読めたらすごい!? 超難読名称「徳次郎IC」誕生の理由とは 「とくじろう」ではありません! 実は3年前まで「普通の読み方」だった!?
宇都宮環状道路(宮環)と宇都宮北道路をつなぐ国道119号の上戸祭立体が、2022年7月に開通します。どのような効果があるのでしょうか。
難読IC名 その変遷は
栃木県宇都宮市の有料道路「日光宇都宮道路」に、「徳次郎IC」というインターチェンジがあります。
この徳次郎IC、読み方を尋ねられて、正しく答えることができるでしょうか?
実はこのIC名には様々なドラマがあります。

日光宇都宮道路は、首都圏の一大観光地・日光への混雑緩和を図るため、1976年に開通。5年後にはいろは坂の手前である清滝ICまで延伸し、現在に至ります。
徳次郎ICは、東北道の宇都宮ICから分岐して最初にあるICです。気になる読み方ですが、「とくじろう」は不正解です。
正解は「とくじら」という特殊な読み方なのです。
不思議な地名の由来は諸説あり、まだ確定していません。その中でも有力なのは、日光市にある「久次良(くじら)」が発祥だというものです。
日光の豪族であった久次良氏は、「二荒神」を当地の守り神として信仰していました。二荒は「ふたら」と読みますが、音読みにすると「にこう」で、日光(にっこう)の由来でもあるといいます。
さて、久次良氏は8世紀後半ごろ、より平野部である現宇都宮市にも進出します。新たな居住地を指して「外(と)の久次良」と呼び、それが「とくじら」になったというものです。
いつしか漢字表記は「徳次郎」になり、昭和時代までずっと「とくじら」という地名が残りました。
しかし1954年、当時の富屋村が合併で宇都宮市に編入されると、一般的な「とくじろう」という読み方に変更されてしまいます。
住民は新たな読み方をよしとせず、栃木県道路公社は地元に根付いた読み方を採用しました。こうして、日光宇都宮道路の徳次郎ICが開通した当時、IC名は「とくじら」、地名は「とくじろう」というズレが生じることとなりました。
ところがやはり「ズレ」は不便なのか、2008年に日光宇都宮道路が「とくじろうIC」へ読み方を変更しました。
ところがその13年後、今度は地名のほうが「とくじら」に戻ることになりました。宇都宮市はこの変更について、古い読み方を「歴史・文化的な背景があり、地元である富屋地区をはじめ、広く愛着を持たれ継承されてきた」としています。2020年4月の住民要望がきっかけで、変更は2021年3月のことでした。
栃木県道路公社は、これに合わせて、同時に「とくじらIC」へ再度変更。IC名と地名にズレは起きず、最終的にどちらも「元のサヤ」に収まることとなったのです。
「難読IC」と言われる徳次郎ICは、しばらく「読みにくくないIC」の時期もありつつ、また難読に戻った、異例の変遷を持っています。地方豪族の歴史から、当時の行政にも左右されてきた、ドラマあふれる名前と言えるでしょう。
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