たまに見かける「極端に走行距離が少ない中古車」買って大丈夫? 今まで何してたの? ぱっと見「極上車」だけど注意点もある? 買うときに気をつけるポイントとは?
クルマによっては「むしろ避けておいたほうがいい」パターンも
「距離の少ないクルマはコンディションもいい」
実はさきほどのこの定義が当てはまらない場合があるそうです。どういうことなのでしょうか。

1980年代から2000年代初頭のネオクラシックカーをメインに扱う中古車販売店B店では以下のコメントをいただきました。
「旧車およびネオクラシックカーと呼ばれるクルマであれば、メーター巻き戻し(いわゆるメーター改ざん/メーターバック)の可能性もゼロではありません。
2017年1月より、過去の車検時に記載された距離数を車検証に記載することが義務づけられ、多少なりとも厳しくはなりました。
しかしそれ以前、例えば20年前にメーターが巻き戻しされ、それから10年後に再び巻き戻された中古車が流通している可能性も否定できません。
事実、オドメーターおよびトリップメーターがアナログ式だった時代のクルマは、メーターパネルを外して巻き戻すことを専門にしている闇業者がいたほどです。
ある程度、年数が経ったクルマで極端に走行距離が少ない場合はメーター巻き戻しを疑う必要がありそうです。
かといって、証拠となるものを見つけるのは困難であることも事実なんですが…」
先程の年式新し目の認定中古車とは違い、もはやクラシックカーと呼ばれる年式のクルマは、現在に至るまでどのようなヒストリーを持っているか、全く分かりません。
もちろん、整備記録がしっかり残って新車から大切に乗られてきたワンオーナー車であれば、メーター巻き戻しの可能性も低いかもしれません。
しかし、それを証明することすら、やはり難しいのが現実。もしメーターが巻き戻っていればクルマとしての価値は低くなり、もしかしたら重整備が必要な走行距離を走ってしまっているかもしれません。
また、メーター巻き戻しがなかったとしても、「長い間眠っていた」ということは、大きなトラブルを招くことがあります。
クルマは機械です。動くことが調子を保つ秘訣でもあり、長い間動かさないでいるとオイルが循環しなかったり、ゴムやプラスチック部品がずっと同じ形のままになるため、部品が崩壊したり、油膜切れで致命的なトラブルになることもあるようです。
「仮に30年前のクルマの実走行が2万キロだったとしましょう。お客様が当店で購入を決められる前に、おおよその『乗り出し価格』をお伝えします。
乗り出し価格とは、『クルマの購入金額+可能な限り問題なくお乗りいただけるコンディションまで引き上げること』です。そのときには、購入金額並みの費用が掛かってしまうこともあります。
なかには『買えば何とかなる(何とかする)』とおっしゃるお客様もいらっしゃるのですが、そういった方ほど半年もしないうちに『やっぱり無理だった』と手放してしまうケースが多いんです。
そこまでのご予算、そして覚悟がおありなのか、もういちど冷静になって考えていただくようにしています」
正しく走っていれば、経年で交換が必要な部品がしっかり変えられているケースが多いですが、極端に走っていないと、もしかしたら「新車から40年たったままの燃料ホース」がついているかもしれません。
そうすると、故障を招くだけではなく、大火災や事故につながる可能性もあります。旧車およびネオクラシックカーともなると、走行距離の少なさだけで飛びつくのはリスクが高いといえそうです。
むしろ「多少健康体を維持するために走っている」クルマのほうが安心でしょう。
もし超低走行の旧車・ネオクラシックカーを検討している場合、購入後も費用が掛かるということを肝に銘じる必要がありそうです。
Writer: 松村透
株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。


































