「家族のETCカード使ったら犯罪ですか?」 過去に有罪判決も! 一方で暴力団会長が「内縁の妻」のETC使い無罪に…なぜ? 貸し借りNG知らない人も
2025年1月14日には、家族のETCカードで有料道路を通行し、不正に料金の割引を受けたとして電子計算機使用詐欺罪に問われていた暴力団会長ら3人に対し、大阪地裁が「無罪判決」を言い渡しました。基本的にETCカードを家族間で貸し借りすることは禁止されていますが、一体なぜ無罪判決が言い渡されたのでしょうか。
家族間のETCカードの貸し借りには要注意!
基本的にETCカードを家族間で貸し借りすることは禁止されています。
場合によっては罪に問われることもありますが、先日、家族のETCカードを使用した暴力団会長に対し無罪判決が言い渡されました。
では、一体なぜ無罪判決が言い渡されたのでしょうか。

高速道路の料金所にあるETCは、料金所に設置されたアンテナと車両に設置されたETC車載器との間で無線交信がおこなわれ、自動的に料金の支払いがおこなわれるシステムです。
その利便性から多くのドライバーが利用しており、国土交通省のデータによると、2024年11月時点のETC利用台数は1日当たり約865万台、ETC利用率は全体の95.1%にも上ります。
ただしETCを利用する上で注意しておきたいのは、ETCカードを家族や知り合いなど他の人と貸し借りする行為です。
たとえばNEXCO東日本の「高速道路営業規則」第21条第4項では、ETCカードによる料金の支払いについて次のように規定しています。
「クレジットカードによる取扱いは、通行の都度、クレジットカード会社から貸与を受けている本人が乗車する車両1台に限り行います」
つまりETCレーンを通行する際にはカードの名義人が乗車していなければなりません。
なお他の高速道路会社でも同様のルールが設けられており、家族間におけるカードの貸し借りなどによってカードの名義人が乗っていない状態であれば「電子計算機使用詐欺罪」という罪に問われる可能性も。そのため各クレジットカード会社などでは家族用のETCカードを発行しているのです。
そうしたなかで2024年5月には、大阪市内の暴力団組長と運転手の組員が、組長の弟のETCカードを使って市内の有料道路を2回走行し(いずれも弟は乗車せず)、高速道路会社をだまして合計1400円の割引を受けたとして、有罪判決を受けています。
この事例では組長と組員が弟のカードを頻繁に利用していたこと、またETCカードは暴力団組員に発行されないクレジットカードと紐付ける必要があり、弟名義のカードを使用することで暴力団排除条項をかいくぐろうとした点などが悪質と判断され、有罪となったものとみられます。
一方で2025年1月14日には、家族のETCカードで有料道路を通行し、不正に料金の割引を受けたとして電子計算機使用詐欺罪に問われていた暴力団会長ら3人に対し、大阪地裁が「無罪判決」を言い渡しました。
この事例は暴力団会長と運転手の組員が、同乗していない事実婚の妻のETCカードを使って大阪府内の有料道路を2回走行し、高速道路会社をだまして1140円の割引を受けたとして起訴されていたものです。
上記で紹介した2024年5月の事例と内容が似ているものの、「事実婚の妻をクルマに乗せずにETCカードを利用した頻度が低いこと」、「一般的には家族間のカードの貸し借りが相当数おこなわれており、不正であることが十分周知されていない状況があること」などの事情を踏まえ、「処罰するほどではない」として無罪判決が言い渡されました。
今回の判決に関してSNS上では「事実婚の妻にカードを発行させて会長がずっと使ってたとかならアウトだけど、今回の件はそうではなかったようだし妥当な判断ではないか」、「2回だけだと有罪にするには弱いな」など、無罪判決に一定の理解を示す声が聞かれました。
反対に、「裁判所が公然と『違法だけど許す』って反社にお墨付きとかやばいな」といった意見も寄せられており、たとえ家族間の貸し借りであっても規定に違反するという認識は持っておくべきといえるでしょう。
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SNS上においてはETCカードに関して「家族間での貸し借りが不正利用になるのは知らなかった」という声も多く聞かれました。
クレジットカード会社によっては家族名義のETCカード(家族カード)を発行できるケースもあるため、必要に応じて制度を活用すると良いかもしれません。
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