NISMO FESTIVAL 2024で往年の名車走る! 惜しまれつつ引退を表明のロニー・クインタレッリ選手も感動の一日に

「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2024」が2024年12月1日、富士スピードウェイ(静岡県小山町)で開催されました。今年はNISMOブランド誕生40周年という節目で、例年以上に豪華な内容で来場者を魅了。SUPER GTや歴代の名車たちが織りなす感動的なパフォーマンスや、引退を表明したロニー・クインタレッリ選手のセレモニーなど、NISMOの歴史と未来を感じる一日となりました。

冬到来! だけどこの日の富士スピードウェイはアツかった!

 2024年12月1日に富士スピードウェイ(静岡県小山町)にて「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2024(以下NISMO FESTIVAL)」が開催されました。

 2024年はNISMOブランド誕生から40周年という節目の年。日産・NISMOファンへの感謝を形にしたこのイベントでは、SUPER GTをはじめとする現役レースカーや過去の名車がサーキットを走り、ピットには数多くのレーシングマシンが展示されるなど、訪れたファンを存分に楽しませる内容となりました。

ル・マン24時間レースで活躍した日産「R390」など往年の名車が走るパフォーマンスは圧巻だった
ル・マン24時間レースで活躍した日産「R390」など往年の名車が走るパフォーマンスは圧巻だった

 イベントの中でも注目を集めたのが、SUPER GT GT500クラスのドライバーによるトークショーでした。

 登壇したのは、高星明誠選手、三宅淳詞選手、平峰一貴選手、ベルトラン・バゲット選手、千代勝正選手、ロニー・クインタレッリ選手、松田次生選手、名取鉄平選手の8人。それぞれが今シーズンを振り返ったほか、今季で現役を退くロニー・クインタレッリ選手との思い出を語りました。

 2013年から12シーズンにわたりSUPER GTを舞台に日産チームをけん引してきたロニー選手。彼とのエピソードはそれぞれのドライバーにとっても特別なものだったようです。

 三宅選手は「一緒にチームを組んだのは今年からだが、カート時代からGTで走るロニー選手を見ていて、怖い人かと思いきや、実は優しくユーモアあふれる方だった」とその人柄を語りました。

 平峰選手は「レース中にたまたまロニーさんを助けるシーンがあり、『ありがとう平峰』とレース後に言ってもらえた時、同じ土俵に立てるようになったと実感した」と話し、ロニー選手のバトルが楽しいと感じたこと、引退を寂しく思う気持ちを正直に明かしました。「もっとガツガツ一緒に戦いたかった」と語る姿からは、尊敬と寂しさが伝わります。

 また、バゲット選手は「2014年からGTに参戦しているが、他メーカーから見ていた頃からロニー選手を尊敬していた」とし、NISMOの赤いマシンへの憧れがあったことを告白。

 千代選手は「子どもの頃、カートを始めた際に憧れたポスターにロニー選手が載っていた。まさか同じチームでGTを戦う日が来るとは思わなかった」と、憧れの存在がチームメートとなった喜びを語りました。

 千代選手はまた「デビュー当時、ロニー選手は連続チャンピオンを取っており、もう少し早く参戦して一緒に挑戦したかった」と悔しさをにじませながら、ロニー選手の精神を次世代へ引き継いでいきたいと力強く語りました。

 長年コンビを組んだ松田選手は、「2010年にカルソニックで初めてロニー選手とコンビを組み、2014年には再び一緒にチャンピオンを目指すことになった」と振り返りました。

 また、「トレーニング嫌いだった自分に対し、トレーニングをするよう注意してくれたロニー選手の言葉が今でも印象に残っている。ドライバー同士ではこういったことは遠慮して言いにくいが、ロニー選手は遠慮なく真剣に伝えてくれる貴重な存在だった」と語り、感謝の思いをにじませました。

 長年NISMO FESTIVALに参加し続けてきたロニー選手は、トークショーの最後に、「毎年皆さんから力をもらってきた。この特別な一日を存分に楽しんでほしい」と語り、温かい拍手と共にステージを後にしました。

引退するロニー選手の最終戦にかける思い

 NISMO FESTIVALでは、来場者が歴代の名車を身近に感じられるさまざまな工夫が施されていました。毎年高い人気を誇るイベントが「サーキットサファリ」です。現役監督やレーサー、アンバサダーが同乗する大型バスに乗車し彼らによる解説や裏話を聞きながら、バスのすぐ横を疾走するレーシングカーを間近で体感することができます。圧倒的な迫力と臨場感を味わえるこの企画は、特別な体験として、来場者を魅了してくれます。

 会場にはさまざまな展示車両が並びましたが、特に注目を集めたのが、前日にプロ野球球団「横浜DeNAベイスターズ」の日本一を記念したパレードで使用された特別車両です。

 DeNA創業者である南場智子オーナーと、横浜DeNAベイスターズの三浦大輔監督が乗車し、日本一を祝う姿をファンに披露したクルマが、富士スピードウェイに運び込まれ展示されたのです。パレード用のカスタムが施された電気自動車の「リーフ」は、市販車にはないオープンカー仕様となっており、多くの来場者の関心を集めていました。

ロニー・クインタレッリ選手(右から2人目)を挟んでほほ笑む日産のレーシングドライバーたち
ロニー・クインタレッリ選手(右から2人目)を挟んでほほ笑む日産のレーシングドライバーたち

 イベントのフィナーレでは、ロニー選手に花束が贈呈されました。

 スピーチではこれまでの活動を振り返りながら、以下のように感謝の気持ちを語りました。

「これまで長い間、夢のような日々を過ごしてきました。今日こうして、たくさんの皆さんの前でスピーチする機会をいただけたことに、心から感謝しています。支えてくれたチームの仲間や関係者の皆さん、そして何よりも応援してくださったファンの皆さんのおかげで、ここまで来ることができました。本当にありがとうございました」

 ロニー選手はSUPER GT最終戦について「僕が23号車で走るのは、来週末の最終戦が最後になります。そのレースでは、チーム全員で力を合わせ、全身全霊を込めて走ります。これまで支えていただいたすべての方々への感謝の気持ちを込めた走りをお見せしたいと思います。長い間応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。これからもモータースポーツを楽しんでください。そして、引き続き23号車を応援していただけたら幸いです」と感謝の言葉を述べました。

 スピーチが終わると会場は大きな拍手に包まれ、これまでのロニー選手の活躍をたたえる温かな雰囲気に満ちていました。

【画像】日本一パレードに使われた斬新屋根切りリーフを見る!(46枚)

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Writer: 黒木 美珠

幼少期から車に親しみ、SuperGTや祖母のS2000でのドライブを楽しむ。洗車YouTubeチャンネルを立ち上げ、車中泊90日連泊の日本一周旅やメーカー試乗会での新車紹介動画を制作。車の能力だけでなく、作り手の想いも伝えるジャーナリストを目指す。

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