「高性能ターボ×MT」がウリなのに… 日産「“最強”2人乗りスポーツカー」なぜATのみ? 「フェアレディZ NISMO」がMTじゃない理由とは?
日産「フェアレディZ NISMO」は9速ATのみの設定となっています。なぜMTは採用されなかったのでしょうか。
「フェアレディZ NISMO」にはATが適しているワケとは?
しばらく受注停止になっていた日産「フェアレディZ」ですが、2024年11月下旬から新規注文の受付が開始されました。
フェアレディZの歴史は、1969年12月に登場した初代の「S30型」から始まり、現行モデルは2022年にデビューした7代目「RZ34型」となります。

現行モデルはフルモデルチェンジしたように思われますが、実は6代目の型式「Z34型」が引き継がれたビッグマイナーチェンジモデルとなっています。
現行モデルのボディサイズは、全長4380mm×全幅1845mm×全高1315mm。2人乗り2ドアファストバッククーペです。
そのスタイルは、往年のフェアレディZを彷彿とさせるクラシックな部分と、モダンを融合させたスポーツカーで、ロングノーズ・ショートデッキのシルエットに、LEDヘッドライトや力強いフロントグリル、リアコンビネーションランプが個性を強調し、ひと目で”Z”だとわかるようなデザインでまとめられています。
パワートレインは、最高出力405馬力・最大トルク475Nmを発生する3リッターV型6気筒ツインターボに6速MTまたは9速ATを組み合わせた後輪駆動を採用しました。
そして、2023年8月には、新たに「フェアレディZ NISMO」がラインナップに追加されました。
NISMOとは「Nissan Motorsports International」の略で、日産のモータースポーツおよびハイパフォーマンスモデルのブランドです。
NISMOの名が与えられた市販モデルは、モータースポーツで培われた技術・ノウハウを惜しみなく投入して開発されており、フェアレディZ NISMOでは専用チューニングが各部に施されました。
その最大のトピックはエンジンにあり、最高出力は標準モデルの405馬力から420馬力へと引き上げられ、最大トルクは475Nmから520Nmへと向上したことでしょう。
また、内外装にもいくつかのNISMO専用パーツが採用され、特別感を演出しています。
そんなフェアレディNISMOですが、トランスミッションに6速MTが設定されていないことも特徴のひとつにあげられます。
現行モデルは、400馬力超のハイパワーエンジンに6速MTの組み合わせを、今の時代に日産が残してくれたことを多くの人が賞賛しています。
一方で、フェアレディZ NISMOは最高峰のハイパフォーマンスモデルでありながら、9速ATのみの仕様となっているのです。
その理由の背景に、フェアレディZ NISMOの開発コンセプト「Buddy on truck(トラックでの相棒)」があります。
かつては油圧で制御していたオートマチックトランスミッション(AT)は、今では電子制御が当たり前となり、さらには、ほとんどのクルマがAT車(CVT・DCTなど含む)とってMT車が希少な存在となった現在は、トラックすなわちサーキットで速く走れるのは、MTではなくATとなったのです。
シフトチェンジは、MTよりATほうが圧倒的に速く、また、MTではプロのレーサーでも犯してしまうシフトミスはATでは発生しません。また、ATはMTより多段化でき、ATのほうが広いギア比設定が可能となります。
フェアレディZ NISMOには標準モデルには設定されていない「SPORT+」モードが設定されています。
このモードは、NISMO専用のバルブタイミング、スロットル、トランスミッションの制御を行い、シフトダウンのタイミングやコーナリング時のギアシフト保持など、熟練ドライバーと同じようなシフトチェンジを可能としています。
フェアレディZ NISMOにMTの設定がないことを残念がるファンの声も見られますが、日産の開発コンセプトは、サーキットでより速く、ドライバーと一体となった走りを楽しむことだったので、9速ATの選択肢しかなかったのでしょう。
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最新のフェアレディZ NISMO 2025年モデルは、2024年11月8日に発表されました。
価格(消費税込)は930万2700円。今回は1000台限定の抽選販売となり、2025年1月9日から1月31日まで抽選が受け付けられました。
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