スバルに「“スポーティ”トールワゴン」あった!? 水平対向“じゃない”エンジンに「STI仕様」×専用サス採用でめちゃ楽しそう! こだわり凄い「走りのスバル顔ワゴン トレジア」とは
かつてスバルは走りにこだわった「トールワゴン」を販売していました。どのようなクルマなのでしょうか。
まさかの「STI仕様」もあった
スバルといえば「水平対向エンジン」と「シンメトリカルAWD」という、2つの大きな個性を備えるクルマをラインナップするメーカーとして知られています。
その一方、トヨタとは提携関係にあるほか、ダイハツからも軽自動車やコンパクトカーのOEM供給を受けて販売するモデルもあるなど、不足するラインナップをうまく補てんしています。
現在も、ダイハツ「ロッキー」のOEMモデルである「レックス」、ダイハツ「トール」のOEMモデルである「ジャスティ」が普通車としてラインナップされています。

一般的にOEMモデルというと、多くは車名やエンブレムを変更しただけで中身は同じというものがほとんど。
ただし、過去OEM販売していたモデルの中に、スバルらしさを存分に盛り込んだ車両が存在していました。それが2010年11月にリリースされた「トレジア」です。
トレジアは5ナンバーサイズのボディを持ち、トールワゴンに分類されるモデルで、ベースとなっているのはトヨタ「ラクティス(2代目)」。
ただ、一目見ても分かるようにフロントマスクにラクティスの面影はなく、同世代の「インプレッサ(3代目)」にも似た、独自の“スバルフェイス”をまとっていました。
さらにトレジアは、ラクティスの開発現場にスバル側の開発スタッフを送り込んで共同開発したという異例の手法がとられました。
そのため、足回りは形状こそラクティスと共通ながら、「TYPE EURO」グレードではスプリングのバネ定数、スタビライザー径変更などの専用チューニングを施し、スバルらしい俊敏なハンドリングが楽しめるモデルに仕上がっていたのも特徴です。
また装備面でも違いがあり、パドルシフトやクルーズコントロールを標準装備するグレードが多く設定されていたほか、当初ラクティスには設定されていなかったステアリングのテレスコピック機構を一部グレードに設定。
フロントシートのフレームも、ラクティスとは異なる上級車種用の専用品にするなど、走りにまつわる部分にこだわりを感じることができたのです。
2011年開催の「東京オートサロン」では、OEMモデルとしては異例のSTI(スバルテクニカインターナショナル)が手掛けた「トレジアSTI」を参考出展。
結果としては残念ながらコンプリートカーとしての発売には至りませんでしたが、翌年にエアロパーツやアルミホイール、シフトノブなどがSTIから販売されていました。
このようにかなり気合いを入れて作られていたトレジアでしたが、実際には価格帯が同じ1.5リッターモデルのインプレッサとそこまで大差ないキャラクターだったこともあって、人気車種になることは叶わず。
2016年の夏、ラクティスよりも早く終売されることになり、後継車種が登場することもありませんでした。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿や、URLを記載した投稿は削除する場合がございます。