップスポーツ「GRスープラ」の最終限定車となる新モデル「A90 Final Edition」が展示されました。
この現行型スープラの集大成とされる特別仕様車の詳細を紹介しましょう。

オートモビルカウンシル2025の会場でついに実車を目にすることができたGRスープラA90 Final Editionは、まるでポルシェやBMWなどのGT3モデルのような迫力に満ちています。
それは専用となるエアロパーツやマットブラックのカラーリングなどのよりレーシーな装いだけでなく、GRスープラ自体が走りのスピリットを強めたオーラを放っているようであり、まさに特別な一台であることを意識させる雰囲気なのです。
スープラの歴史は、1978年に誕生した「セリカXX」が原点で、その輸出名が“スープラ”でした。
大変革期を迎えたのは、1986年に登場した3世目で、日本でもスープラの名称が採用され、プラットフォームもソアラと共用となるなど、アップグレードが図られました。
1993年には、より高性能化を図った4代目モデルが登場するも、2002年には終売に。当時はエコカーやミニバン、SUVが市場の中心となっていき、スポーツカーのシェアは縮小したため、継続モデルが開発されませんでした。
モータースポーツシーンでも、SUPER GT500クラスへのスープラの参戦は2005年が最後となり、表舞台から姿が消すことになりました。
しかし、舞台裏となる開発の現場では、高性能なFRスポーツカーという素性の良さを買われ、現在もテストドライバーのトレーニングマシンなどとして活躍を続けています。
トヨタのマスタードライバーである「モリゾウ」こと豊田章男会長も、スープラで腕を磨いたことから強い思いがあり、それがスープラの17年ぶりの復活の原動力となりました。
2019年に復活を果たした5代目スープラこと「A90型」ですが、2026年春をもって生産を終了することがアナウンスされており、スープラを支持してくれた世界中のファンに向けて、現行スープラの集大成として究極・最高の性能・仕様を備えた特別仕様車として、A90 Final Editionが開発されました。
それだけに専用仕様となる内容は多岐にわたります。まずエクステリアでは、専用ボディカラー「マットステルスブラック」のみを採用。空力性能を強化するべく、エアロパーツでは、カーボン製フロントスポイラー、フロントセンターフラップ、カーボンフロントカナード、カーボンボンネットダクト、スワンネックタイプのカーボンリヤウィングを採用しています。
足元には、タイヤを10mm拡幅した上で、よりハイグリップなMICHELIN PILOT SPORT CUP 2に変更。これによりタイヤサイズがフロント265/35R19、リヤ285/30ZR20にサイズアップ。組み合わされる専用の鋳造アルミホイールのカラーリングは、ボディ同様に艶消しのダークチタン塗装仕上げとしています。
ブレーキ及びサスペンションも専用仕様となり、フロントブレーキを大径化。ブレンボ製19インチブレーキとし、高μブレーキパッドに変更。さらに前後のブレーキディスクをフローティング構造のドリルドディスクとし、ブレーキホースのステンレスメッシュ化も行っています。サスペンションも、KW製減衰力調整式に変更し、前後のスタビライダーも強化。さらに前後のキャンバー角も変更しています。
シャシー性能を高めるべく、フロントカウルブレースとリヤ床下ブレースの構造、フロントロアアームのゴムブッシュ、リヤスタビライザーリンク、前後スタビライザーブラケットを強化品とし、フロント床下ブレースと強化ラゲージクロスバーを新たに追加。さらにリヤサブフレームのアルミリジットマウント化やフロントコントロールアームのピロボールジョイントへの変更などを実施しています。また言うまでもなく、シャシー制御も見直しも図られています。
これらの性能強化は、より刺激的な走りへと繋がるエンジン性能の磨き上げのため。専用チューニングを実施した3リッター直列6気筒DOHCターボエンジンは、最高出力を54馬力増した441馬力に到達。最大トルクも71Nm増しの571Nmまで向上させており、トランスミッションは、ストイックに6速MTのみが用意されます。
もちろん、安定した性能を引き出すべく冷却性能も強化され、ボンネットに設けられた特徴的なカーボン製ダクトも、そのアイテムのひとつとなります。また排気システムには、アクラポヴィッチ製チタンマフラーが搭載されるので、サウンド面の楽しみも増しています。
ドライバーとパッセンジャーを刺激するべく、コクピットにも改良が加えられており、アルカンターラ巻きのステアリングとシフトノブを始め、レカロのカーボンフルバケットシートやカーボン製スカッフプレートなどを装着。そのカラーリングは、GRスポーツのロゴにも使われる赤を基調としています。
このように、外装は黒一色で内装は黒と赤のコントラストというシンプルでありながら、とても刺激的なカラーコーディネートとなっており、そのシンプルさが熱いモータースポーツシーンを想起させるものでもあります。
これだけの特別仕様が施されるとあって、車両価格も特別なもの。同じ3リッター直列6気筒DOHCターボエンジンを搭載する最新仕様の「RZ」グレードが800万円なのに対して、ほぼ2倍となる1500万円が提示されています。
そしてこの特別なGRスープラを手にできるのは、たった300人だけ。しかし、母国へのサプライズとして、生産台数の半分となる150台が日本へと割り当てられたことは歓迎すべきでしょう。
残念ながら、既に購入希望者の申し込みは締め切られており、抽選結果は、2025年5月9日発表される予定です。
その後の商談で、幸運な150人のオーナーが決定されることになります。
Writer: 大音安弘(自動車ライター)
1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。
鋳造アルミじゃなくて鍛造アルミホイールですよね